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INTERVIEW

ulma sound junction

2017.11.20UPDATE

2017年11月号掲載

ulma sound junction

Member:田村ヒサオ(Ba/Vo) 福里シュン(Gt) 加勢本タモツ(Dr)

Interviewer:宮久保 仁貴

-「俄か凪」に関して、ヘヴィなリフで冒頭から押しつつ、中間部のクリーンはオリエンタルな感じもあり、Djent由来の浮遊感などを感じました。且つ、サビはキャッチーで、とても不思議な曲ですね。様々なサウンドからの影響を感じさせつつも、ulma(ulma sound junction)色が色濃く押し出されていて、他のバンドには真似ができないというか。

福里:ひと言で言えば、この曲は活動を始めた10年前の曲をリアレンジした曲になります。 当時は7~8分あったよね。今の我々はこういったフレーズや演奏はしないかな、といろいろ削ぎ落とした結果、うまくまとまって今の形になりました。

-いろいろ削ぎ落とされつつも、10年の時を経たスキルが、より当時の楽曲をブラッシュ・アップさせているのかな、と感じました。

田村:たしかにそのとおりかもしれないですね。

-「Shooting Testament」は古き良きプログレッシヴ・メタルのテイストを感じました。特にベースの歪みにYESやKING CRIMSONに似た匂いを感じるのですが、こちらの聴きどころはいかがでしょうか?

田村:ベースに関しては、特にエフェクターなどの加工はしておらず、エンジニアの裁量によるところが多かったですね。それが結果としてうまくサウンドに混ざったのかな、と思います。それこそ、おっしゃっていただいたように、YESのChris Squire(Ba)に似たテイストが出ていましたね。また、この曲のミックスは、僕とエンジニア主体で進めました。この曲に関しては、変な話サウンド数がものすごく多いので、パンの振り方を他の曲に比べて、すごく分けています。それこそ、イヤホン片方を外したら、ギターの音が聴こえなくなってしまうほどに。これを譜面にしたらすごいことになると思います(笑)。

加勢本:でも不思議と、この曲は結構すんなり完成したよね。アルバムに入っている曲の中でも、最後にできた曲なんですよ。

田村:ギターの山里(ヨシタカ)が暇なときに、手癖でジャム・セッションみたいなことをよくするんですが、この曲の中間部のタッピング部分をよく弾いていて、"お前さんそれ好きだねぇ。それなら曲にしちゃう?"と、加勢本が言ったのをきっかけに、この曲の作曲がスタートしました。

-「Silver Memories」は溢れんばかりのエモーショナルを放ち、あたたかいギターのメロディに包み込まれているバラードですね! この曲を聴いて、ulma sound junctionがバンドとしてひと皮剥け、ネクスト・ステージに駆け上がった印象を受けました。

田村:この曲は大切な人が亡くなったことをきっかけに作った曲になります。先ほど、今作は人々の内面に向けた曲が多いと言いましたが、この曲に関しては完全にひとりの人に向けて書いた曲になります。鎮魂歌になればと思い作りました。メンバー全員が知っている人で、もう6年くらいの付き合いはありました。そのため、この曲ができたはいいんですが、結構この曲をものにするのが難しくて。当初、ライヴで演奏しようにもメンタルが不安定で全然できなかったです(笑)。長めな曲ではありますが、これからずっと大事に演奏したい曲ですね。

-「Glasya-Labolas」は、重苦しく重厚なピアノにトライバルなタム回しなどが融合し、ulmaだからこそできあがった音源だと感じました。こちらはいかがでしょうか?

田村:こちらは僕がひとりで作った曲になります。

福里:できあがったあとで、初めて音源を聴かされました(笑)。

田村:今作は、例えばiTunesに入れてシャッフルしたりしても、どの順番でも聴けるようになっていると思います。この曲の最初に流れるピアノは、実は「Dzalel」の裏で流れているピアノと同じなんです。本当に聴こえるか聴こえないかぐらいのボリュームで入れていますが、そのメロディから派生したのがこの曲になります。

-「Elysium」は、「Over Cure part.2」からの激しさを受け継いだ曲なのかなと感じました。冒頭から攻めたリフワーク、展開が続き、中間部ではボサノヴァ的アプローチがなされ、めまぐるしい展開でテクニカル、且つキャッチーで、これまでのバンド活動の集大成にも感じられる1曲だと思いました。

福里:昔の素材を再び取り入れたところは多々ありますね。

田村:リアレンジと言えばいいのかな、と思います。この曲に制作に関しては、僕が骨格を作りまして、全編にわたってどういう展開にしようか模索していました。

加勢本:骨格ができてからはすぐに完成したよね?

田村:そうだね。僕の想像した理想的な形に仕上がったと思います。最後はアンビエントで、余韻に浸ってくださいと言わんばかりのリヴァーブを存分に詰め込んでいます。

-アルバム全編を通して、今のulma sound junctionと過去のulma sound junctionがぶつかり合って、新しい未来のサウンドを打ち出したのが今作なのかな、と感じました。

田村:リスナーさんに関して言えば、今までどおり、"ここはこう来るだろうな"といった予測は諦めていただいて、自然体でサウンドを受け止めてほしいですね。僕たちはライヴで全員座って観ていただいても、いつもどおりの演奏ができると思います。特に煽りとかをするわけでもないですし、映画を観るような感覚で鑑賞してほしいですね。

-お話をお聞きするなかで、個人的に、ulma sound junctionは、本当の意味で、"今を生きるプログレッシヴ・メタル・バンド"という印象がより強くなりました。近年プログレッシヴ的なアプローチをしているバンドはいますが、絶対数が減っているというか。そういった意味で、本当にulma sound junctionの存在はシーンにとって非常に重要だなと思いました。

加勢本:ありがとうございます。本当になかなか同じようなバンドはいないですね。ライヴハウスのブッキングのみなさまも困っていると思います(笑)。