DISC REVIEW
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「あぁなんて長かったんだ/いなくなっててごめんね/君のために曲を書いていて忙しかったんだ/心配しないで/僕達は今も同じバンドだから」とクイーン風の多重コーラスを用いて語られるイントロで幕を開ける彼らのセカンドアルバム「Pretty. Odd.」は、早くもダンス・エモシーンからの離脱を高らかに宣言するミュージカル・アルバムに仕上がった。今作で、シンセサイザーは一切使用されていない。代わりに彼らが選んだものがストリングスだ。さらにはホーンやピアノ、アコースティック・ギターや手拍子、小鳥のさえずりまでもが聞こえてくる。映画のサントラのような重量感もあれば、時代物のラジオ風まで、ムードに富んだクラシカルな作品だ。手法こそ古典的であれ、決してアナログになりすぎず、そしてイジイジなんかもしていない現代エモの「モテ・サウンド」へと昇華させているあたりはさすがだ。まるで今までのおもちゃ箱に魔法をかけて、宝石箱に変えちゃったみたい!メリーゴーランドに乗りこんだような感覚さえ覚える、色彩豊かでメルヘンなパニック流おとぎの国へようこそ! MAY-E