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LIVE REPORT

Quubi

2023.11.23 @神戸 VARIT.

Writer : 梶原 有紀子 Photographer:ヨシモリユウナ

2021年にデビューした大阪発の4人組アイドル・グループ Quubiが、9月の京都を皮切りに北海道や九州も含めファイナルの大阪まで全国10公演に及ぶ初の全国ツアー"Quubi Japan Tour 2023"を現在展開中。ゲストを迎えた対バン形式の5公演+バック・バンドである九尾Bandを従えたワンマン5公演となっていて、神戸公演はワンマン。兵庫でのライヴは意外にもこの日が初でメンバーの川原みなみと藤宮 紬にとっては凱旋公演となった。

VARIT.のコンパクトなステージにバンド+DJに続いてメンバー4人が登場し、オープニングは「Dear my...」。いきなりガツンと熱を上げてくるこの曲で九尾BandとQuubiの相性の良さが一目瞭然。ドスの効いた九尾Bandのサウンドは1ミリの狂いもないミクスチャー・ロック。Quubiの4人は、サーファーが波に乗るようにその音を自在に乗りこなし、時にはコントロール。キレのあるラップとステージを目いっぱい使ったダンス、4人それぞれの持ち味を発揮したヴォーカルを繰り出していく。印象的なギターのリフにひと際手拍子が大きくなる「The voice you saved」では、拍手と歓声があっという間にジャンプとシンガロングに変わる。ステージもフロアも丸ごとひとつになる感覚。

1階フロアの後方を見れば、サークル・モッシュで沸く人々や4~5人で肩を組み揺れながら声を上げる人、壁にもたれ拳を上げる人、そういった人たちみんなが"全員の声聞かせろー!"(村上華花)の呼び掛けに、気持ちいいほど凄まじくリアクションする。テンポ良く次々に打ち鳴らされる曲にステージに手を伸ばす人、ダイブする人が途切れない。「Ragnarok」の曲中に村上が、"全員が楽しい気持ちで帰ってほしいから、みんな怪我しいひんように優しい心を持って遊びましょう! OK?"と呼び掛けた。フロアは興奮と熱気でもみくちゃだったけれど、ダイブする人のほとんどはステージに背を向けるようにしてフロアの方向へ飛び、周囲はそれを受け止める。その連帯がきっちりできあがった優しい世界が広がっていた。ラウドな現場やライヴハウスでの楽しみ方を心得ている音楽好きがQuubiを支持しているのだろう。それに応えるように、4人も手を伸ばしフロアの隅々までお客さんひとりひとりと目を合わせるように歌い、拳を合わせる場面も。

「Pump It」、「DIVE YOURSELF」と続いた中盤は立っているだけで背中をじわりと汗が伝うぐらいの熱気。終盤の「Empathy」、「Change my life」、「Still Walking」、そしてラストは「Take me now」で駆け抜ける。音に突き動かされるのはもちろんだが、"過去の自分を踏み越えて/生まれ変われ"と歌う「Change my life」など、Quubiの歌詞に綴られているメッセージはラウドな音を掻い潜って聴き手にまっすぐに届く。川原みなみのダンスはダイナミックで解放感があり、村上はこの日も披露した「scent」で作詞に挑み、ステージでは言葉でメッセージを伝える役割も果たす。兵庫出身だけれど神戸と言えば"アニメイトばかり行っていた"と話した藤宮は、控えめなMCとは真逆のキレキレのラップを繰り出し、鈴猫りさはどんなタイプの曲でも安定感のある表情豊かなヴォーカルを聴かせてくれた。現在Quubiはこのジャパン・ツアーと並行してリリース・イベントや対バン・ライヴ、イベント出演を各地で行っている。初めて赴く土地も含めステージを踏み、お客さんと触れ合い自分たちの音楽やメッセージを届けるたびに着実に成長の節を刻んでいる真っ最中だ。12月30日の東京ワンマン、そしてツアー・ファイナルである2024年1月7日の地元大阪 BIGCATでどれほど成長したステージを彼女たちが見せてくれるか。この日のライヴを体感した以上、期待しかしていない。

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