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INTERVIEW

アラウンドザ天竺 × ANCHANG (SEX MACHINEGUNS)

2019.07.12UPDATE

2019年07月号掲載

アラウンドザ天竺 × ANCHANG (SEX MACHINEGUNS)

SEX MACHINEGUNS:ANCHANG(Vo/Gt)
アラウンドザ天竺:ロンドンタナカ(俺) アラウンドザ長老(超重8弦)
ニシキド・カッター(5弦とシャウト) ガワ(雑用と二連太鼓)
インタビュアー:杉江 由紀 Photo by うつみさな

-ちなみに、この両者は対バンされたこともあるそうですね。

ロンドンタナカ:今年の2月に("武蔵野音楽祭"&アラウンドザ天竺共同企画"武蔵野ラウドパークVol.2"にて)初めてご一緒させていただきました。最初は中学生の夢物語みたいな感じで"今度のイベント、SEX MACHINEGUNSが出てくれてたら良くない?"って話していたので、本当に実現したときには逆に"めちゃくちゃ嬉しいけど、どうしよう......ヤバい!?"ってなっちゃったんですよ(笑)。なんかもう、リハを観ているだけでも僕らとしては信じられないくらいデッカい恐竜を見ているような気分でしたね。

ANCHANG:化石みたいに死んでたってこと?

ロンドンタナカ:違います、違います。"ほんとにいたのか、こんなすごい生きものが!"って感激したんです。最高でした。ただ、どうやっても勝てる気がしなくて"うわー、これは無理だ"ってなっちゃいましたよねぇ。

ニシキド・カッター:"これはヤベー、帰ろうぜ"ってみんなで言ってました(笑)。

ガワ:ほんと圧倒されましたからね。

ロンドンタナカ:だから、あの日の俺らは特攻隊みたいな気分で出ましたよ。小細工してもしょうがないから、裸でぶつかっていこう! っていう気持ちで挑みました。

ANCHANG:そうなんだ? でも、いいライヴだったよ。面白いイベントだったし。

-そのイベントの際、ANCHANGさん側はどのようなスタンスで臨まれていたのでしょうか。

ANCHANG:僕らは基本的に呼ばれればどこでも出るんですけど、そうやって持ち上げてもらえることがある反面、悪く言えばおじさん扱いもされてしまうわけで。ああいう若いバンドが集まってるイベントには出たらあかんのかな? っていう気持ちも多少はありましたよ。

ロンドンタナカ:いえいえそんな。本当に出ていただけてありがたかったです! ちなみに、対バンする夢が叶った今、うちの長老はANCHANGさんと釣りに一緒に行きたいらしいです(笑)。

ANCHANG:釣りするんだ。何釣るの?

アラウンドザ長老:バスです。

ANCHANG:バスか。俺は海釣りでも何釣りでもするけど、東京だとバスはなかなか釣れないよ? とりあえず、ルアーは釣具屋さんみたいに段ボールにいっぱい持ってる(笑)。

-確か、20年くらい前から常に機材車に釣り竿を積んでいらっしゃいましたものね。

アラウンドザ長老:じゃあ、今度もし地方とかで一緒になったときは釣りもご一緒させていただいてもいいですか?

ANCHANG:全然オッケー。夜釣りとかも楽しいよ。まぁ毎晩とかやってるとさすがにしんどくなっちゃうから適度にね(笑)。

-ところで、長老さんの場合、SEX MACHINEGUNSの音楽とはいつどのようにして出会われたのでしょうか。

アラウンドザ長老:いつも読んでたギター雑誌がきっかけでした。George Lynchと同じカラーリングの、"ANCHANG STAR"っていうシグネチャー・モデルが載ってて、"あ!"って思ったんですよ。僕もGeorge Lynchが好きなんで。たぶん、あれはデビューされてすぐくらいの頃だったんじゃないかと思います。

ロンドンタナカ:僕は弟から教えてもらいました。うちの弟がとにかくめちゃめちゃSEX MACHINEGUNSさんのファンで、隣の部屋から"みかん! みかん! みかん!"(「みかんのうた」)ってよく聴こえてきてたんですよ(笑)。それで"何を聴いてるの?"って聞いたら、"兄ちゃん、これすごくいいよ"って貸してくれて、僕も一気に好きになりました。この間の対バンのときも、真っ先に弟に"決まったよ!"って報告したら、"マジで? スゲーじゃん!"って喜んでましたね。

ニシキド・カッター:僕はご本人の音より、まずはカラオケで知ったのが先でしたね。友達が「みかんのうた」を歌っているのを聴いて、"なんだこれは!?"って気になってそこからファンになりました。

ガワ:僕がSEX MACHINEGUNSさんを初めて観たのは、"Mステ"でしたね。そこで「みかんのうた」をやっていらして、"こんな曲があるのか!!"って衝撃を受けたのを今でもよく覚えてます。

ANCHANG:僕からするとすべて遠い記憶なんだよなー(笑)。

-どれもだいたい1999年前後くらいのエピソードになるでしょうか。そこからこの20年間、ずっとブレずに活動を続けてきたSEX MACHINEGUNSはやはりすごいと思います。

ANCHANG:途中でソロ・アルバムを出させていただいたこともありますし、ほかでの活動もやってたりしますから、まったくブレてないと言うとそうでもないんですけどね。こう見えて、実を言うと僕はメタルだけじゃなくオルタナ好きでもあったりするんですよ。今回のアラ天(アラウンドザ天竺)がやってる「邦 Limited Sazabys」じゃないですけど、邦楽をバカにするタイプでもありますし。っていうのは冗談にしても(笑)、個人的には海外のパンクとかオルタナみたいな音楽を自分でもやりたいなと思ってやってはみたんですけど、これが実際にはできなかったんですよね。

-できなかった、とはいったいどういう意味なのでしょう?

ANCHANG:自分ではそういうふうにやってみているつもりなのに、なかなかそうはならないんですよ。ヘヴィメタすぎて。外国人エンジニアと一緒にレコーディングをさせてもらったときも、"ミュートが多い!"って言われちゃいましたから。

アラウンドザ長老:なるほど! ザクザクしてたわけですね(笑)。

ANCHANG:染みついているものって、やっぱりあるんだなーって思いましたよ(笑)。まぁ、だから自分にとってのメタルは得意分野になってるんでしょうね。それ以来、"得意なものをやるか"って自分の中では思うようになりました。

ロンドンタナカ:そのエピソード、アラ天とまったく一緒です。もともとはギター・ロックっぽいことをやってるバンドだったんですけど、みんなそれぞれメタル好きだったこともあって、どこかちょっと無理をして"ギター・ロックっぽくやろう"としていたところがあるんですよ。だけど、途中で"もっと自分たちの得意なものを伸ばそう"というふうに方針を切り替えたんです。

アラウンドザ長老:要は、ある時期までは流行りを追いすぎて中途半端になってたんですよね。どっちでもない、みたいな。

ロンドンタナカ:しかも、僕らも根本的には洋楽好きなバンドなんですよ。

ANCHANG:「邦 Limited Sazabys」みたいな曲をやってるのに?

ロンドンタナカ:あの曲は、とある日本のバンドが出てきたときに"JAMIROQUAIじゃん"って思って、そのことを若いヤツと話していたら、そいつがJAMIROQUAIを知らなくて。"僕はあの日本のバンドのほうが好きです"って言われたときに、"あぁ、俺は邦楽好きのことをバカにしてるな"って気づいたところから生まれたものだったんですよ。

ANCHANG:そっかー。僕はメタルの世界にばっかりいたから、日本人が日本人バンドをバカにするっていう光景もいろいろ見てますよ。例えば、"LOUD PARK"にDIR EN GREYとかANTHEMが出たときはブーイングが起こったからね。日本の観客側から。

ロンドンタナカ:なんなんでしょうね? 日本人が、日本のことを卑下して見るところがあるっていうのは。

ANCHANG:"外人すごい!"っていう思い込みはあるんじゃない?

ロンドンタナカ:遡ってくと、マッカーサーとかに洗脳された部分とかもあるかもしれないですよね。

-そのさらに昔まで遡ると、黒船に対する畏怖が未だにどこかで残っていたり(笑)。

ANCHANG:純粋に、洋楽とか欧米の文化に対しての憧れを日本人が感じてるところもあるとは思いますよ。