MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

Aldious

2018.12.17 @渋谷TSUTAYA O-EAST

Writer 米沢 彰

思えば、前ヴォーカリスト Ramiが脱退し、新しいヴォーカル Re:NOが加わった新生Aldiousを初めて観たのもTSUTAYA O-EASTだった。あのときも2F席まで人が溢れていて、ライヴを観るのも大変だったことを覚えている。そのときのメインはTHE AGONIST。現在はARCH ENEMYでヴォーカルを取るAlissa White-Gluzをフロントに据えた布陣での来日は、結局あれが最後になってしまった。そんな因縁深いTSUTAYA O-EASTでこの日行われたのはAldiousのツアー・ファイナル公演であり、ヴォーカリスト Re:NOのラスト公演。

異様な空気が会場に漂うなかライヴをスタートさせた楽曲は「We Are」。音源では、ファンとの一体感や関わりを大事にすることを表現し、実際にライヴ会場で自然と沸き起こった"We Are Aldious"のコールをイントロに持つこの曲を公演の最初に持ってきたところに、バンドのスタンスが強く感じられる。

感傷的な雰囲気は微塵も見せず、曲ですべてを伝えるかのような鬼気迫るタイトな演奏を続ける5人。Marinaの正確なドラムがバンドのサウンドに秩序を作り出し、ハイフレットでのプレイも含むサワのベース・プレイ、トキ&Yoshiによるツイン・ギターがその上で生きてくる。4人の強固なバンド・サウンドの上で展開するRe:NOのヴォーカル・ワークは時に独特のタメを持たせながら、艶やかで伸びのあるハイトーンから、凄みを持った低音パートまで自在に歌い分けていく。3曲目「THE END」が終わりバンドの演奏が止むと、会場から一斉に声が上がる。やはりRe:NOを呼ぶ声が圧倒的に多い。"改めましてこんばんは、Aldiousです!"というRe:NOのひと言に大きな声で応えるオーディエンス。"今夜もいつもと変わらず、最高に熱い1日にしたいと思っています!"と呼び掛けると一気に盛り上がりを見せる。

続いては「愛しい男」。Re:NOが作詞を手掛けたこの曲は、もともとバンドが持っていた演歌meetsメタル的なアプローチから、大陸的なカラっとしたハード・ロックの一面を内包し持ち始めた近年のAldiousを象徴するような曲だ。うまくライヴの流れを転換させる1曲を経てから、DEFTONESばりのダークさと深く潜るような世界観が特徴的な「puffy eyes」、全パートが見せ場を作る、楽器隊4人によるインストゥルメンタル楽曲、ミドル・テンポでしっとりとしたサビのリフレインで聴かせていく「I Don't Like Me」と、メタルでゴリゴリ押していくだけではなく、様々な音楽的な面を持っていることを十分に見せていく。その一方で、各MCでは"いつもどおり"とか"いつもと変わらずに"といったワードが目立つ。"あれ? Re:NOの脱退って今日じゃなかったっけ?"と一瞬素で考えてしまうぐらいには混乱してくる。

「die for you」で掛け合いを楽しむオーディエンスも、マイクを向けるRe:NOも、心底今を楽しんでいるようにしか見えない。これがラスト・ライヴという雰囲気をまったく感じさせないほど、楽曲そのものに、そしてそこから生まれる一体感を楽しむことに誰もが全力を注いでいる不思議な空間。あくまでツアー・ファイナルというていで各メンバーからMCがなされ、結局そのままライヴ本編は終了し、会場全員からじゃないかと思うような大音量のコールのなか、改めてアンコールとして5人が再登場した。

アンコールで最初にやるのはRe:NO作詞作曲の「All of You」。今日の選曲にはすべて意味があるんじゃないかと思えるぐらい、大事なところを大事な曲でしっかりと締めてくるところに、6年を超える時を共にした5人の絆やこれまでの歩みの重みが感じられる。アンコールでのMCはやはり涙。ここまで引っ張ったのは、本当に他意はなく、口にするとプレイヤーとして保てないということなのだろう。堰を切ったように一気に会場の雰囲気がツアー・ファイナルのそれから、脱退前ラスト・ライヴに塗り替えられていく。

Aldiousの中でも底抜けにポップな楽曲「Red strings」を挟んで、ラストを締めくくるのはRe:NO加入後最初のリリースとなった「White Crow」。この選曲には、加入当初のことを思い起こすファンも多かったはず。インストを含む全19曲をTSUTAYA O-EASTのオーディエンスにぶつけたAldiousのRe:NO脱退前ラスト・ライヴ。バンドの今後についてはまだ白紙とのこと。この大きく深い穴はそう簡単には埋まらないだろうと思ってしまうほどに充実した公演だったが、これもしっかりと記憶に残しつつ、今後また新たなヴォーカリストを得てAldiousが再始動する日を心待ちにしたい。


[Setlist]
1. We Are
2. Persevere
3. THE END
4. 愛しい男
5. puffy eyes
6. Instrumental 5
7. I Don't Like Me
8. Deep
9. 夜桜
10. die for you
11. Absolute
12. Monster
13. Dominator
14. Go away
15. Re:fire
en1. All of You
en2. Utopia
en3. Red strings
Double en. White Crow

  • 1