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LIVE REPORT

THE STARBEMS

2014.12.10 @TSUTAYA O-WEST

Writer 荒金 良介

THE STARBEMSの2ndフル・アルバム『VANISHING CITY』はラウドもポップもコーラスもアレンジも磨きに磨き上げ、持てる武器を総動員した傑作である。まだ未聴のかたがいたら、今からでも遅くはないのでぜひチェックして欲しい。そして今作を聴いたら、過去作も気になって仕方がなくなるはずだ。その最新作のレコ発ファイナル公演は、僕自身も心の底から楽しみにしていた。

この日のオープニングはNorthern19が登場。今年6月に出た5thアルバム『DISCOVERY』は会心の一撃と言える素晴らしさだった彼ら。メロディック10年選手に突入し、不動のメンバー3人で培った疾走度、グルーヴ感をここでも炸裂。中盤、季節をコンセプトにしたシングル『WINTER,WINTER』収録の「SNOWBLIND」を演奏。イントロの鈴の音色を合図に猛烈に熱く歌い上げる笠原(Gt/Vo)、澄んだ裏声を存分に活かした井村(Ba/Vo)のツイン・ヴォーカル/ハーモニーが冴え、直情パンクとは趣を異にする美メロ・メイカーの側面も強烈にアピール。"みんな青春を忘れるなよ。日高さんも青春を忘れてねぇんだよ!"と笠原が吠えた後、最後は豪快なシンガロングを作り出し、今日の主役にバトンを渡す。

そして「ウルトラセブン」をSEに、越川和磨(Gt)、菊池篤(Gt)、後藤裕亮(Gt)、高地広明(Dr)、サポートの山下(Ba)、最後に"東北ライブハウス大作戦"のタオルを掲げて日高央(Vo)が現れ、計6人がステージに所狭しと揃う。「Working Youths」から観客は拳を突き上げ、導火線ナシでフロアを着火させる荒ぶるサウンドを叩き付ける。「Let Lights Shine」に入ると、日高の激高スクリーム、男臭い勇壮なコーラス・ワークも相まり、激しいモッシュを誘発して会場の温度は急上昇!うねりを上げるギターをイントロに配した「Pitfalls」では山下も感情剥き出しでコーラスに参加する姿が目に止まり、また、"渋谷、頭振れ!"と執拗に観客を焚き付ける日高の前のめりの姿勢に序盤からグッときた。ラウド&ポップのサンドイッチで魅了する「Vanishing City」もライヴ映え抜群で、サークル・モッシュが続発する右肩上がりの熱狂ぶりだ。メロディの良さとスケール感のある「THE CRACKIN'」で心を鷲掴みにされると、中盤には個人的に大好きな「Sublime」を解き放つ。エンジンを吹かしまくるハードコア調のスピード感にもシビれるが、声が裏返ろうとも気にせずに血ヘドを吐くようにスクリームで捲し立てる日高の歌声は圧巻だった。MANO NEGRAのカヴァー「KING KONG FIVE」で日高が早口ラップを決めれば、菊池もハンドマイクで歌に参加し、狂騒のパーティー空間を作り上げる。それからBEAT CRUSADERS時代を臭わせるポップなメロをまぶした「Sweet Nothing Blues」、METALLICAの「Blackened」のフレーズを忍ばせた「DESTINY」で会場を大合唱の嵐に巻き込み、"俺たちと歌ってください!"という言葉と共に本編ラストは「Everybody Needs Somebody」で締め括る。この日最大級のシンガロングを生み出し、声と汗がぐちゃぐちゃに混ざり合うキラキラした風景をすべての観客が共有していた。

アンコールでは1stアルバム『SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD』でゲスト参加した笠原を招き、「GOOD-BYE LOVE」をプレイ。日高とヴォーカルを分け合い、ステージもフロアも関係なく、ここにいる全員が目を一段と輝かせて音と戯れる様子は本当に素晴らしかった。"バンドはライヴをやらんとダメ、みんなに感謝してます。これからもよろしく!"と越川が語りかけると、続けて"西くん(越川)においしいところを持っていかれた。人のせいにしないで、おじさんも頑張るから、若者も頑張れ!"と日高が檄を飛ばし、最終曲「FUCKIN' IN THE AIR」で盛大に幕を閉じた。2015年、THE STARBEMSはますます大暴れしてくれるに違いない。その予感と期待しか浮かばない激越ライヴだった。

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