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INTERVIEW

アラウンドザ天竺

2017.07.10UPDATE

2017年07月号掲載

アラウンドザ天竺

Member:ロンドンタナカ(Vo/Gt) アラウンドザ長老(Gt) ジョン・カッター(Ba/Vo) ガワ(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

デートの下見で緊張して、夜眠れなくなった男の心の叫びと焦りをスピーディなサウンドとスクリームで表現する「ヤバイ、新聞屋さん。」、どうにかして袋とじを見たい、その苦心を鋼鉄のリフに乗せて歌う「グラビアチェック」など、悲哀と笑い満載のヘヴィ・サウンドを奏でるアラウンドザ天竺。ソリッドなビートに乗る、重厚なリフやタッピング、華麗なギター・ソロは"ザ・ヘヴィ・メタル"、そして熱いメロディやヴォーカルには歌謡の匂いも感じさせるバンドである。この4人がデビュー・ミニ・アルバム『タイトルなんでもいい』を完成させた。本気なのか愉快犯なのか、その心を訊いた。

-このバンドは、どんなふうにして始まったのですか。

ロンドンタナカ:アラウンドザ天竺の前に、9年間やっていたtheBrushというバンドがあるんですよ。それがいろいろメンバー・チェンジがあって、このメンバーで2年くらいやったのかな。ワンマンはできるけど、それ以上のでかいハコとかにいけなかったんです。ライヴで手売りの方が売れるからと、CDを流通にもかけずにいたんですけど、新しく今のスタッフにお願いしてCDを出すとなったとき、ここは1回、形勢逆転みたいな形でいこうぜとなって。で、前のバンド名は読みにくいし、書き間違いも多いし、あと10バンドくらいバーッと並んだときに目立たないんですよ。直訳すると"ほうき"なので、検索すると山ほどほうきが出てくるし。

ジョン・カッター:化粧品のブラシとかね。

ロンドンタナカ:それで、バンド名を変えようぜということで、普通に変えても面白くないから一般公募にしたんです。そのいくつか挙がったなかから決まったのが、アラウンドザ天竺だったんですよね。Twitterで調べても検索ゼロ件で、これはいいぞと。

ジョン・カッター:アラウンドザ天竺が、俺らの独壇場になるっていうね。

ロンドンタナカ:"恋する姫は6時起き"というのも気に入ってたんですけどね。

ジョン・カッター:"パイ乙戦隊ブラジャーマン"もありました。

ロンドンタナカ:事前に、アンケートをとったんですよ。"アラウンドザ天竺"と、"ヤバい騒ぎ"と"パイ乙戦隊ブラジャーマン"とで。そしたらダントツ1位だったのが、パイ乙戦隊ブラジャーマンで。

-完全に、ファンのみなさんも面白がってますね。

ロンドンタナカ:それじゃまずいというので(笑)。ファンの子がTwitterで、"バンド名というのは、ファンも使うんです"と言っていたんですよね。例えば"最近どんなバンド聴いてるの?"、"パイ乙戦隊ブラジャーマンです"とか。ライヴハウスの受付で、"どのバンドを観に来たんですか"、"パイ乙戦隊ブラジャーマンです"とか。なので、絶対にやめてほしいというのを見まして。それで一番普通というか、無難なところに落ち着きました。

-アラウンドザ天竺でよかったです。音楽性は、その名前を変えたところから変わっているんですか。

ロンドンタナカ:変わってますね。以前は、今考えてみると適当だったんですよ。誰かがパーッと作ってきたやつを、こんな感じでええわってやっていたんです。でも、個々でこれまで聴いてきた音楽はバラバラじゃないですか。そのバラバラなところを100パーセントまで伸ばして、ぶっ壊していくみたいな感じになっていますね。個々の能力だけを上げていくっていう。例えば、うちの長老とかはメタル畑で育っているんですけど。

-今日もIRON MAIDENのTシャツですね。

ロンドンタナカ:それまでのギターは、曲に合わせていたんですよね。それを合わせなくていいからと。

ジョン・カッター:もともとこのバンドを結成したとき、長老は7弦ギターで、2音半下げで、そのギターで歌モノをやろうとしていて。

ロンドンタナカ:それはやめてって言ったんです(笑)。すげぇポップな歌メロに、ドゥドゥン!! っていうギターが乗っていたんですよ。だから、アラウンドザ天竺は原点回帰みたいなものですよね。カッターはもともと別のバンドのヴォーカルだったから、お前も叫べと。

-原点回帰とはいえ、だいぶ振り切りましたね。

ロンドンタナカ:バンドを始めたころにやっていたことを、今やっているなと思うんです。やっぱり、やっていくうちに変に丸くなっていっちゃうじゃないですか、人間って。これを言ったら誰かが傷つくかなとか、そういうことが増えていって縮こまっていたのが、パンと解放されたような。ただ、大人になったぶん、これは言っちゃダメだというのはわかるので(笑)。

アラウンドザ長老:僕も10年間ライトハンドしてなかったですからね。前のバンドでは一切、タッピングとかしてなかったので。

-その封印していたものを、ここで解いてしまったと。

ロンドンタナカ:初めてのライヴの前に、"ありがとう、俺のこと解放してくれて"って上がっていって。

ジョン・カッター:モンスターかっていうね。メタル・モンスター的な。

-ここからまだまだ本気のメタル曲が増えるかもしれない。

アラウンドザ長老:今回の10倍は超えますよ、余裕で(笑)。

ジョン・カッター:まだモンスターがうずいてますから。

アラウンドザ長老:もう普通のロックを聴いても、何も感じなくなってますからね。