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LIVE REPORT

ゼリ→

2020.02.09 @新宿BLAZE

Reported by 杉江 由紀 Photo by 佐藤 祐介

ないだように凡庸で穏やかな日々も、それはそれで安心して暮らせる楽しいものなのかもしれない。だが、その逆に時に喪失や波乱といったアクシデントにさえ見舞われてしまう劇的な人生には、その見返りとしてこの上ない刺激や醍醐味満載なサプライズが伴うのもまた、事実であるはず。

そもそも、ロック・ミュージックというもの自体の根底に、"既成概念の破壊"という精神が大前提として横たわっている以上、ロック・バンドやロッカーたるもの、激しく大胆不敵に生きてなんぼというところがあるのは半ば否めない。むろん、そこまでの領域に足を踏み入れながら生きていくことができる人間はそう多くないものの、だからこそ、我々はロックというものに対して夢やロマン、希望の類いを感じたりもするのではなかろうか。

"あの日突然消えてしまったものを、俺は確かめにいくんだ!"

昨年夏に奇跡的且つ変則的な復活を果たしたゼリ→が、今年に入って行った[ゼリ→ 20th Anniversary Tour "+×"(plus times)]の、ファイナルを飾った2月9日の新宿BLAZE公演において、まず冒頭で、フロントマン YAFUMIがステージ上で力強く放ったのはこの言葉だった。

ゼリ→が2008年の解散から約10年の時を経たうえで、あえてYAFUMIの"単独反抗"という形をとり、2020年末までの期間限定での復活を果たすことになった理由。あの言葉には、まさにその答えが明確に託されていたのである。

"調子はどうだい? 東京! 今回のツアーのタイトルには、["+×"(plus times)]と付いているわけでね。本来ならなかったはずの時間がここで追加されました。それをどう使うかはみんな次第だし、俺たち次第なんで。昔を懐かしむ時間にするつもりなんかないよな? そう、これは新しい始まりだから。俺たちの始まりの歌。「ROCKER」!"

かつて2000年にリリースされた、ゼリ→の1stアルバム『RODEO★GANG』に収録されていたこの曲を、今のYAFUMIが歌うことに途轍もなく大きい意味があるのは間違いなく、その点は、この夜のライヴにおける彼の歌いぶりやパフォーマンスからもひしひしと伝わってきた。と同時に、昨年末にドロップされた最新アルバム『+×』からの楽曲として、「悪魔の証明」が本編中盤において披露された場面では、YAFUMIがこの単独反抗を始めてから感じたのであろう率直な想いが、この場に集ったオーディエンスへと力強く投げ掛けられのだ。

なお、今回のツアーにおいてYAFUMIのバックを固めていたのは勝田欣也(STANCE PUNKS/Gt)、Sxun(ex-Fear, and Loathing in Las Vegas/Gt)、SOHEI(Ba)、ISHIMARU(ex-SNAIL RAMP/Dr)という4人の凄腕な猛者たち。彼らが以前、本誌座談会記事(※2020年1月号掲載)に対して、このプロジェクトに参加するにあたっての気概を、それぞれに語ってくれたことは記憶に新しく、このライヴにおいてはそんな各人のゼリ→に対するリスペクトの念や熱き情熱が、そのまま頼もしいプレイに反映されていたと言っていい。

"思えばいつも雨が降ってました。去年の10月に赤坂BLITZ(マイナビBLITZ赤坂)で復活ライヴをやったときはさ、前の日に信じられないくらい大きな台風がやってきて、地方から来られなくなった人たちも何百人と出てしまったし、ほんとなかなかうまくいかねぇなぁとなったよね。やっぱり雨が降るたびにいつも思うんだよ。こんな雨なんて止んでほしいって。でも、まったく雨の降らない人生ってなんなんだろうな? っていうふうにも俺は考えます。ダメなものなんてすぐになくなってしまうんだろうなと思う一方、俺はどこかでダメなまんまでも続いてほしいと......そう思ってしまう人間なんです"

なんでもこの新宿BLAZE公演に関しては、"今ツアー中で最長のセットリスト"となっていたそうなのであるが、このYAFUMIの言葉からの「作り雨」に次いで、「次の晴れた日に」へと展開していった一幕には、もはや神懸かり的なものを感じるほどの圧倒的な説得力に満ちていたと感じたのは、何も筆者だけではあるまい。

そのうえで本編ラストに「キミのヒビ」と、ゼリ→にとってのメジャー・デビュー・シングル曲「おもちゃのピストル」、さらには、これまた1stアルバムからの「LONDON NIGHT MOVIE」が連打されたくだりも、胸熱なことしきりで、アンコールで「NITRO GANG」を含む計3曲がさらに追加されることにより、この場に居合わせた"ROCKERS"たちは、完璧なまでにこのYAFUMIによる単独反抗に対して深く納得するに至ったと確信する。

ちなみに、今後のゼリ→はというと来たる6月23日にはパンク・ロックの聖地、新宿ANTIKNOCKにてワンマンを行うことが決定しており、これはその昔に名古屋から上京してきたばかりのゼリ→が、1999年の同日、同会場にて東京で初めてライヴを行ったことを受けての、[ゼリ→ 20th Anniversary "LAST 623 TOKYO"]として開催されるそう。

それに加え、2006年にアルバム『CAPE OF GOOD HOPE』を発表した際に、YAFUMIたちが描いていた"いつか南アフリカでライヴをして、CAPE OF GOOD HOPE(喜望峰)に辿り着きたい"という夢を、今年中には実際に叶えるプランが現在着々と進行していることも、今回のライヴMCにて明言されたことをここに付記しておきたい(先日までクラウドファンディングにて募っていたそのための資金も、しっかりと目標額をクリアしたそうだ!)。

つまるところ、ゼリ→がゼリ→であり続ける以上、そこにないだ日々が訪れることはまずない。時には波乱やアクシデントを巻き起こしながらでさえ、この劇的な物語はひとつの終わりへと向かって熾烈に邁進していくことだろう。気骨に溢れたPUNKS NOT DEADの気高い精神は、まだ、ここにしかと生き続けているのだ。

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