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INTERVIEW

FABLED NUMBER

2019.01.16UPDATE

2019年01月号掲載

FABLED NUMBER

メンバー:Eita(Gt/Vo)

インタビュアー:杉江 由紀

キラキラではなく、ギラギラするくらいの野心がここには溢れ返っている。武骨なラウドロックとはひと味違う、爆音でありながらもセンスフルなポップ要素とバンド・サウンドを主軸とした高揚感たっぷりな音像で独自世界を構築するFABLED NUMBER。彼らが、昨夏に提示したシングル『I Bet My Life(or Death)』以来のアイテムとなる待望のフル・アルバムに冠したタイトルは、その名も"Millionaire"だ。ライヴ・バンドでもあるFABLED NUMBERが今後に向けたツアーを意識しながら作ったという今作は、彼らにとって大きな分岐点としての意味を持つものへと仕上がった。黄金郷へと向けた新たなる物語が今ここから始まる!

-FABLED NUMBERは、2018年6月にメジャー初のシングル『I Bet My Life(or Death)』を発表しましたが、文字どおりあれはこのバンドにとっての転機となるものでした。そして、そこから約半年が経って今ここにアルバム『Millionaire』が完成したと考えると、今作にはそれ以降の最新型のFABLED NUMBERが凝縮されていることになりそうですね。

インディーズからメジャーに来て、これまでに出した『ILLUMINATE』(2017年2月リリース)と『THUNDER』(2017年11月リリース)という2枚のアルバムに関しては、基本的に昔からやってきたことの延長線上にあったものだったんですよね。ただその期間には、新しい音の出し方を学んだり、自分たちの中で聴く音楽がいろいろと変わってきたこともあったりして、少し自分たちが目指したいサウンドであるとか、表現したいことがだんだんと変わってきたんです。というか、変わったというよりも幅が広がってきているという言い方が正しいかもしれないですけど。そういう意味で、去年6月に出したシングル『I Bet My Life(or Death)』は僕らの思う"ここからのFABLED NUMBER"を具体的にかたちにしたものだったんですよね。要は、僕らはあそこで『THUNDER』とかを聴いてライヴに来てくれた人たちのことをいい意味でどこまで裏切れるのか、みたいなところがもっと欲しくなったんですよ。実際、そこを目指していったら、あのシングルを出したあとのツアーは3本しかなかったんですけど、どこもすごい良かったんです。

-目論見が見事に当たったわけですね。

結果、夏のツアーでそこが手応えとして強く得られたのもあって、今回のアルバムでは迷いなく自分たちの進みたい方向へより進んでいくことができたと思いますね。具体的に言うと、FABLED NUMBERが普段ライヴでやっているようなことを音源にもしっかりと反映させていくようにしたんです。『I Bet My Life(or Death)』から今回のアルバムに至るまでの間で、その意識が固まったことは自分たちにとって大きかったと思います。

-ちなみに、プレス向けのセルフ・ライナーノーツにも"今作はFABLED NUMBERとしてリリースしてきたどのアルバムよりも勢いを感じさせるアッパーな楽曲を揃えたいという想いがあった"との記述がありますね。

そもそも、FABLED NUMBERは外に向けて強いエネルギーを放出するタイプのバンドですからね(笑)。うちらの音源を聴いてライヴに来てくれる人たちというのは、単純に音としてのサウンドを聴きたいというだけではなくて、FABLED NUMBERの音を体感することで、何かを発散したいと感じている人たちが多いと思うので、そこにちゃんと応えられる曲が欲しかったんです。当然、それは自分たち自身がやりたいことでもありました。

-つまり、需要と供給がさらに噛み合う作品となったということなのでしょう。冒頭のインスト曲「The World's End」から最後の「Be Louder」に至るまで、曲調はそれぞれ違えど、サウンド全体に躍動感とエモさが満ちているのは間違いないです。

『Millionaire』は、どの面から見ても自分たち自身で納得のいく作品に仕上がったなと感じてます。2曲目の「The Wall」や5曲目の「Nothing to Change」みたいに、アッパーな感じの曲を多くしたのもひとつの特徴だと思いますよ。実際、作っていくなかでも具体的に"この曲のイントロはライヴでみんなが一緒にジャンプできるような雰囲気にしたいよな"とか、"ここは観ている側にも歌ってもらえるようにしようか"とか、ライヴでやったときのヴィジョンを持ちながら作り込んでいった曲が結構あるんです。これまでだと、そのあたりはメンバー間で暗黙の了解みたいなところでやっていたんですけどね。今回はあえてそこにもっと踏み込んだというか、兄弟間(Eita、Taichi/Ba/Cho)でも明確に言葉でやりとりする場面がかなり増えました。

-そうなると、作業は以前よりもスムーズだったということになりますか?

いや。むしろ、僕なんかは悩むことが増えましたね。何かひとつアイディアを出すにしても、これまでだとそのまますんなり通ることが9割くらいだったのに、なかなか通らないことが何回かあったりしましたから。レコーディング中にTaiちゃん(Taichi)から"お前、ちょっとスランプ来てるんちゃうか!?"って言われたりしましたよ(笑)。一番応えたのは、あれをズバっと言われたときだったかもしれない。

-なるほど......。"よりいいものを作りたい"というところでのプレッシャーが、その時期のEitaさんには重くのしかかっていたのかもしれませんね。

おまけに、そのころちょうどPCのデータが全部ファイルごと飛んでもうて。保存していたはずなのに書いていた詞が3曲分くらいなくなってしまって、もう"はぁ~っ"って溜息しか出ないくらいすごい落ち込んだりもしたんですよ。ただ、今思うと逆にあの歌詞はあのとき飛んで良かったなと思ってます。

-ずいぶんな災難でしたね。とはいえ、なぜそれが"今思うと良かった"なのですか?

仮にあれが残っていたところで、それを使ってもしゃあないもんにしかなってなかった気がするんですよ。正直、消えたときはキツかったですけど。でも、改めて書き直したことでそれがいい方に転がったんじゃないかと思うんです。特に、「The Wall」を書き直して今のこのかたちにすることができたというのが大きくて、そこを境にして一気に何かが開けたんですよ。それによって、すでにできていた歌詞に関しても"ここはもっとこうしよう"とか"これも書き直したい"という気持ちになって、それでようやく完成したのが『Millionaire』でした。

-"災い転じて福となす"をまさに地で行ったとは素晴らしい! ちなみに、歌詞の内容がより良くなったことによりEitaさんのヴォーカリストとしての在り方にも、何かしらの変化は生じたりしましたか?

『THUNDER』を出したころは、変な印象を持たれるくらいならあんまり強い主張はしない方がいいのかなぁ、と考えていたところもあったんですよ。でも、自分たちが憧れる先輩にも人を導けるような力を持っている方々がたくさんいるし、みんなが聴いて共感できる歌を表現することがとても大事なんだな、ということもこの1年くらいで勉強してきて、"じゃあ、自分はここからどんな自分をみんなに見せていくのが正解なんやろう"っていうことを今回は改めて考えたんですよ。まぁ、そこに対する回答はまだすべて見えたわけではなくて、今も自分の中の課題としてあるものではありますけど、とりあえず現段階での自分は、個人としての個性よりもFABLED NUMBERというバンドのイメージを広めていくことを一番の役割として歌っていく必要があるんじゃないかなと思ってます。

-『Millionaire』は実際のところ、FABLED NUMBERとしての強い存在感がさらに確立された1枚として仕上がっている印象です。同時に、その中でのEitaさんの歌はバンド・サウンドを牽引しているようにも聴こえますよ。

ありがとうございます! もともと、ウチはバンドとしての個性とかクセも強い方ではありますからね(笑)。もはやそれは意識しなくても自然と出てしまうものだし、メロディ・ラインの流れとかもやっぱりほかのバンドとは違っていると思うので、そこは特に強調しなくても音に出ていると思います。そういう音の中だからこそ歌が生きてくるバンドであり続けたい、という気持ちはこのアルバムでかたちにすることができました。