INTERVIEW
矢島舞依
2016.05.31UPDATE
2016年06月号掲載
Interviewer:荒金 良介
-今作は完全にダークに振り切ったメタル・アルバムになりましたね。
今まではハード・ロック、メタルのテイストが入った曲もありましたけど、今回からガッツリ激しい方に寄せました。新たなスタートですね。
-それは思惑どおりですか?
もともと激しい曲が好きなので、振り切るとなったときは"よっしゃ!"と思いました。小さいころはアニメが好きで、アニソンや声優さんの曲も聴いてたんですけど、なんかしっくり来なくて。でも、"バジリスク~甲賀忍法帖~"というアニメのオープニング・テーマを陰陽座さん、エンディング・テーマを水樹奈々さんが担当していて、その曲を聴いたとき、"和"と"激しいメタル"の要素が混ざってるから、"ワー!"となったんです。あと、おじいちゃんの影響で演歌も聴いてました。
-歌い回しはどこか演歌っぽいにおいも感じました。
それはよく言われます。"演歌ロック"と言われることもあるので。
-"歌謡メタル"というか。
はい。おじいちゃんが演歌好きで、家でもずっと流れてたんですよ。石川さゆりさん、都はるみさん、坂本冬美さんとか。なので、もともと演歌をやっていた水樹奈々さんと、和の要素がある陰陽座さんが自分に刺さったのかなと。それから特に激しい音楽をガンガン聴くようなって、ヴィジュアル系、メタル系にも手を出して、the GazettEさん、DIR EN GREYさん、シドさん、Dさんとか耽美系のバンドも好きですね。今はギルガメッシュさん、SLIPKNOTさんとか......どんどんコアなものを聴くようになって。THE AGONISTさんも最近聴いてます(笑)。
-ブログにも、"OZZFEST JAPAN 2015"に2日間行って、すごく勉強になったと書いてましたよね?
BABYMETALさん、ONE OK ROCKさん、Fear, and Loathing in Las Vegasさんは観たことがなかったから興味があったんです。あと、海外のバンドはよく知らないので、("OZZFEST JAPAN 2015"は)激しくてコアなバンドがたくさん出ていて、勉強するのにいい機会だなって。
-ライヴを観て、どうでした?
Fear, and Loathing in Las Vegasさんがすごく楽しかったです。BABYMETALさんは独特の世界観があったし、ファンの熱にも圧倒されました。あと、KORNさんはすごいなと思いました。何を言ってるかわからないけど、心に訴えかける叫びが印象的でした。
-まずはKORNの1stアルバム(1994年リリースの『Korn』)から聴いてください。父親から性的虐待を受けたことを綴った「Daddy」という曲が収録されて......。
そう! 私も帰ってから調べたんですけど、出てくる情報がすべて衝撃的で、だからこそ作れる世界観なんだなって思いました。私もみんなと一緒は嫌なので、自分だけの歌詞や音楽を作っていきたくて。ステージングはすごく勉強になりました。
-矢島さんはマジメなんですね。
ははは、A型なので。
-BABYMETALも聴くんですね?
最近なんですけど、今回のアルバム(2016年4月にリリースした2ndアルバム『METAL RESISTANCE』)は全部聴きました。私はメロスピと呼ばれるジャンルの曲が好きだなと。
-「Amore - 蒼星 -」ですか?
そうです! あと、「シンコペーション」は食ってる感じのノリが今っぽくてかっこよかったです。それと1曲目の......。
-「Road of Resistance」ですね。
はい、その曲もかっこいいなと。ドラムがめっちゃいい音で、"OZZFEST JAPAN 2015"で聴いた音そのまんまだよ!って。
-それで矢島さんは最初からヴォーカリストになりたかったんですか?
最初は声優になりたいと思って上京したんですけど、"歌をやってみない?"と言われて、もともと歌が好きだったこともあり、ヴォーカリストとしてやっていこうと決めました。なので今は歌を真剣にやらなきゃなって。"声優になりたいです!"と言いながら、ステージで歌う自分が許せないから。
-そこもマジメですね(笑)。最初、歌は自分に合ってると思いました?
いや、思わないです。自分の声が好きじゃないし、最初のレコーディングでも思ったように歌えなくて。声が高くないし、低くもないし、微妙な歌声だなと。表現力が足りないから、かっこよく歌えないんです。でも、少しずつ自分の声の使い方がわかってきて、曲を作ってくれる三宅さんも私のことを理解してくださって、それらが混ざり合うようになってきました。既存の誰かではなく、自分なりの表現で勝負したいと思ってます。
-自分の歌の魅力はどこにあると思います?
メタル系の女性ヴォーカルみたいにハスキーな歌い方はできないし、かわいい歌は歌えないけど、それが矢島舞依だなと。どっちでもないから、どっちの要素も取り入れられるかなと。それを歌に落とし込んで、自分なりに表現できるようになった......と思ってあげたいです(笑)。
-矢島さんの歌声は、いわゆるメタル・シンガーに寄せてないところが良さだと思います。
メタルっぽい歌い方ってなんでしょう(笑)。この間スタッフの方と話したときに"参考になるメタル・バンドを教えてください!"と言ったら、"普通の矢島さんがメタルをやってるのが新しくて面白い"って言ってくださったんです。私は一生懸命勉強しなきゃいけないと思っていたけど、自分の世界を突き詰めていけばいいんだなと思いました。
-僕も同感です。
でも、勉強はします! THE AGONISTさんもそうだし、KORNさんの1stアルバムも聴いてみます!
-(笑)ヴォーカリストになって、音楽の聴き方も変わりました?
変わりました! 今まで何を聴いてたんだろうってくらい。一番はヴォーカルの声とメロディを重視して聴くようになったし、バックの音もギター、ベース、ドラムをひとつずつ拾って聴くようになりました。今まではベースの音もよくわからなかったんです。それを踏まえて、全体のバランスも考えながら、歌の入り方、ビブラートの切り方とか細かいところも聴くようになりました。
-なるほど。今回は初のミニ・アルバムになりますけど、その前に会場限定シングル『Vampire Maiden』(2016年2月リリース)を出したときの反応はどうでした?
"イメージを変えます"と言ったあとの会場限定シングルだったんです。みんながそれを受け入れてくれて、"すごくかっこよくなった!"と素直なリアクションをもらえたので、嬉しかったですね。