DISC REVIEW
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美しき時代を長年にわたり体現し続けてきたALI PROJECTが、30周年の節目を前に発表した今作はまさにタイトル通りの秀逸な仕上がりへとあいなった。美意識と美学が音や歌詞として徹底表現されていく様は、ただただ圧巻でしかない。繊細さとアヴァンギャルドなスタンスが交錯する「アタシ狂乱ノ時代ヲ歌ウ」にしても、ファン・サービス的なアプローチでこれまでの作品たちを彷彿とさせるような内容になっている「Café d'ALIで逢いましょう」にしても、古き佳き時代の面影を漂わせながら現代の世相を歌いあげた「令和燦々賛歌」にしても。どこか享楽的で退廃的な香りをまとう一方、えもいわれぬ気高さを確かにたたえたALI PROJECTの生み出す世界には、純度の高いロマンチシズムが息づいている。 杉江 由紀