INTERVIEW
アラウンドザ天竺 × ANCHANG (SEX MACHINEGUNS)
2019.07.12UPDATE
2019年07月号掲載
笑える。けれども、ちゃんとカッコいい。この二律背反を音楽の在り方として成立させることはなかなかに難しいことでもあるが、ヘヴィ・メタル・バンドとしてそれを20年以上前から見事に確立させていたのがSEX MACHINEGUNSだ。そして、そのSEX MACHINEGUNSに憧れてきたなかで今このシーンにおいて頭角を現わしてきているのが、このたび最新ミニ・アルバム『タイトルめっちゃ悩む』のリリースと8月8日に行うことが決定している渋谷CLUB QUATTROでのワンマン公演をもって大勝負に出たアラウンドザ天竺となる。百戦錬磨なSEX MACHINEGUNSのリーダー ANCHANGと、目下成長中のアラ天が座談するといったいどのような顛末になるのだろうか......?
SEX MACHINEGUNS:ANCHANG(Vo/Gt)
アラウンドザ天竺:ロンドンタナカ(俺) アラウンドザ長老(超重8弦)
ニシキド・カッター(5弦とシャウト) ガワ(雑用と二連太鼓)
インタビュアー:杉江 由紀 Photo by うつみさな
-このたびはアラウンドザ天竺さんと、SEX MACHINEGUNSのANCHANGさんの対談と相成るわけなのですが、ANCHANGさんがライヴ当日で現在まさにリハーサルを終えこの場に急行されているそうなので、まずはアラウンドザ天竺さんにMV「邦 Limited Sazabys」と同曲が収録される最新アルバム『タイトルめっちゃ悩む』についてのお話からうかがいたいと思います。ずばり、今作たちを仕上げていくうえでの狙いとはなんでしたか。
ロンドンタナカ:僕らの場合、ただできた曲を録って、普通にCDを出すというだけではつまらないなと思っているところがあるので、今回もMVをバズらせて話題を作ってからアルバムを出したいなと思っていたところはあるんですよ。そうしたら、本当にMVがバズってくれました(笑)。
-「邦 Limited Sazabys」は曲そのものにもインパクトがありますし、観ていて笑える大胆なアプローチがなされているMVの内容もあいまって、一部では賛否両論が巻き起こっているのも事実だと思うのですが、アラウンドザ天竺さん側からするとこの世間のリアクションは目論見通りなわけですね。
ロンドンタナカ:最終的に"曲、カッコいいよね!"、"音、カッコいいよね!"ってなってくれればそれでいいんですよ。まぁ、前にレーベル側が用意した宣伝文句には"悪ふざけ型ラウドロック・バンド"みたいな言葉が載ってましたけど(笑)、僕ら自身としてはあくまでこのスタイルが普通なんです。普通っていうのは、自分たち自身が"面白いな"と思うことをやりたいっていうだけの話なんですけどね。それが世間には悪ふざけに見えるなら別にそれでいいやっていう感覚なんです(笑)。
-では、今回のアルバム『タイトルめっちゃ悩む』が完成してみて、各メンバーのみなさんが今リアルに感じている手応えとはどんなものなのでしょう。
アラウンドザ長老:僕はギタリストなので、歌詞とかでふざけられないぶんフレーズの面でいいふざけ方ができたなと思ってます。いろんな曲に対してのオマージュを散りばめてみたんですよ。「邦 Limited Sazabys」みたいな曲を作ってはいても、結局僕も洋楽が大好きなんですよね(笑)。そのへんを聴いてもらえると嬉しいです。
-ネタバレを避けるために曲名は伏せるとして、参考までに今作でオマージュしたアーティストの名前をここで教えていただいてもよろしいですか?
アラウンドザ長老:SLIPKNOTとか、それこそANCHANGさんも好きなDOKKENとか。僕もGeorge Lynch(DOKKEN/Gt)が大好きで、好きすぎて会いに行ったこともあるくらいなので、そういうフレーズも入ってます。あとは、PANTERAとかも。
-全編にわたって音楽愛に溢れた作品になっているわけですね。
ニシキド・カッター:それに、普通に曲を作っているだけだけと物足りなくなってしまうんですよ(笑)。どうしても刺激的なものを求めてしまいたくなるので、今回もなんだかんだ凝って結構時間をかけて作ることになっちゃいました。それだけに、完成度はすごい上がりましたね。メンバーみんなの出したアイディアが、うまくアレンジに活かされました。
ガワ:正直、僕の場合はメタルとかラウドロックをやるにはドラムの技量がまだまだ足りていないという自覚があるんですけど、毎回レコーディングのたびに前作を超えるものにしたいという挑戦をしていて。徐々にではあるとはいえ、今回も僕なりにクオリティを上げることができたなと感じてます。速くてキツいツーバスも頑張りました(笑)。
-......おや。ANCHANGさんがいらっしゃいましたよ!
ロンドンタナカ:ご無沙汰してます! 今日はよろしくお願いします! ライヴ当日でお忙しいところをすみません。
ANCHANG:いや全然。っていうか、男の率がめちゃくちゃ高いなこの部屋(笑)。
-到着されていきなりではありますが、今ちょうどアラウンドザ天竺さんに最新アルバムのお話をうかがっていたのですよ。そして、話の軸として"カッコいいんだけれど笑えるものが作りたい"という件が出てきていたのですが、まさにその部分こそANCHANGさんがSEX MACHINEGUNSで築き上げてこられた核にあるものだと感じるのですよね。
ANCHANG:打首獄門同好会が得意なところなんじゃないですか、そこは(笑)。
アラ天一同:(笑)
-またまたご謙遜を(笑)。いずれにしても、アラウンドザ天竺さんの面々はANCHANGさんとSEX MACHINEGUNSのことを非常にリスペクトされているのは間違いない事実かと思います。
ロンドンタナカ:長老なんて、この間ANCHANGさんと同じアンプを買ってたもんね。
ANCHANG:マジ!?
-ANCHANGさんからすると、自分をリスペクトしてくれているミュージシャンたちが育ってきているという事実に対してはどのようなことを感じられますか。
ANCHANG:どうなんでしょう。そもそも育ってるんですかね(笑)?
ロンドンタナカ:大丈夫です、なんとか育ってます(笑)!
ANCHANG:いやね、だいたいSEX MACHINEGUNSが好きだっていうヤツは売れてないか、さもなきゃギター・ロックみたいなのをやってるのが多いんですよ。意外と。
-そう考えると、アラウンドザ天竺さんはレア・パターンということになりますか。
ANCHANG:うん、普通にカッコいいですよ。面白いなと思う。