MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

Alternation of Generations

2022.10.15 @SHINJUKU ANTIKNOCK

Writer 杉江 由紀 Photo by Hidemi Otsuka

異端児、ではあるのかもしれない。楽器など弾けなくとも、スマホが1台あればトラック制作を難なくこなせるのが今という時代だとしたら、そのなかにあって、わざわざ人力を主軸にしたアナログ・スタイルで音楽を究めていこうとしているロック・バンドの存在は、もはやマイノリティ寄りだと解釈することもできる。

"時代に逆行した音楽なのかもしれませんけど、Alternation of Generationsはここからプログレッシヴ・ポップというキーワードを免罪符にしながら、ゆるく長く活動を続けていこうと思っております。もちろん、我々は企画モノのバンドなんかじゃありません。ここまでやっておいてそんなのもったいないでしょ(笑)"(DANCHO/Vo)

NoGoDのDANCHO(団長)、元ギルドで、現在はコンポーザー&ギタリストとしてジャンルを問わず幅広く活躍するYOSHIHIRO、7 DAYS PAPARAZZIの一員でありサポート・ミュージシャンとしても活動するRyosuke(Ba)、Unlucky Morpheusや猫曼珠のドラマーであるFUMIYA。この4人で結成された新バンド、Alternation of Generationsが先だって9月にリリースした1st EP『P.O.P』は、たしかにDANCHOの言う通り"ここまでやっておいて"という言葉が相応しいほど鮮烈でラディカルな仕上がりだったわけだが、そんなA.O.G(Alternation of Generations)の提唱するプログレッシヴ・ポップなるものの醍醐味は、このたび彼らにとっての初ワンマン東名阪ツアーとなった"Progressive or Popular"の場で、より強いインパクトを放ちながら、集ったオーディエンスを大いに沸かせていくこととなった。

"今回はAlternation of Generationsにとって初のツアーですが、やはり6曲入りの1st EPの『P.O.P』だけで回るというのは忍びないなということで、今日はまだ世の中に出していない新曲もいくつか持ってきました。我々の提示するプログレッシヴ・ポップというものを、みなさまにもっと知っていただければと思います"(DANCHO)

かくして、ファイナルとなったこのSHINJUKU ANTIKNOCK公演では、筋金入りのメタラー揃いであるA.O.Gが、あえてR&B寄りのシティ・ポップ的なアプローチで粋に聴かせてみせた「day after day」や、タイトルよろしく讃歌のような表情を持った「Grateful for everything」といった、下ろしたての新曲がいち早く聴けたほか、各プレイヤーの見せ場が詰まったインストゥルメンタル曲、約11分の大作となる「Requiem」といった様々な楽曲を通じて、我々は彼らのプロフェッショナルな熱き魂と、職人技の生きた精緻なパフォーマンスを存分に堪能できた。 "あのね、もうやれる曲は全部やったの! でも、呼ばれると不思議なもんで嬉しくなって出て来ちゃいました(笑)"(DANCHO)

ということで、まだまだ持ち曲の少ない彼らはアンコールにて「QUESTION」と「Shine On」をリプレイ。いずれも本編以上に圧倒的なエモいバンド・サウンドで繰り出されたことは言うまでもない。 "今後の予定としてはですね。とりあえず、対バンのライヴもしたいんだよな。だけど、誰も誘ってくれない......(苦笑)"(DANCHO)

異端児、Alternation of Generationsの前途はいろいろな意味で未知数なところが多そうだが、独自の音楽スタイル プログレッシヴ・ポップを貫き続けていくことで、拓ける未来はきっとある。それこそ、ここから"世代交代"をぜひとも実現していってほしい。

  • 1