MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

DIR EN GREY

2011.08.09UPDATE

2011年08月号掲載

DIR EN GREY

Member:Toshiya(Ba)

Interviewer:MAY-E

-そういう「今回は手法を変えよう」とか「冒険してみよう」っていう意識は、メンバー皆さんで共有していたんでしょうか。

うん。皆それぞれのフレーズに対してあれこれ言ったりはしないんですけど、最終的には皆、試行錯誤して冒険しながらやっていました。これはThe Stalinの「ワルシャワの幻想」のカヴァーをやったことが大きかったと思います。あれで色々と試すことが出来たので。それをそのままフィードバックさせて、アルバムに入れてみようと。その点は、今回初めての試みですね。

-技術的に新しい試みを、ということですよね。

はい、そうです。

-シングル「激しさと、~」なんかは今やライヴでもクライマックスを迎えるキラー曲となっていますよね。今作『DUM SPIRO SPERO』においても、いわゆるアルバムのポイントとなる曲になるのではないかと予想していたのですが、驚いたのはそうではなかった点です。とても統一感のある仕上がりだと思いました。

うん。「激しさと、~」をアルバムに入れ込むのは、そんなに苦労はしなかったです。「流転の塔」と「AMON」も、実は「激しさと、~」とほぼ同時期に録っていたんですよ。

-そうなんですね。「激しさと、~」は、録り直しもしていますね。

そうです。単純に6弦だったのを7弦で録り直したいと思って。「暁」と「DIABOLOS」も一度仕上げてはいたんですけど、大幅に尺を変えて録り直しました。「DIABOLOS」自体はもともとタイトな曲だったんですけど……

-9分の大作になりましたね。

そうなんです(笑)。今年の1月に新木場スタジオコーストでツアー・ファイナルがあったんですけど、あの公演が終わったあと、「暁」と「DIABOLOS」は録り直そうって5人で話をしたんですよ。

-その録り直そうと思った理由というのは?

単純に、もっといいものが出来るんじゃないかって思って。録ったはいいけど、もっと良く出来るはずだって思っていたんです。その頃はアルバムの全体像も何となくですけど浮かんではいましたし。あとは、アルバムの山場を作りたかった、というのがあって。「DIABOLOS」なんかはもっと場面転換させて、もっと膨らませてみたいと思って。「暁」はメロディを大きく変えて、音の響きというかアンサンブル的な部分を突き詰められるんじゃないかって思って、録り直しました。

-アルバムのタイトルである『DUM SPIRO SPERO』は、ラテン語の格言で、“息のある限り希望を捨てない”という意味だそうですね。レコーディングの後半に差し掛かった頃、3月11日の東北地方太平洋沖地震が起きていますが、タイトルに隠されたこのメッセージにもそれが影響しているのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

確かに3月11日があったからこそ出てきたタイトルではあります。なので、そう捉えてもらって構わないですよ。ただ、色々な捉え方があっていいと思っているんです。こちらからあまりひとつの意味だけに特定したくなくて。そのまま“生きている限り、希望がある”という前向きなメッセージでも、またその逆に捉えてもらっても構わない。その辺の捉え方は、皆さんに委ねます。

-なるほど。このアートワークも興味深いです。この暗い竹林と中央の物体は何を象徴しているのでしょうか。

仏教、キリスト教と、いろいろな宗教、そして神様がいますよね。個人的な考えなんですけど、神様って自分の中にいるものだと思っているんです。つまり、自分たちの“何か”を信じるって事なんだと思うんですよ。自分の中の信じるものの偶像……まぁ本来神様ってそういうものですけど、そういう自分たちの信じる何かを作り上げたんです。ただ、崇拝する対象っていうんじゃなく、あくまでモチーフ。自分たちの中にいる神様のモチーフだと思ってもらえれば。

-では、これは神様のモチーフではあるけれど、タイトルと同様にその解釈は皆さんに委ねる、と。

そうです。神様といっても正義だけじゃないかもしれない。悪魔も神様かもしれないし。だから、曖昧なものにしたかったんですよ。全てのテーマは人間。その中にいるのは正義なのか、悪なのか……それを含めた虚像を作りたかったんです。

-単に神様=正義、ではないということですね。

そう。この神様も、よく見ると自分の腹を切り裂いているんです。その中から出てくるものは、一体何なのか……っていう。

-なるほど。サウンドと同様に、インスピレーションが掻き立てられるアートワークになっているんですね。

実はね。だから今作を聴いて、色々イメージしてもらいたいです。人間これだけ居れば、色々な答えが出てくるだろうし、答えなんて無くてもいいと思っているし。
で、この竹林は、日本をイメージし易いかなと思って選んだものです。