INTERVIEW
locofrank
2025.09.04UPDATE
Member:木下 正行(Ba/Vo) 森 勇介(Gt/Cho) 横川 慎太郎(Dr)
Interviewer:フジジュン
一回止まりかけたバンドやから"どうせやるんやったら、3人で楽しんでやろうぜ"というところではある
-そんな日々の中にある様々な感情も丁寧に描いて、アルバムのラストを「Reborn」で締めくくって。"真新しい気持ちで今日を迎えよう"と歌う「Second prologue」から再び聴き返したとき、繰り返しのような毎日だけど、一日一日を大切にして1つしかない命を燃やし続けようというメッセージを、僕は受け取りました。
木下:たぶん勇介はそこまで考えてたんでしょうね。天才ですね。
森:いや、全く考えてません(笑)。
-わはは(笑)。そこは勝手にそう受け取った僕の感想なんですけど、やはり、アルバムじゃないと伝え切れないことってあるなと改めて思いました。
木下:特に今回は3人が曲を書いて、3人が歌詞を書いてってところで、それぞれの人柄が出るなというのは思いましたね。よこしんが入ってから、歌詞を各々が書くことが増えて、こっ恥ずかしいですけど、酒飲みながら喋るのとも違う新たな勇介やよこしんというのが、垣間見えてきたところはありました。
-さらにこっ恥ずかしいかも知れませんけど、そんな、それぞれの人柄がよく見えてきた曲を具体的に挙げるとすれば?
木下:勇介はもう中学からの付き合いなんで、どんなやつかもだいたい分かってるんですけど、30年くらい一緒にいて、変わらない部分と変わった部分があるなっていうのがあって。勇介の曲やと、「COUNTRY TOWN」の日本詞を読んだとき、一緒に歳を重ねたというのもあって"いろいろ経たな"って思いましたね。温かい気持ちにもなるんですけど、抱きしめられたいって気持ちと、抱きしめたいんだろうなって気持ちが汲み取れるというか。牙がなくなったわけじゃないけど、懐がすごく深くなって、こいついい年の取り方をしてんだなってのをすごく感じて、僕もこういう歌詞が書ける年の取り方をしたかったなと思って、単純に嫉妬しましたね......これは今日初めて言いましたけど。
森:いやぁ~、すごく嫌です、今のエピソード。全カットでお願いします(笑)!
-わはは(笑)、ダメです。すごくいい話じゃないですか! そんな2人の関係性が羨ましいとさえ思いますよ。
木下:よこしんは僕みたいな性格ではないので、あまり自分の本性を外に出さないところがあるんですけど、やっぱり内に秘めてるものがあるんだろうなと考えてて。それを僕みたいなガサツなやつとは共有しづらいところもあると思うんですけど、「My dear darling」では好きな人に対する素直な想いを全部出していたんです。あの曲を聴いたとき、"これを歌うのはちょっと覚悟を決めないといけないな"と感じて、"この曲の歌詞はどういう意味?"とかよこしんにいろいろ聞いたんですけど、"いや、大切な人に本当に幸せになってほしくて"と説明してくれるのを聞いて、全部理解して。自分なりに吸収した上で、全力で歌ってます。
-よこしんさんの想いを背負ったんですね。
木下:メラメラしてるところがちゃんとある子なんでね、時間はかかりましたけどその想いはちゃんと受け止めて。僕も一皮剥けさせていただきましたね。
-ではせっかくなんで、それぞれ本作で特に思い入れの強い曲を聞かせてください。
木下:僕はよこしんが書いてくれた「LAST WORDS」ですね。あれは楽曲自体、そもそも自分の中にあるものではなくって、すごく好きなメロディや展開もあって、"僕に歌詞を書かせてくれ"ってお願いして書かせてもらったんですけど。僕たちもいい年になってきて、周りでさよならする人が増えてきてしまって、いつまでバンドをやれるか? という気持ちは、常々抱いてるところだったりするんです。人としても、誰かとさよならしなきゃいけないという環境になったとき、日常にある一喜一憂する言葉であったり行動であったり場面だったりが、いかに尊いものか? を考えさせてくれて見つめ直させてくれる出来事も多々あったので、それを曲にしたくて書いたんですけど。結構悩みながら書きましたね。
-僕も最初、歌詞を見ずに通しでアルバムを聴いたとき、「LAST WORDS」がすごく引っ掛かって、"どんなこと歌ってるんだろう?"と思わず歌詞を聴いたんですけど、楽曲を聴いておぼろげに描いていた風景と歌詞がばっちりハマって、すごく驚いたので。今の話を聞いて、木下さんが最初にこの曲を最初に聴いたとき、パッと頭に浮かんだ風景があったんじゃないか? と思いました。
木下:それはあるかも知れないですし、アルバムだからできたアプローチやと思います。
-勇介さんは思い入れの強い曲、いかがですか?
森:僕は正行が書いた「CHOICE」なんですけど、"ザ・locofrank"といった曲やと思うし、良くも悪くもこれをずっと書き続けられる正行ってすごいなと感じるし、こういう曲はやっぱ好きですね。
木下:あざぁ~す(笑)!
-1曲目、疾走感のある「Second prologue」でテンションを上げて、2曲目の「CHOICE」を聴いたとき、"これこれ!"っていう待ってました感がすごくあります。
森:僕等もそんな感じがあるんですよ。
-で、「My dear darling」~「Time to go」と新しい感じも見せつつ、アルバムの世界の奥底へと導いていく。そういう意味でも導入部としての1、2曲目はすごく重要です。よこしんさんはいかがですか?
横川:僕も「LAST WORDS」はすごく印象に残ってて。最初、曲を何曲か持っていってメンバーで聴いて、"この曲やりたいね"ってセレクトしていったんですけど、「LAST WORDS」を2人共"この曲好きや"と言ってくれたのが、単純に嬉しくて。locofrankっぽくはないかも知れないんですけど、"いい曲やな"って言ってくれたのが嬉しかったし、思い入れもすごく強い曲になりましたね。
-次の作品を出すとき、「LAST WORDS」みたいな曲がlocofrankの新たな可能性というか、これまでなかった選択肢を導き出してくれるかも知れないですし。お話を聞いてると、今作は"新しいことをやろうぜ"みたいな狙いがあるわけでなく、自然な形でバンドの新たな挑戦や方向性を見いだしてくれた感じがありますね。
木下:印象的やったのが、よこしんが入って初めてのフル・アルバムを作ろうって話をしてたとき、勇介が"どうせやったら、おもろいの作ろうや"って言ったんです。今までやったら、アルバム・コンセプトというか、"こんな曲が欲しい"とか"こんな曲やってみたい"みたいな話をしてたのが、"おもろいの作ろう"で始まったのが印象的やったし、僕も"そうやんな"と思ったし。一回止まりかけたバンドやから、"どうせやったら楽しもう"ってのがあの日からあって、"どうせやるんやったら、3人で楽しんでやろうぜ"というところではあるんで、その延長で作り始められたのは良かったし、そこで各々が生み出せたのが良かったのかな? と感じますね。
まぁ、そう言いながら、生みの苦しみもあるでしょうし、歯を食いしばるときもあるんですけど、勇介の言葉に結構救われたところはありました。もうね、天才ですよ。
森:そのノリ、ムズいなぁ(笑)。いや、そんなん言うたの全然覚えてないわ。でもまぁリアルにひしひしと思うことは、"あと何枚アルバム出せるんやろう?"というのは現実的になってますし、その意味では"良いアルバムを作るよりは、おもろいのを作りたい"って気持ちがあったかも知れないですね。3人が納得できて、楽しめるアルバムというのが自分の中では一番良いものだと思うので、"おもろいのを作ろう"って言ったのは覚えてないですけど、その気持ちはありました。
-結果、そんな今のバンドのいい空気感やポジティヴさであったり、モチベーションの高さだったりも、アルバムにギュッと詰め込めたと思います。そして、そんなアルバムに"Resound"と名付けましたね。 アルバム・タイトルに込めた意味を教えてください。
森:恥ずかしげもなく言わせてもらうと、今回のアルバムはいろんな人に聴いてもらいたいし、広がっていきたい、広げたいという気持ちが強くて。"Resound"って"鳴り響いていく"って意味があるんで、ちょっとずつでもこのアルバムが広がっていけばいいなって意味で......って、これたぶん"ripple"と近い意味なんですよ(笑)。だから、1stアルバム(2004年リリースの『ripple』)と意味は一緒で、言い方変えたってだけで。
横川:"原点回帰"ってことですよね?
森:そう! そのほうがカッコいいんで、そうしておきましょう。"響け!"ってことで(笑)。
-わはは(笑)。そして、10月3日から『Resound』ツアー([locofrank presents "Resound Tour 2025-2026"])がスタート。全国にアルバム楽曲たちを響かせる、ツアーへの意気込みを聞かせて下さい。
木下:はい、頑張りま~す! 本当に頑張ります。本当にエモいっすよ、たぶん。自分で言うのもなんですけど、最近のlocofrankはすごくいい味出てるんですよ。たぶんね、今が一番いいです。散る間際の最後っ屁みたいな感じだけど、なかなか散らないっていう(笑)。そんなlocofrankをぜひ観に来てください!