FEATURE
Aldious
2017.10.11UPDATE
2017年10月号掲載
Writer 井上 光一
現在、最新作『Unlimited Diffusion』(2017年5月リリース)を引っ提げた、バンド史上最大規模のロング・ツアーの真っ最中であるAldiousから、新たな映像作品が到着した。今年6月17日に開催されたディファ有明公演の模様を収めたライヴ映像作品で、彼女たちの"今"を知るにはもってこいの内容となっている。すでに"SUMMER SONIC"や"LOUD PARK"等々、多くの大舞台を経験済みではあるが、ワンマン公演としては過去最大級の会場であったことも踏まえて、ファンとバンド双方にとって、実に意義深い作品になったと言えるだろう。
期待に満ちたオーディエンスの歓声のなか、SEが流れ出し、青を基調としたライトに照らされたステージに、まずは演奏隊の4人が1人ずつ登場。メンバーが揃ったところで、最新作のオープニング曲でもある「Utopia」の、Yoshi(Gt)&トキ(Gt)によるツイン・リードで魅せるイントロが鳴り響き、白いドレスが映えるRe:NO(Vo)がステージに立ち、威勢のいいMCと共にライヴは幕を開けた。初っ端から惜しみなくジェット・スモークが噴き出す演出、ラインストーンで輝く柱やシャンデリア、センターへと続く花道が設置された豪華なステージはもちろん、この日初めてのお披露目であったという新衣装にも注目してほしいが、無論、広い会場ならではの派手な演出も、ステージに立つだけで華のあるメンバー5人のライヴ・パフォーマンスを彩る舞台装置でしかないことは言うまでもない。ヘヴィ・メタルにこだわらない楽曲作りがより顕著になった最新作中心のセットリストで、ライヴという場において、自分たちが演奏すればAldiousというサウンドとなる......といったような自信が改めて伝わってくるようであった。"レモン"なるRe:NOとトキによるアコースティック・デュオの演奏も披露され、「I Don't Like Me」には非常にパーソナルな感情が込められており、印象的だった。演奏隊4人によるインスト・ナンバーもあり、それぞれのソロ・パートもきっちり盛り込まれている。中盤には、ジャンルレスに活動しているヴァイオリニスト、金原千恵子女史をゲストとして迎えた「マリーゴールド」と「Reincarnation」が披露され、Marina(Dr)とトキ、それぞれタイプの違う作曲家による楽曲の世界観が、どちらも美しく表現されていた。サワ(Ba)によるアップライト・ベースの演奏も見どころであろう。後半以降はとびきりポップな「Without You」、ファースト・アルバムからのヘヴィな「Luft」といった新旧の楽曲を畳み掛けるように演奏し、本編終了。2回のアンコールにも応え、アンセムと呼ぶに相応しい「Ultimate Melodious」でもって、長丁場のライヴは幕を閉じた。全員がステージの花道に集まって、手を繋いでマイクを通さずにオーディエンスへの感謝の言葉を述べて、深々とお辞儀をするところまで、きっちり映像に収められているというのも特筆すべき点であって、ライヴ追体験という役割を期待する向きにも、満足できるであろう映像作品となっているのだ。
経験と結果は決して裏切らない。紆余曲折ありながらも、現時点で6枚のアルバムをリリースし、地道にツアーを重ねていく愚直なまでのスタイルは、嬢メタルの立役者などといった先入観だけでは知ることのできない、バンドとしてのひとつの正しい在り方そのものである。MCでRe:NO自身が口にしていた"すごい景色"は、そのようなバンドだからこそ生み出すことのできたものであり、それは本作を手に取った人全員が共有できる"景色"なのだ。
▼リリース情報
Aldious
ライヴDVD
『Live Unlimited Diffusion』
NOW ON SALE!!
ALDI-015/¥4,700(税別)
[Rediant A]
amazon TOWER RECORDS HMV
1. Opening
2. Utopia
3. ジレンマ
4. 梅華
5. die for you
6. ノスタルジック
7. I Don' t Like Me
8. Instrumental 4
9. Re:fire
10. Go away
11. マリーゴールド
12. Reincarnation
13. Sweet Temptation
14. Without You
15. Luft
16. IN THIS WORLD
17. Dominator
18. Dearly
19. 夜桜
20. Ultimate Melodious
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