LIVE REPORT
ALL OFF
2013.09.28 @渋谷WWW
Writer 荒金 良介
ライヴ終了後、本当の意味で彼らの始まりはここからじゃないか、と強く思った。今日のショウで何かを終わらせ、新しい扉をこじ開けるような前のめりのエネルギーが炸裂していた。3rdミニ・アルバム『Follow Your Heart』レコ発ファイナルは結成以来、初のワンマンとなり、めでたくソールド・アウトを果たした。
19時10分、大槻真一(Dr)を先頭に、畑島 岳(Gt)、内藤祐貴夫(Gt)、越本兼瑛(Ba)が順に姿を現し、ドラムのカウントが一発大きく鳴り響くと、ゆっくりステージ中央に松浦奏平(Vo)が歩み寄り"渋谷、調子はどう? ALL OFFは初っ端から容赦しないから!"と宣言すると、「Nothing」で勢い良くスタートを切った。満員の会場は早くも沸き、次の「What Everything Is」でフロアの真ん中を開けてくれと指示すると、ウォール・オブ・デスを誘導し、観客の熱気をさらに煽ってくる。バンドを長く続けて来て、まさかワンマンができるなんてと松浦は感慨深げにMCしていたが、序盤から胸に迫る思いがあったのだろう。それからライヴで初めてやるという「Fuck Up」で大合唱を巻き起こし、メンバー自らステージでジャンプすると、「Blind」で観客も飛び跳ねて一体感を作り上げていた。一方通行ではなく、双方向で感情や熱を交わし、まだ見ぬ景色を共有したい。バンドの一挙手一投足にそうした覇気やエナジーが漲っていた。中盤に入ると、これまでの雰囲気とガラッと変わり、1stミニ・アルバム『From Midnight To Sunshine』から3曲続けて演奏した。最初に書いたいちばんメッセージ性のある曲という「Find Yourself」、そして、「Wake Me Up When The Nightmare Is Done」、続けて1stミニ制作前に別れがあり、その気持ちをメロディに込めたという「Miss You」と続き、パーソナルな感情を吐露したミドル・テンポの曲調でしっとり聴かせた。孤独な経験をしたことがあるなら、全力でサポートするとMCでも補足していたが、聴き手の心の奥底に染み込むエモーショナルな楽曲をやれるところも彼らの強みだろう。それから再び「Wanna Be」、「Your Life In Fashion」とアッパーなナンバーで畳み掛け、松浦は2ステップを踏む激しいアクションで引き付ける。ステージ背後のスクリーンにはガラスの破片や雲の映像などが流れ、視覚的にも楽しませてくれた。疾走感抜群の陽光さが際立った「California Sun」ではサークル・モッシュを作ると、ここで新曲をプレイした。「Party Anthem」という名の通り、"ウォーウォー!""イェーイェー!"というわかりやすい合唱コーラスを用いた底抜けのパーティ曲でフェスなど不特定多数の音楽リスナーが集まる場所でも支持されそうな楽曲だなと感じた。後半は最新作から「Little Love」、「Young Hearts」、ラストはバラード「Song For You」で壮大に締め括り、スクリーンにはCDショップや各地のファンと交流するメンバーのフォトが流され、心温まる演出が施された。
アンコールではもう1つの新曲「Say Goodbye」を惜しげもなくやり、これがヘヴィ、メロディアス、キャッチーの三拍子を揃えた佳曲だった。最後はメタルコアとダンサブルな要素が溶け合った「Just Tonight」で会場全体を熱狂のダンス・フロア化させ、約1時間半に渡るライヴを盛大に終えた。この日メンバーも告知していたが、12月には今日プレイした2曲を含む新作が発表される。"もっといい景色を見せようぜ!"と松浦がライヴ中に声高々と叫んでいたが、ここに集まった多くの人がその言葉を強く胸に刻んだことだろう。
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