INTERVIEW
Ken Yokoyama
2015.07.08UPDATE
2015年07月号掲載
Member:Ken Yokoyama (Vo/Gt)
Interviewer:西廣 智一
-そういう意味ではちょっと個人的な歌詞であると。
そうですね。でも自分の子供たちだけに向けてというよりも、世の中の子供たち全般に向けてという思いもあるので、個人的にというよりは先生的かもしれないです。あの、ちょっと話が逸れますけど、先日素晴らしい体験をしたんですよ。長男の学校に英語の先生として招かれまして。父兄で英語ができる人がいたら一緒に歌でも歌って、子供たちに英語で話しかけてくださいっていう授業が最近あるんですね。で、帰国子女の父兄の方もいらっしゃったんですけど、軒並み都合が悪くて。僕は帰国子女でもなんでもないんですけど、それなりに話せるもので代わりに行ったんです。初めて教壇に立ったんですけど、そのときの風景がすごくて。子供たちからしたら教壇って絶対的なんですよね。キラキラした目で一生懸命話を聞くんです。うわあ素晴らしいなと思って、そのあとに書いたのが「Never Walk Alone」なので、その風景も結構入ってるかもしれないですね。
-子供のころって教壇に立つ人がものすごく大人に見えましたよね。
絶対的に見えましたよね。でも僕は絶対的というわけではないし、世の中ってこうやって作られてきたのかっていうのが今になってわかるというか。だから結局、親っていうものもそうなんですよ。その家に生まれた子からしたら、どんなに未熟だろうが親は絶対的なものなんです。そう考えると、やっぱり歳を取ってから大人としての責任をすごく感じますね。
-そういう背景があったんですね。そして4曲目にはカバー曲「Smile」が収録されています。これはCharles Chaplinの映画"モダン・タイムス"の楽曲ですね。
そうです。
-でも歌詞のついたバージョンというのは、それよりもあとに制作されたもので。
あ、そうなんですね?
-実際、映画では歌詞がなくて、50年代にNat King Coleが歌詞つきで歌ったそうなんです。
なるほど。実は僕もNat King Coleのバージョンを聴いてたもんで。調べていくと、どうやらオリジナルはChaplinだと知ってビックリしたんです。優しい歌詞の曲ですよね。
-そうですね。この流れで聴くと、歌詞の世界が4曲連なっているように感じられます。
たしかに。4曲しか入っていないシングルとして、ちゃんと整合性は取れてると思います。今、突然思い出しましたけど、Hi-STANDARDで昔、『Love Is A Battlefield』という4曲入りのEPを出したことがあって、テーマが"Love"で全部恋の歌だったんです。「はじめてのチュウ(「My First Kiss」)」も入っていればElvis Presleyのカバーも入っていたり、ちょっとふざけたオリジナル曲もあったりで。表題曲もあえて考えずに"Love Is A Battlefield"ってタイトルにしたんです。繰り返しになっちゃいますけど、今回もそれに似たところがあって。ロックが教えられること......いや、僕が教えられることはこれだっていうか、言ってあげたいことはこれだってタイトルがつけられるくらい、ある意味コンセプチュアルですよね。
-『Best Wishes』のときからモードが変わったのは歌詞からもうかがえますが、あのころはああいう作品が必要だったわけで。でも震災から4年経って、2015年の今鳴らしたい音、伝えたい言葉がこれなんだと曲を聴いて、歌詞を読んで強く感じました。
でもなんだかんだ言って、今回の曲も震災きっかけだと思います。震災きっかけで自分が他人に対して優しくなり始めたんです。あの震災は自分をすごく変えてくれたものだったし、あれを経過して今があるって感じですね。
-あの経験がなければ、こういう形にはたどり着いていないかもしれないと。
はい。震災のときに何も考えなければ、未だに"世の中Fuck!"とか言ってそうな気もしますけど(笑)。それはそれで、まあ面白いですけどね(笑)。