－顔出ししない、メディア露出も絞っている、ライヴもそこまで多くない......そんな状況下でバズが起きているというのはなかなか興味深いですね。

Kiyoshi：そうですね。ただ徐々にではありますが、開けていっている感じはありますね。今回ツアーも組んでますし。今後は様々な形で露出も増えてくると思います。

－さて1stフル・アルバム『Sources』の話に移らせていただきますが、今作は配信音源（2015年3月配信「Last Theater」）を除けば約1年ぶりのリリースとなるわけですが、全11曲完成してみていかがですか？

Ryosuke：大変でしたね（笑）。曲数も多かったですし、前作『Your Hands』で初めてプロの現場を経験させていただいて、そのうえでそれを活かして今作に臨んだんで自分なりに気を付ける部分もあって。そういうことを意識しながらもかなりタイトなスケジュールだったので、本当に大変でした。だけど納得のいく作品ができたという気持ちですね。
Ryo：前作はライヴでもやっていた曲の集合体だったんで、自分たち的にはベスト・アルバムに近いものだったんですけど、今回はテーマも統一してみんなで意識を高め合って曲作りやプリプロもやって完成した作品なので、統一感がありますね。それはプロデュースしてくれたPABLOさん（Pay money To my Pain／Gt）も含め、今回の作品で一体感が生まれたような気がします。

－今作収録曲はすべて『Your Hands』リリース以降に制作した曲ですか？

Ryo：そうですね。
Ryosuke：インディーズのころからやっていた「Dream Box」（Track.3）と、タイアップをいただいた「Last Theater」（Track.6）はすでに完成していたんですけど、他の曲はリフだけとか、1パーツだけといった断片的なものだけで、そこからフル尺にしていった感じですね。

－今作にコンセプトやテーマがありましたら教えてください。

Ryosuke：もともと"戦い"がテーマとして頭の中にありました。『Your Hands』を経て今後自分たちがどうやって活動していったらいいのかという葛藤がすごくあったし、どういう作品にしたいのか自分の意思をはっきりさせる必要があって――そういった意味で自分たちの戦いでもありましたね。だからそういう、ある意味ドロドロした、血の滲むような熱さみたいなものが、アルバム全体を通して感じられる作品になっていると思います。

－なるほど。たしかに熱感がビシビシ伝わってくる作品ですね。喜怒哀楽でいうと、"喜"、"楽"ゼロで、"怒"4割、"哀"6割みたいな。すごくエッジが効いてて攻めてる作品だと思います。

Ryosuke：ありがとうございます。

－NoisyCellの楽曲ってフロアに動きの共有を強要しないというか......。ここで手を挙げて、とか、ツーステップして、シンガロングして、そうやって過度にフロアとの連帯感を求めるバンドや楽曲が多すぎると思うんですね。NoisyCellからはそういうものをあまり感じないんです。

Ryosuke：やっぱりルーツがネットで、ライヴをしてこなかったので、そういう部分が音楽にも反映されているんだと思います。

－あえて意識して外しているわけではない？

Ryo：意識していないですね。ツーステップとか本当に最近になって知ったような感じで（笑）。
Kiyoshi：ライヴハウスに行ってびっくりしたよな！"なんじゃこりゃ！みんな同じ動きしてるぞ！"って（笑）。
Ryo：僕が曲を作るときに意識したり刺激を受けているのが、00年代初頭のSAOSINなどの初期エモなんです。その当時はツーステップもなかったと思うんですよ。だから本当に知らなかったんです。かといってやらせたいとかもなくて、みんな好きに聴いてくれるような音楽がいいかなって。音楽って自由に楽しむものだと僕は思うので、そこはあんまり強要したくないですね。
Kiyoshi：他のバンドって"こうしろ、ああやれ"って提示するじゃないですか？ もしかするとお客さんはそのほうがわかりやすくて楽なのかもしれないですけど、僕らの場合はそれを音だけで楽しませたいって思いはありますね。言葉で言わずとも音で。

－そこが最近の国内のラウド系のバンドたちとの違いでしょうね。

Ryosuke：そこを否定するわけじゃないんですけどね。

－キッズが楽しくリアクションしやすい楽曲が溢れてるシーンにおいて、受け手によっては突き放してるとも受け取れるスタンスであることに恐れはないですか？

Ryo：俺は大好きですよ。予定調和じゃない感じが。