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INTERVIEW

アラウンドザ天竺 × ダイノジ 大谷ノブ彦

2018.12.10UPDATE

2018年12月号掲載

アラウンドザ天竺 × ダイノジ 大谷ノブ彦

アラウンドザ天竺(通称:アラ天)がベスト・アルバム『「Welcome to アラテ部。2017-2018」~目指せ!2019年8月8日、QUATTROワンマン!500人来ないとローン地獄!~』をリリースする。"もうベスト?"と疑問符が浮かんだ人は大正解で、結成約2年、ミニ・アルバム1枚、シングル1枚というキャリアにして、無茶ぶりにもほどがあるベスト・アルバムだ。相変わらずおふざけ満載の企画だが、新曲を4曲収録した気合の作品で、しかも定価500円というアラ天を知るにはもってこいの内容となっている。今回は、ただベスト・アルバムについてインタビューするのもつまらないので、アラ天の会いたい人、ダイノジ大谷ノブ彦にご登場願っての座談会を実現。アラ天は結成間もないころにダイノジ主催イベントに出演しており、恩人とのトークは、座談会というよりもこれからのアラ天についての企画会議の様相となった。

アラウンドザ天竺:ロンドンタナカ(歌と6弦) アラウンドザ長老(上手い方の8弦) ジョン・カッター(4弦と高い叫びと色んな声) ガワ(雑用)
ダイノジ:大谷ノブ彦
インタビュアー:吉羽 さおり Photo by RIO NAKAMURA

-そもそもは、どういうことでお知り合いになったんですか?

ロンドンタナカ:僕はもちろんテレビで観てずっと知ってはいました。大谷さんがTwitterで、ダイノジさんが絶叫する60度とのツーマン(2017年11月14日に四谷OUTBREAK!で開催した"DJダイノジpresents『絶叫するジャイアンTOUR2017』")をするというのを見て、Twitter上で"出してください"って言ってみたんです。そしたら、"いいよ"って言ってもらえて。"ヤベェ!"っていう。

大谷:はははは(笑)。ありがたいですよ、自分から出たいなんて言ってくれるのは。それでYouTubeで観たりとかして、"これはOK!"と思って(笑)。

-それで出演決定だったんですね。

ロンドンタナカ:すごい日でした。お客さんもパンパンで、ライターに火がつかないくらい酸素がなくて。

ジョン・カッター:そうでしたね。

大谷:すごい楽しかったです。

ロンドンタナカ:でも実はもっと以前に、大谷さんが、お台場でデモ・テープを聴いてひとつずつコメントを言っていくという企画をやっていて、僕がアラ天(アラウンドザ天竺)の前にやっていたバンドで応募して──。

大谷:あぁ、"「GREAT HUNTING」公開デモ評議委員会!!"ですね。元EMIミュージック・ジャパンのプロデューサーだった加茂(啓太郎)さんが新人を発掘するみたいな企画をやっていたんですよ。そのゲストで出たんです。

ロンドンタナカ:そうです、そうです。100組くらいいて、80組くらいはコメントを言ってもらえるんだけど、20組くらいはひょっとしたら時間の都合で聴かれないかもしれないという、その20組に入ってました。

大谷:そうでしたか(笑)。

ロンドンタナカ:引っかからんなぁと。

大谷:あれは、くじ引きだったんですよね。

ロンドンタナカ:そうです。だから"次こそは!"って。

-その"次"がダイノジのイベント出演というのはすごいですね。大谷さんは、YouTubeで観たときにアラウンドザ天竺について、どういうバンドだと思いましたか?

大谷:面白いし、ライヴはもちろん楽しいだろうなと思っていて。僕はDJもやっているんですけど、"スペックとベネフィット"みたいな話をいつもするんです。スペックは容量で、ベネフィットは利益で。90年代のDJってスペックが高い奴が勝ちじゃないですか。繋ぎが上手いとか、音楽知ってる奴が偉いとか。でもあるときから、ライヴもそうですけど、その場でお客さんがどういう利益を求めていて、こういうことをやればいいというのを上手に把握してできる、エンターテイメント性というか、お客さんのベネフィットは何かっていうことを理解してできる人たちが増えてきて。フェスでも思いません? 例えばウォール・オブ・デスとかも様式ではなくて、ウォール・オブ・デスをスポーティーに、こうやると楽しいんだよみたいなバンドが出てきた。ラウドロックの美意識をちゃんと持ちながらも、そういうことができるというか。その両方を持っているのが今のバンドだなと考えているところだったので、アラ天はそういう素養を兼ね備えているバンドやなと。今の時代に自分が10代で、これからギターを持つならこういうバンドをやってみたいなって思うような。

アラウンドザ長老:おぉ!

ロンドンタナカ:それはすごく嬉しいです。

大谷:僕はギミックをやっている人を茶化すようにいじるのがあまり好きじゃないんですよね。面白いのは好きなんですけども。それよりも曲が良ければいいみたいなところがあるんですよ。曲が大事なんです。アラ天は何曲かいい曲があったので......って、上から目線みたいですけど(笑)。いい曲やなっていうのが何曲かあって、それで引っかかっちゃいましたね。イベントもすごい盛り上がっていました。

ロンドンタナカ:盛り上がりました。おかげさまですごく楽しかったです(笑)。でもそこからもう1年経つんですよね。

大谷:まさにこのベスト盤の始まりみたいなものですよね。

ロンドンタナカ:そうです。バンドの初期のころです(笑)。

-アラ天は活動初期のころから、いろんなバンドにTwitterでアプローチしたり仕掛けたりしていましたね。

ロンドンタナカ:はい。トランプ大統領に"I Love You Trump"と送ったり。

大谷:バカだなぁ。

ジョン・カッター:やりたい放題です。

ロンドンタナカ:さすがにトランプ大統領からのリプはなかったですけどね。

大谷:僕らも若いころはやってましたね。自分たちのネタのビデオとかテレビでやっていたものを全部録って、いろんな人に送ってました。おおひなたごうさんとかは、それでライヴに来てくれましたね。チラシを書いてくれたりもして。

-大事なんですね、そういうことも。

大谷:大事なんですかね(笑)。でも誰にも相手にされなかったので。

ロンドンタナカ:ああいうことをやってるときって、毎回ビビるのはビビるんですよ。"これ言っちゃって大丈夫かなぁ"って(笑)。でも"言ってしまえ!"ってなるんです。言わなきゃ伝わらないので。

大谷:僕は昔、音楽雑誌をよく読んでいて、当時は文章を書く人の住所が載っていたんですよ。その載っている人に片っ端から"単独ライヴに来てください"って手紙を送っていたんです。"僕は超ロックな芸人なので"みたいなことを書いて(笑)。そしたら"さらば雑司ヶ谷"とかを書いている作家の樋口毅宏さんが、"ヤベェ芸人から手紙が来た"って言ってすげぇみんなで笑っていたらしいですけどね(笑)。後々会って対談をしたときに、"大谷君は覚えてないと思うけど、当時とんでもねぇ奴から家に手紙が来て。ヤベェ、こんな奴に家知られちゃってるよって思った"って言われました(笑)。なのでそういう気持ちはすごくわかりますね。