LIVE REPORT
FABLED NUMBER
2018.03.20 @代官山UNIT
Writer 杉江 由紀
剥き出しの熱情と、露わな衝動と、ありのままの野心。この夜のFABLED NUMBERがライヴという場で発散していたのは、いろいろな意味での赤裸々さであったと言えるだろう。
昨年11月、メジャー・レーベルからの第2弾作品として彼らが発表したアルバム『THUNDER』が、まさに名は体を表すかのような鮮烈さに満ちていたことを考えると、すでに昨年から始まっていたという今回の全国ツアー[2nd album "THUNDER" release tour 2017-2018]の内容もまた、当然のように相当な熱量を孕んだものになっていくであろうことは、ある程度までは予測できていた。それでも彼らは、この夜まず1曲目の「The Lights」を放ってきた時点から、軽々とその予測ラインを越えてきてみせたのである。バンド側の射出してくるヴァイブスが非常に強力なせいか、早くもこの段階でフロアは盛大なクラウド・サーフ現象が起きることとなり、レアなMako-Albertによるギター・ソロも堪能できた3曲目の「The night lets us dance,dance,dance」では、フロントマン、N'Eita(Gt/Vo)のヴォーカリゼーションが扇動するまでもなく、シンガロングの渦が大発生。今ツアーの最終地となった代官山UNITには、ここまで得てきた全成果をパフォーマンスに託そうとするFABLED NUMBERと、彼らのサウンドを全身で享受しようとする観衆の姿が在ったのだ。あげく、4曲目の「ザ・クロスレインボー」では"お兄ちゃん"の愛称でおなじみのベーシスト N'Taichiが、本来あまり切れることがないはずの一番太い4弦を勢いあまってブチ切ってしまうという、なかなか珍しいトラブルが勃発することに。さすがに、気合の入りすぎにもほどがある(笑)。
"お兄ちゃんの4弦は切れちゃったけど(笑)、今日は最高に自由に、最高に楽しいツアーの最後を迎えに来ました! 心の底から、みんなここに集まってくれてありがとう。ほんまみんなおおきに。たった8ヶ所かも知らんけど、今回は『THUNDER』というCDを一生懸命作って出して、ライヴもここまで一生懸命回って来ました。みなさんのその笑顔をもっともっと最高なものにするために、今日は限界まで歌います。みんな、ついてきてくれますか!?"。かくして、ライヴ中盤に向けてもMr,Donuld Betchの叩き出すビートがオーディエンスたちを踊らせた「Good-Bye」や、いったんギター、ベース、ドラムの生バンド隊だけが捌けてChii,pucchiのキーボードとIkki-Rodriguez(Samp/Prog)の操る同期デジタル系の音のみをバックにしてN'Eitaが歌ってみせた「Ride the Sound」、場内に突如リフトの長壁が出現した「YES」など、様々なタイプの楽曲を通してFABLED NUMBERは今この段階で持てる力というものを遺憾なく発揮してくれていた。また、本編後半での「世界は君に鳴り響く」ではN'Eitaがギター1本で弾き語りを展開する一幕もあり、この場面ではFABLED NUMBERの生み出す音楽の核にあるのはあくまでも良質な旋律である、ということが証明されていたのではないかと思う。そして、そんな"静"の部分を強調してからの本編ラストがアルバム『THUNDER』収録の中でもずば抜けてダンサブルで派手派手しい"動"を象徴する「Like a Thunder」であったという流れは、実に完璧だったと認めざるを得ない。
"みんな、ほんまありがとう! これにて今回のツアーを終了とさせていただきます!!"。もはやカオティックな様相さえ見せることになった、その後のアンコールにおける思い切りはっちゃけたパリナイぶりも秀逸であったが、おおよそすべてを出し切ったかのような面持ちでN'Eitaがそう告げたときのその明るい笑顔は、そのまま今ツアーの成功を意味していたと確信する。なお、今回のライヴではMCにて6月20日に初のシングル『I Bet My Life(or Death)』が発売されることも告知されたのだが、その初回限定盤にはこの日のライヴの模様を収録したDVDが特典としてつくそうだ。さらに、このシングルの発売を記念した東名阪ツアー[1st SINGLE"I Bet My Life(or Death)"release tour ~FABLED NUMBERのメジャー初シングルを盛大にお祝いしまSHOW!!~]も行われるとのことなので、今がちょうど伸び盛りといえるFABLED NUMBERのやんちゃぶりを堪能してみたい、という方はぜひともチェックしていただきたい。彼らはきっと、容赦ないほどの熱情と衝動と野心であなたを虜にしてくれるはずだ。
[Setlist]
1. The Lights
2. Move
3. The night lets us dance,dance,dance
4. ザ・クロスレインボー
5. 夜の鼓動
6. AAO
7. Sing In A Night
8. Good-Bye
9. Keep on Killing me
10. Ride the Sound
11. ONE Time (Justin Bieber Cover)
12. Encounter
13. Don't let me go
14. YES
15. I Don't Wanna Write This Story
16. Push me
17. World Joke
18. Two
19. Sorry, I beyond the scene
20. トワイライトシティ
21. 世界は君に鳴り響く
22. Like a Thunder
en1. We don't care what you break my mind
en2. The King
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