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INTERVIEW

KEMURI

2017.06.21UPDATE

KEMURI

Member:伊藤 ふみお(Vo)

Interviewer:吉羽 さおり

-アメリカにいた当時は、いろんなライヴやアンダーグラウンドなパンク・シーンにも触れて、日本の音楽シーンと比べてどう感じていたんですか。

ハードにやっているなというのはアメリカのバンドを見て感じていましたし、今もそれはあるかな。そこには複雑な思いがありますけど。やっぱり、農耕民族と狩猟民族の違いなのかなっていう感じはありますね。

-そうですか。

土を耕して種をまいて、雨が降るのを待って、という感覚はあるよね。それが良い悪いではなくて。アメリカやイギリスのバンドを見ていてもそうだけど、やっぱり外に出掛けていってるもんね。そういう話は、メンバーともすごくするんですよ。今のバンドのシーンを見ていると、みんな仲が良くて素晴らしいと思うんです、上手いし、いい曲を書くしね。ただちょっと、欧米のバンドとは匂いが違うかな。オープニング・アクトとかで出てくるイギリスのバンドとか、顔つきが違うんですよね。ヘッタクソだなと思うんだけど。

-ハングリーさはありますかね。

それは昨年、UKツアーをやって思ったことのひとつでしたね。

-日本で活動を始めたときはスカ・パンクの盛り上がりがあって、たくさんのバンドがいました。そこでKEMURIと他のバンドをどう差別化するかは考えていましたか。

差別化ということでは、僕は個人的にはホーンの演奏力はすごくこだわっていたんです。あとは、日本でも英語で歌うバンドが増えていたけど、アメリカ人が面白がらずに聴けるものというのかな。もっとちゃんとした英語で、ちゃんとした発音で歌えるようになりたいという思いはあった。そういう作品を作りたいという気持ちは強くなっていたかな。

-当時、若いバンドもたくさん出てきて、言っちゃえば、ヘタウマなバンドもたくさんいたと思うんですよ。

そうそうそう。でもそれは、長続きしないっていうのはわかっていたしね。"イカ天"("三宅裕司のいかすバンド天国")ってやってたでしょ?

-音楽のオーディション番組ですね。

そこから10年も経ってないけど、いろんな経緯を見ていたし。だからやっぱり、しっかりと残るもの、3年とか5年じゃなく、20年30年と残っていくものを作りたいというのはあった。何作ったらいいかなんて、わからないんだけどね。どうしたらそんなのができるかは全然わからないけど、漠然とそういう思いはあった。だからアメリカでレコーディングをしたときも、聴いていて"おかしくないですか"っていうのは指摘して、すごくこだわったしね。

-伊藤さん自身は、KEMURIの1stアルバム『Little Playmate』は率直にどういう作品だと感じていますか。

これはだいぶ演奏が荒いっていうのはありますね。でも音がいい。ひとりひとりが出している音がすごくいいし、ホーンの録れ音がいいなっていうのは、未だに思うんですよ。バランスも、ドラムが大きすぎなくてすごくいい。聴きやすいんですよね。

-それは、ホーンを録るときに何か工夫されていたんですか。

特に工夫はしてないんだけど、天窓がついているような天井の高いスタジオだったんだよね。スタジオをやっている人が、プログレ界の貴公子って言われていた才能ある人物で、耳も良くて。ミックスも録れ音も良かったし、蓋を開けてみたらすごく良くできていたという感じだったんです。迫力のある、パンク・ロック的なアプローチとしては、2ndアルバムの『77days』(1998年リリース)の方があるんだけどね。DESCENDENTSのスタジオ──The Blasting Room Studiosで録ってるから。そうじゃないしなやかさは、『Little Playmate』にはありますね。

-なるほど。そして今、こうして20周年として改めて初期の作品がリリースとなります。その当時にも、長く続けるという思いはあったかと思いますが、20年後のバンドの姿は何か思い描いていましたか。

もちろん何十年も残ってくれるような作品、音楽を作りたいという気持ちはあったけど、KEMURIはみんな出身地もバックグラウンドも違うので。個性的で、自我が強いし、どんな感じになるかなっていうのはあったから、1stアルバムを作ったときは、20年後はあまり想像できなかったかな。まさか、解散するとも思わなかったけど。20年後にまたこういう形でやってるっていうのも、思わなかったですね。

-今は、最新アルバム『FREEDOMOSH』(2017年3月リリースの12thアルバム)のツアー中ですが、この20周年のリイシューのツアーも考えているんでしょうか。

今のツアーでは、Roadrunner時代の曲をやったり、みんなが知っている曲、大盛り上がりする曲もやっているんですけど、せっかくだから、リイシューのライヴもやりたいなと思っているんです。CDとして販売するからには、多くの人に手に取ってもらいたい気持ちはありますからね。自分たちにできること、それに繋がることは自分たちで積極的にやりたいなと思ってます。