－自分のやってきたメロディック・パンクの再解釈にも繋がった。

そう、そういうことなんです。

－そういう意味で今作のTrack.1「Dream Of You」、そしてTrack.2「Boys Don't Cry」でこのアルバムの魅力が、初っ端からはっきりと表現されていると思います。この言い方が適当かどうかわからないんですが"健さん、１曲目からカバー？"と思ったんです。

そういうことがしたかったんですよ。"これって古い曲？"って思われそうな曲をオリジナルでやりたかった。

－思いました。"古き良き曲あいかわらずよく知ってるんだなあ......違うこれ健さんが作ってるのか！"と（笑）。そしてもちろんただ古く聴こえるだけじゃないのがミソで。大らかで素朴でロックンロールの夢と、メロディック・パンクの熱狂がうまく融合してるんですよね。

ありがとうございます。

－これはさぞ楽しい作業だったろうな、と思います。

うん、最高にエキサイティングな2年間でした。メンバーを最高に悩ませる2年間でもあったんですけど（笑）。

－でしょうね（笑）。どう落ち着かせたんです？

そこは理解です。メンバー内で会話をとにかくするバンドなんです。そうすることで理解を深めていくんですよね。音だけで繋がれるほどお互い優れたミュージシャンではないので、やっぱりそこは話し合っていかないといけないんですよね。僕がスタジオに箱モノのギターを持っていったときのみんなの驚きやら、"新曲ができました"と言って1曲目のリフをみんなに聴かせたときの驚きやら（笑）。"こんな簡単なリフをどうしろと？"って。でもそこはしっかりお互いの理解を深めながら2年間、進んでいきましたね。

－ストリングスが入ったアンセムTrack.11「A Beautiful Song」も素晴らしいです。これも意外だったんじゃないでしょうか。

ね、いい曲でしょ。もちろんメンバーは最初きょとんですよ（笑）。"どこで速くなんの？"って。"速くなんないし、ストリングス入れるし"って言ったら。"すとりんぐすぅ～？"って（笑）。

－でも、素晴らしい曲になりましたね。相互理解を深めた成果あってか、メロディック・パンク・バンドとしての矜持もしっかりこのアルバムに溶け込んでいるからなんだと思います。ここまで"箱モノ、古き良き――"っていう話を中心にしてきたので、今作全体がなんかロカビリー・テイストになったりしてるんじゃないかなんて思われてしまいそうですが、そんなことはまったくない。

やみくもに古っぽいものやってもしょうがないのでね。そこはバンドとしての自分らしさをきちんと出すというのも前提だったですからね。

－うん、これまでの健さんのファン、メロディック・パンクのファンを裏切るものにはまったくなっていないと思います。そのへん、バランス感は考えました？

ただ、同じようなものを何枚も出すのは嫌だし、メロディック・パンクに殉ずる必要もない。ロックンロール、ロックンロールと言っても、全曲それじゃあ寂しいなというのはありますし。これまで鳴らしてきたメロディック・パンクの曲だって欲しいよね、というのはありました。

－あくまでそこは自然に。

そう、自然にバランスは取ってこれたと思います。

－だって、今作メロディック・パンクの曲――。

うん、メロディック・パンクの曲意外とたくさん入ってる。あははははは！