DISC REVIEW
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ひたひたと迫り来るように日常を浸食する不穏な空気と、アンダーグラウンドな世界で派手に渦巻く狂気。どちらにまみれて過ごしたいかと言えば、圧倒的に後者なのである。もはや茹でガエルに等しき人々は、きっとそう遠くないうちに頭からまるごと食われてしまう。戦うべきは見るからにアレな外敵等ではなく、むしろ我々のすぐ近くにこそいるという現実の恐ろしさたるや......。宝野アリカ(Vo)様は、リード・チューン「日本男子、獅子奮迅」の中で明確に、"ここは乱世"と歌われているではないか。自覚を前提に狂気を楽しむ者よりも、日常の中で麻痺させられてしまった者のほうがよほど重症。願わくばそんな脳内お花畑勢にも"誉れあらんことを!"。 杉江 由紀