LIVE REPORT
PANIC! AT THE DISCO|SUMMER SONIC 2011
2011.08.14 @QVCマリンフィールド&幕張メッセ
Writer 山本 真由
PANIC! AT THE DISCOの最新作である3rdアルバム『Vices & Virtues(邦題:悪徳と美徳)』は素晴らしい作品だ。初期の煌びやかなポップネスとエモさを取り戻しつつ、2ndで見せた玄人嗜好の普遍的なロックの下敷きも十二分に活きた楽曲群は、アルバムとして一つの完成された美を持つものとなっていた。その楽曲がどのようにライヴで表現されるのか、という期待感は彼らの新作を聴いたファンなら誰もが持っていたんじゃないだろうか。
そして、09年にRyan(Gt&Vo)とJon(Ba)が脱退した後、実際PANIC! AT THE DISCOはどうなったんだろう?というところにも注目が集まっていたと思う。
白いシャツをさらりと羽織った爽やかな出で立ちで登場したBrendon(Vo, Gt&Key)と、Tシャツにベストを合わせたオシャレなSpencer(Dr)。この暑さじゃ、PVのようにクラシカルなスーツ姿じゃ無理か(笑)。しかし、カジュアルでも何処か品の良さを見せるところは流石!
始まりは勿論新作から、テンポが良くノリやすい「Ready To Go」!サポート・メンバーのIan(Gt)とDallon(Ba)も、ツアーですっかり慣れているらしく、もうこのままバンド・メンバーで良いんじゃないかってくらいパニック独特の世界観にもぴったりマッチしていた。
Brendonの声も最初から良く出ていたし、所狭しとステージを舞い踊るように歌うBrendonを見ているだけでも楽しくなってしまうような、魅惑的な熱のこもったパフォーマンスにオーディエンスはすっかり引き込まれてしまう。さらに、『Vices & Virtues』からの1stシングル「The Ballard Of Mona Lisa」が披露されると、待ってましたとばかりにアリーナからは歓声が上がる。新曲もしっかりコーラス・パートではシンガロングがおき、熱心な固定ファンだけでなく、本作からパニックにハマった新たなファンも多く居たんじゃないかと感じられた。
また、「Camisado」「Hurricane」と踊りやすいナンバーが立て続けに披露され、アリーナはジャンプとステップで揺れた。途中、高揚したBrendonのヴォーカルは殆どスクリーム・ヴォーカルのように変化し、ライヴならではの激しさを伴っていた。
そして、熱気も最高潮というところでの初期のヒット・ナンバー「The Only Difference Between Martyrdom And Suicide Is Press Coverage(邦題:殉死と自殺の差は記事になるかならないか)」!Brendonはオーヴァー・アクションに全身で盛り上げ、Spencerの軽やかだかパッションに満ちたドラミングも、オーディエンスの狂乱を煽るように畳み掛ける。続く「Let's Kill Tonight」では、Brendonもパーカッションを叩く一幕もあり、サービス精神たっぷりのパフォーマンスだ。ラストは「I Write Sins Not Tragedies」と、ニュー・アルバムの最後の曲「Nearly Witches」で感動的なラストを飾った。満ち足りた空気感に包まれた会場には沢山の拍手が響いていた。
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