MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

矢島舞依

2017.12.05UPDATE

2017年12月号掲載

矢島舞依

Interviewer:荒金 良介

前作『BLOODTHIRSTY』から約1年、矢島舞依の3rdミニ・アルバム『Innocent Emotion』がここに到着した。シンフォニック・メタルの女神 矢島の表現欲はさらに高まり、"感情"をレコーディングすることに重きを置いた今作は、これ以上なくリアルを突き詰めた飛躍作と言えるだろう。初めて"愛"にまつわる感情を主題に置いたコンセプトを掲げ、新境地を切り拓くことに成功している。リード曲となったメロスピ・ナンバー「REPLICA」から静謐なバラード「Walhalla~last sunrise~」(通常盤のみのボーナス・トラック)まで、多彩な表情が楽しめる1枚だ。

-前作『BLOODTHIRSTY』(2017年1月リリースの2ndミニ・アルバム)以降、対バンする人たちは変わってきたんじゃないですか?

そうですね。ステージもそうだけど、リハから観て、勉強になることが多かったです。Jupiterさんはアンプ類からごっそり替えていて、単純にびっくりしました。気合が違うなと。

-ほかにはCONCERTO MOON、OUTRAGE、GYZEともやりましたよね。

はい。みなさんリハからパワーが違うなと思いました。すごくいい方たちばかりで、優しく話し掛けてくれるけど、ステージではガラッと感じが変わりますからね。OUTRAGEさんも貫禄が違うし、ヴォーカルの方も気さくに話し掛けてくれて、"ヴァンパイアなの?"って(笑)。

-OUTRAGEの橋本(直樹/Vo)さんですね?

はい。"ヴァンパイアとして闇の勢力を広げるために頑張ってます!"と言ったら、"へぇーっ! あなたはヴァンパイアなの?"と聞かれたので、"一応、半分はヴァンパイアです"と言ったら、"えっ、お父さんとお母さん、どっちがヴァンパイアなの?"って、すごく突っ込まれました。

-(笑)そういう意味ではこれまでと違う刺激も?

ひとつひとつのライヴが濃かったです。毎回のライヴもハズせないし、モチベーションを常に上げて頑張りました。

-今年は念願だった野外ロック・フェス(8月に開催された"奥会津ロックフェスティバル2017")にも初出演しましたよね?

曲がヘヴィでダークだから、野外でやるとなったときにイメージがすぐに湧かなくて。ライヴハウスの方が世界観的には合っているんですけど、いざやってみると「BLOOD RESOLUTION」(『BLOODTHIRSTY』収録曲)も爽やかに歌えたし、お客さんも気持ちよく聴けたんじゃないかな。

-そして、今回のアーティスト写真はゴシック感が色濃くなりましたね。

スタッフとも話して、濃いめに化粧をして、どぎつさを出そうと。メイクを含めて、アーティスト・イメージを強く押し出したくて。普通の女子がメタルをやってるという感じより、メロスピとかがっつり濃い曲をやっているので、写真でもその世界観を伝えたかったんです。パッと見て、濃い曲を歌ってそうと思ってもらえたらいいなと。新しいお客さんがライヴを観て、"矢島舞依はそういう世界観なんだね"って、世界観を伝えることが大事だなと思ったんです。

-なるほど。今作はどういう作品にしようと思ってました?

今回も今までと同じく、作品にちなんだコンセプトを作りたくて。まず最初に曲を集めて、そこからメロスピは欲しいなとか、前作のときにバラードが欲しいと思っていたから今回は入れたいなとか、今の矢島舞依はどうすればより良くなるかなとかを考えながら、コンセプトを少しずつ固めていった感じですね。そのままでもダメだし、全然違うものになるのも、変わっちゃったねと思われるから。今回は、アルバム名が"Innocent Emotion"に決まってから、愛をテーマに歌詞を書こうと思いました。これまで恋愛や、愛について歌ってこなかったから、あえて私がやったら面白いかなと。ダークな曲調だから、愛がテーマだと思わないかもしれないけど、よくよく聴いたら、そうなんだ! と思ってもらえたらいいな。愛とそれにまつわる憎しみ、愛から生まれる様々な感情でまとめた作品にしたくて、アルバム名に"Emotion"という言葉を入れているんですけど、歌詞は今までよりも伝わりやすく、ライヴで聴いてもすぐにわかる言葉の使い方を意識して、キャッチーな言葉を入れたところもありますね。

-"隣の芝生は青いの 同じ穴の貉"(「狂騒ENEMY」)の歌詞はすごく耳に残りました。

そこですか? 意外な発見です(笑)。今までは世界観にこだわっていたけど、伝わるまでに時間がかかるなと思ったんですよ。伝えるにはどうすればいいかなと考えたときに、やりすぎるぐらいがちょうどいいのかなと。さっき言っていただいた"隣の芝生は青いの 同じ穴の貉"も直で言いたいことを伝えたかったから。最近、音楽は好みだなと思って。

-それはどういう意味ですか?

いろんなジャンルがあって、みんながそれぞれの正義やこだわりを持ってやってるじゃないですか。これがいい、これがダメとか、ないなとか。それなら、そのアーティストがこれをやりたい! というものが伝われば、あとは受け取る側の好みなので。私はこうやろうとしているんだよ、という部分をわかりやすく伝えたいですね。

-今までNGにしてたことも取っ払えたと?

壁を越えられた気がしますね。そもそも、愛をわかりやすく伝えることに関して、"ウウッ......!"と思ってましたから(笑)。

-愛や恋を歌詞に書かないアーティストもいますけど、矢島さんはやってみようと?

そうですね、全部曝け出そうと思いました。歌詞はうちのチームもチェックするんですけど、"もっと濃く書いて"、"もっと汚い部分も書いて"と言われて。絞り出してるよ......と思ったけど、それでも足りないんだなぁって。だから、やりすぎなくらいがちょうどいいんですね。