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LIVE REPORT

THE PRIMALS

2024.09.22 @横浜アリーナ

Writer : 菅谷 透 Photographer:西槇太一 / 上石千聖 © SQUARE ENIX

人気オンラインRPG"ファイナルファンタジーXIV(以下:FFXIV)"の公式バンド、THE PRIMALSが、過去最大規模の単独公演"THE PRIMALS Live in Japan - Darkest Before Dawn"を2デイズで開催し両日完売。作中を彩る人気曲をフィーチャーしたセットで、横浜アリーナに集まった"ヒカセン(光の戦士/「FFXIV」プレイヤーの愛称)"たちと一体感に満ちた空間を作り上げた。

ライヴ・ストリーミングも実施された初日公演に続いて行われた公演2日目は、天候が心配されたがなんとか持ちこたえ、無事に"ヒカセン"たちが会場へ集結。開演直前にはあちこちでBGMに合わせてペンライトが振られ、すでにライヴへの期待感が高まっているのが窺えた。そこへゲームの主要キャラクターであるアルバートがナレーションで登場すると、喜びと驚きの歓声が上がる。収容人数約1万7,000人の横浜アリーナに挑むTHE PRIMALSを"あのおっさんたち、無謀すぎる"とイジったメタなアナウンスで笑いを誘うと、いよいよ場内が暗転。"Darkest Before Dawn――夜明け前の、もっとも昏(くら)いとき"、"目覚める前までの一時、俺たちはどこまでだって冒険できる"というアルバートの語りに続いて、最新拡張パッケージ"黄金のレガシー"のメイン・テーマを中心にエディットした「Open Sky - The Theme from Dawntrail」で華々しくライヴがスタートした。躍動感あるサウンドと、ステージ全体を覆う紗幕にゲームの映像が映し出され、メンバーの演奏する姿がシルエットとして浮かび上がる演出で、横浜アリーナを一気に"FFXIV"とTHE PRIMALSの世界へと惹き込んでいく。

紗幕が下りた後は「エスケープ 〜次元の狭間オメガ:アルファ編〜」が披露され、開放的なコーラスで早くもクライマックスのようなカタルシスをもたらした。最初の挨拶では祖堅正慶(Gt/Vo)が"もう「XIV」も10年間運営してますし......"と"ヒカセン"の体力を気遣いつつも、"とはいえ火力は必要だから"、"横浜アリーナを出る頃にはボロボロになって帰ってください!"と焚き付け、「此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~」、「Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~」を投下。おどろおどろしいスポークン・パートからパワフルなコーラスまで様々なアプローチを見せたマイケル・クリストファー・コージ・フォックス(Vo)の表現力も光っていて、演奏終了後には"かっこいいー!"と思わず心の声が漏れてしまう"ヒカセン"も見受けられた。

MCを挟んだ後に披露された「Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」では、女性ヴォーカルのポップな原曲をTHE PRIMALSらしい骨太なロック・アレンジで披露。最新レイド"至天の座アルカディア"からの楽曲ながら会場が揺れるほどの盛り上がりで、事前練習を経た"All right!"のコールも大迫力だ。間髪入れずに放たれた「Give it All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」ではゲストのAmanda Achenが登場。原曲のChrissy Costanza(AGAINST THE CURRENT)とはまた趣の異なるヴォーカルで会場の熱気に拍車を掛けていた。続く「月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~」ではヴァイオリニストの伊藤友馬を迎え、叙情的な美旋律を響かせる。"ここら辺でGUNN(Gt)さんに歌ってほしくない?"(祖堅)という前フリから演奏された人気曲「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」では、GUNNの力強いヴォーカルとシャープなギター・サウンドが炸裂。続くMCではこちらも恒例(?)と言える、客席の"FFXIV"吉田直樹プロデューサー兼ディレクターへの無茶振りが行われ、生声での"お前等もっと行けんだろ!"という煽りで"ヒカセン"のボルテージを高めていた。

中盤戦に突入すると、ステージ中央のモニター後方から朱雀役の声優、南條愛乃がキャラクターを思わせる和装で登場し、「千年の暁 ~朱雀征魂戦~」と、会場のペンライトを左右で2色に分けての「月下彼岸花 ~蛮神ツクヨミ討滅戦~」を歌唱。"正気でいますか......正気に戻らないでください"など、名台詞をオマージュしたユーモラスなMCでも観客を沸かせていた。アルバートの語りを挟んだ後は、Jason Charles Miller(インダストリアル・バンド GODHEADのヴォーカルでもある)を迎え、拡張パッケージ"漆黒のヴィランズ"より「Shadowbringers」、「To the Edge」の2曲が披露された。2022年に行われた単独公演ではヴォーカル・トラックを流しての演奏だったが、Jasonのダイナミックな生歌を伴ってのパフォーマンスはやはり強烈だ。また2曲続けての演奏となったことで、重要なフレーズをそれぞれ共有していることにも改めて気付かされた。続く「Flow Together」ではAmandaが再びステージに登場し、鮮やかな歌声で会場の涙を誘っていた。

豪華ゲストを迎えたセクションを終え、ライヴはいよいよ後半戦へ。"最後まで突っ走っていくぞ! 行けんのか!"(祖堅)というアジテートから、「メタル 〜機工城アレキサンダー:起動編〜」、「魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~」と強力ナンバーを繰り出し、"ヒカセン"も自由な楽しみ方で応戦していく。火柱立ち昇る「過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~」ではストイックなコール&レスポンスで熱気と一体感がさらに上昇、メンバーも"ヤベぇな今日の火力"と感慨深げだ。イワイエイキチ(Ba)&たちばなテツヤ(Dr)の軽快なリズム・セクションが身体を突き動かす「ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~」でさらに加速していき、ダンサーによるキレキレのパフォーマンスにも歓声が上がっていた。

アルバートの"冒険はどこまでだって続いていく"という言葉とともに本編ラストに届けられたのは、"FFXIV"の物語が1つの完結を迎えた"暁月のフィナーレ"のメイン・テーマ「Endwalker - Footfalls」。バトルやフレンドとの交流、結婚等、ユーザーから募集した"冒険の思い出"の動画をバックに、ゲストのJason、Amanda、伊藤が再登場し、エモーショナルなアンサンブルを響かせたクライマックスはまさに圧巻だった。アンコールでは、「メタル:ブルートジャスティスモード 〜機工城アレキサンダー:律動編〜」、「ライズ 〜機工城アレキサンダー:天動編〜」、「ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~」の"機工城アレキサンダー"コンボがプレイされ、「ライズ 〜機工城アレキサンダー:天動編〜」ではステージもフロアも含めた横浜アリーナ全体が動きをピタリと止め、"時間停止"を再現。「ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~」で再び会場を揺るがす縦ノリを生み出し、完全燃焼で大ボリュームの公演を締めくくった。

ロックやミクスチャーをバックボーンに持つ楽曲自体の強度もさることながら、祖堅が最後に放った"今日のライヴで楽しかったり、嬉しかったり、泣いたり、笑ったり......全部ゲームがそうしてきたんだ"という言葉の通り、ゲームの物語やユーザーの感情を爆音で最大限にブーストさせるライヴは、唯一無二の体験だ。念願のロック・フェスにも出演し、冒険のフィールドをさらに広げていくTHE PRIMALSの勇姿をこれからも見届けていきたい。

[Setlist]
1. Open Sky - The Theme from Dawntrail
2. エスケープ 〜次元の狭間オメガ:アルファ編〜
3. 此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~
4. Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~
5. Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~
6. Give it All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~
7. 月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~
8. 忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~
9. 千年の暁 ~朱雀征魂戦~
10. 月下彼岸花 ~蛮神ツクヨミ討滅戦~
11. Shadowbringers
12. To the Edge
13. Flow Together
14. メタル 〜機工城アレキサンダー:起動編〜
15. 魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~
16. 過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~
17. ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~
18. Endwalker - Footfalls
En1. メタル:ブルートジャスティスモード 〜機工城アレキサンダー:律動編〜
En2. ライズ 〜機工城アレキサンダー:天動編〜
En3. ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~

ライヴ・ストリーミング情報
"THE PRIMALS Live in Japan - Darkest Before Dawn"

9月21日(土)横浜アリーナ公演
[チケット]
¥4,400(税込)
販売期間:~10月7日(月)20:00
アーカイヴ視聴可能期限:~10月7日(月)23:59
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