MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

Ken Yokoyama

2015.09.02UPDATE

Ken Yokoyama

Member:横山健(Vo/Gt)

Interviewer:柳 憲一郎

-あははは。ですよね。だからメロコア・キッズは存分に安心してもらっていいんですけど、それまた名曲揃いなんです。Track.8「Mama, Let Me Come Home」なんて、歌詞の内容からして硬質なメロディック・パンクこそがふさわしいと思います。戦地でまさにいま命を落とそうとしている若者の思いを書ききっています。

これは僕も好きな曲ですよ。......歌詞の内容的に"好き"っていうものちょっとどうかなとは思うけれど、ただ自分でも"よくここまで書けたな"と思うんです。"さあ、この歌詞を読んだ君はどう思う?"って思いです。

-メロディック・パンクは戦争と平和を上から目線から歌うんじゃなく、個人の、当事者の目線で歌うべきだと思っていて、これはまさにそういう曲なんです。ちなみに健さんも親しいUSのメロディック・パンク・バンド、NO USE FOR A NAMEには「Killing Time」っていう曲があって(2005年リリースの7thアルバム『Keep Them Confused』収録)。

はい。

-あれはお母さん目線なんです。

なるほど。そういうことか。

-はい。リリースのタイミング的にはイラク戦争に息子さんを送った母親の視点だと思うんですが、健さんの「Mama, Let Me Come Home」と対をなしているなと、と思いました。硬派なサウンドと歌詞だけれど、当事者に優しく寄りそう曲です。

うん。世界は個の集まりだから。ひとりひとりのストーリーがあって、世界がある。そんな気持ちはこの曲にはたしかにあります。

-しかもこの曲、サウンド的にも今は亡きNO USEの魂を明確に受け継いでいます(※NO USE FOR A NAME は2012年、ヴォーカリストのTony Slyの死去により解散)。

その話はメンバーともしました。"NO USEっぽいね"っていう話はあったんですけど、そのまま行きました。"NO USE解散しちゃったじゃん、じゃあ俺たちが鳴らそうよ"って。Tonyへの思いっていうのは、やっぱりありますし。

-Tonyもメロディック・パンクの枠を超えようとする人でしたもんね。

悩んでたもんなあ......。亡くなる前に"自分の書く曲がパンク・ロックとどうも合わなくなってるんだ"って。だからアコースティックにチャレンジしたりしてたんですよ。でも、あの人自身はBAD RELIGIONに影響を受けつつ自分でメロディック・パンクを作った人なわけだから。

-ですね。

彼らはメロディック・パンクを聴いて育ったわけじゃない、作った側なんですよ。だからハタから見てれば"あんたらは何やったって大丈夫なんだよ"なんだけどね。

-それでも悩むんですね。

うん、メロディック・パンクを究めようとして、いいメロ、いいコード進行、キャッチーなサビ、そういうところで勝負してるとだんだん難解な方向へ向かっていきたくなるもんなんですよ。だからそこで例えば「Johnny B. Goode」をやったりすると笑われるんじゃないか、って思っちゃうんですよね。Tonyにとってはそれがアコースティックへのチャレンジだったのかもしれない。メロというより鳴りを重視した形でやってみたかったのかなと思う。ただ、やっぱりは根底にあるものは同じなんだから、そのまんまバンドでやるのが1番カッコいいじゃないの、って話なんですよね。

-なるほどね。

僕にとってはそれが今作におけるスリーコードなんだと思います。これまでのKen Bandとしての味つけはもちろん効いているけれど。

-この作品がもたらすものの大きさを思います。今作はライヴにも随分大きな影響をもたらしそうですね。

はい。ライヴも楽しみでしょうがないんです。このアルバムのツアーは、バリエーションも相当広がると思うし。自分たちを新しい場所へ連れてってくれそうな期待がありますね。モッシュ、クラウドサーフ、カオスみたいなライヴ大好きなんだけど、頭からケツまでずっとそうなのもどうなのかな?っていう思いも出てきたところで。モッシュ、クラウドサーフだけが熱じゃないし、お客さんの熱気はそこのみから出るわけじゃなくて、毛穴から伝わってくるものでもあるし。今回の曲をライヴで演奏したとき、どういう反応になるかが楽しみでしょうがないんですよ。