COLUMN
TeddyLoid presents DANCE × ROCK CHRONICLE Vol.1
-TeddyLoidさんもクラシック出身でしたよね。
T:そうですね。ロックは同じコードを繰り返して作っていくことが多いと思うんですけど、ロットンさんの場合は最後の最後にコードを変えたり、楽曲に場面が多いですよね。今お話を聞いてすごく納得しました。
K:めっちゃ嬉しい(笑)。こういうのって、曲を作っている側の人じゃないと気付きにくいと思う。でも、わからなくていいと思うんですよね。コードが変わったとか。聴き手にとって曲を聴いたときに"何となくここ好きやわ"と思ってもらえたらいいと思って作ってるんです。こうやって曲を作ってる人に気付いてもらえると超嬉しいですね(笑)。
T:僕はクラシックもやっていたんですけど、本格的に音楽を始めたきっかけはヒップホップです。ロックもあまり積極的に聴いたことはないし、バンドも組んだことがないんですが、初めて音楽を作ったきっかけはヒューマン・ビートボックスとバトルDJで、そこからスタートしました。 そのあとにダンス・ミュージックに進むんですけど、特にフレンチ・エレクトロとフィルター・ハウスが好きでした。それらは四つ打ちであっても、サンプリング主体っていうところがヒップホップと同じだったんです。それに例えばJUSTICEはい つでもレザー・ジャケットを着てるとか、ファッション性やアートワーク、パフォーマンスにもロックを感じる。 だから、僕のやってるフレンチ・エレクトロって、ロックのスピリットと、ヒップホップ・マインドが同居した音楽だって思っています。ロック・リスナーではなかったけど、間接的にロックには大きな影響を受けている気がします。
K:自分はヒップホップってそんなに詳しくはないですけど、最近のヒップホップ・アーティストって、ロック・バンドよりもロックを感じたりすることがあるんですよ。日本のヒップホップ、ラップ・アーティストを見てて、昔のロック・アーティストが持ってた精神は、今はヒップホップ・アーティストの方が持っているように感じる時があります。活動内容的にも、すごくアンダーグラウンドなところでやっている中での熱量みたいなもの。日本はロック・アーティストがオーバーグラウンドな気がしますね。国によって違うと思うんですけど。
-KAZUOMIさんは、ROTTENGRAFFTYの曲作り、プログラミングをおひとりで手がけていますよね。今回のリミックスを聴いて、何かTeddyさんに訊いてみたいこととかありませんか?
K:ソフトは何を使ってるんですか?
T:僕は"Ableton Live"っていうソフトです。
K:やっぱliveなんや。live使ってる人ってめっちゃ多いんですよね。僕もロットンのライヴではliveでシーケンスを流すんですけど、それ用だけに使ってるんです。基本はレコーディングと直結させたいので、Pro Toolsを使っていて。やっぱりバンドだと音を録っていくことが多いから。でも、liveを使っている人から、操作性とかいろいろと話を聞いていて、これからの時代の音楽を作るものの中のひとつにliveがあるって言われて。liveにしかできないことって多いし、liveの直感性みたいなものがいいって。本格的に使おうかなって思ってます。
T:うんうん、僕は10年くらい使ってますね。
K:Pro Toolsは録音機器として、MTRやラジカセと変わらないつもりで使ってるんですけど、今の時代の音楽性に合わせていくと、バンド・サウンド以外で同期して回るもの、シーケンスとかをバンド・サウンドと融合させたいっていうのがあって。「STAY REAL」でも「D.A.N.C.E.」でもそうですし、そういうのを取り入れてるんですけど、もっと斬新なことを、もっと簡単にパッと形にしたいってなると、Pro Toolsだと限界があるというか、すごい面倒だと感じてしまうことがあって。
T:Liveだと時間が短縮できるし、素材をこうしたいっていう過程が、Pro Toolsより短くなるんですよね。でも、ロットンさんの音を聴いたとき、シンセの使いかたとかベースの出しかたとか、すごい上手いなと思ったし、刺激を受けましたよ。なかなか生バンド、パンクやスクリーモ的サウンドとシンセ音の融合の加減って難しいと思うんですけど、そのバランスがすごく良くて、サウンドに海外のバンドの様な本場感を感じました。
K:シーケンスのみのサウンドじゃなくて、バンドの音ありきなんですよね。まずドラムを録ったものに何を貼っていくのかとか、流してる音ありきで、そこにプラスになるような融合がちゃんとできる音の出しかたを考えたい。TeddyLoidさんにやってもらった「D.A.N.C.E.」は、基礎になるバンド・サウンドをごっそり変えてもらってるから、バンドの瞬発力じゃない感じが面白いなと思いました。
-TeddyLoidさんからKAZUOMIさんに訊いてみたいことはありますか?
T:ロットンさんの音って、所謂バンドマンの使う音楽の作りかたじゃない。クラシカルな要素もあればダンス・ミュージックの要素もあって、本当に音楽的なんですよね。ちゃんと起承転結があって。楽曲はひとりで作ってるんですか?
K:そうです。ひとりでちまちまと(笑)。
T:本当に、最後の1言のヴォーカル・フレーズと共に、コードが"ジャー ン!"と変わる。そういう発想にすごくドキっとするし、そういうラウドロックを聴いたことがなかったので、最新アルバムを聴いてかっこいいなと思いました。激ヤバです!
K:ありがとうございます。激ヤバいただきましたよ(笑)!
-KAZUOMIさんは、こんなバンド、曲をTeddyLoidさんがリミックスしたら面白いんじゃないかと思いますか?
K:民謡とか。その国の民族性の音とか。あと、やっぱりロックとの掛け算は面白いなと思うし好きです。
T:KAZUOMIさんが対談されていた10-FEETさんとかも聴かせてもらってます。ストレートなロックのリミックスもやってみたいですね。
K:10-FEETは大好きなバンドで昔からの大切な仲間だけど、歌詞をすごく大事にするバンドなんですよね。ヴォーカルTAKUMAくんの歌詞には答えがあるから、オケはその答えにそえば正解がおのずと観えると言うか。ロットンで曲を作るときは、歌い手のふたりの1番いいところが僕の中ではっきりしてて、そのいいところを、着せ替え人形みたいに遊んでる感じですね。ロットンはこうでなきゃダメっていうのは、このバンド、メンバーでやっている以上は必ず出てくるから、もうなんでも遊びまくるという精神でいます。過去の音楽も今の音楽も、時代に縋り付くのは好きじゃないけど、いいものは必ずあるし。時代によって新しい斬新なものって必ず出てくる。それが一般化したら、また違う形で出てくる。そういうものには敏感でいたいですね。"ああ、また新しいものが出てきたわー"って鼻で笑うような人ではいたくないっていうのは、15年間思い続けてきました。
T:すごく共感できます。ロットンさんのライヴDVDを拝見しましたが、ヴォーカルのスイッチングとか、役割がはっきりしててめちゃくちゃカッコいい。ひとりでコンピューターで音楽を作っていても、じゃあこいつはこういう役割でとか、着せ替えしてという感じは同じなので、僕もそうありたいです。