INTERVIEW
Ken Yokoyama
2015.07.08UPDATE
2015年07月号掲載
Member:Ken Yokoyama (Vo/Gt)
Interviewer:西廣 智一
-そういう積み重ねが必要だったわけですね。そして今年4月にはご自身のコラム"横山健の別に危なくないコラム"で、ニュー・アルバムが完成したことを報告しています。しかし、今回リリースされるのは4曲入りのシングル。なぜ最初にシングルを発表することになったんですか? そもそもシングル自体も約8年ぶりですし。
そうなんですよね。しかもまだ3枚目ですし(笑)。
-健さんにとってシングルとは、どういう意味を持つアイテムなんですか?
僕にとってシングルは"いい曲ができたからシングルにしたい"とか、あんまりそういう純粋なモチベーションではなく、フォーマットとしてトライしたいというか。でも8年前に『Not Fooling Anyone』を出したときは、もうシングルは意味ないと思ってたんです。ちょうどYouTubeが浸透し始めて、シングルを作る労力よりも、YouTubeで手軽に見れることのほうが比重が大きくなったというか。シングルを作るにもお金がかかるし、いろいろ時間や知恵を使わなきゃいけない。でも最近は1本ビデオを作って、リード・トラック扱いでYouTubeに上げてしまったほうがよっぽど楽だし、もうそれでいいじゃないかと思ってたんです。だけど根が天邪鬼なもので(笑)、そういう流れができ上がってしまったら"よし、シングルやっちゃおう"と思ってしまったと。そこが大きかったですね、今回は。あとこれは伝統的な話なんですけど、パンク・バンドってシングルがすごく多いんですよ。そのへんもなんとなく視野にあったかもしれないですね。
-最近はデジタル・シングルなんてものもあるくらいで、正直フィジカルのシングルってものの重要性がちょっとわかりにくくなっていますよね。
わからないですよね。ちょっと刺激的な言い方をすると、だからやったんです(笑)。意味ないだろうから。でも、絶対に意味ないわけないんですよ。"え、なんで今シングル?"と思ってくれる人がいたら、その人の日常にクエスチョンマークを投げることができるし。あまりにも意味がなくなってきたからやった、という感じですかね(笑)。
-過去のシングルもそうでしたけど、いわゆる表題曲が1曲目にくるわけではない構成でしょうね。そこが感覚としてはアルバムに近いというか。
ミニ・アルバムっぽいですよね。今回のレコーディングでは15曲録ったんですけど、15曲入りのアルバムってもうデカすぎる、曲数多すぎるなと思って。でも、いくつかをお蔵入りにしてしまうのもちょっともったいないなという気がして、だったらシングルとアルバムに分けようということになって。で、分ける以上、シングルだけ1曲ポーンとあって、あとおまけみたいなのじゃ面白くないんで、パッケージとしてのストーリーも考えたい。だから、ミニ・アルバムというかひとつの作品集という熱量で作りましたね。
-Track.1「Dance, Sing, Then Think」はオープニングにもってこいで、ロックンロールのうねりが強く感じられる曲だと思います。歌詞からも意思表示というか、思いを掲げて何かを始めるぞという雰囲気が伝わりました。
これは去年の"京都大作戦"のステージ上から思いつきで言ったことをそのまま歌詞にしたんです。フェスって今は敷居が低くなってるから、若い子が気軽にきますよね。その一方で、ロックンロールが何を教えてくれるのかっていうことが相対的にすごく小さくなってきている。で、僕は来てくれてる何万人かの人を前に、自衛隊法改正の話をしちゃったんですね(笑)。というのも、僕は"音楽をするんだったら音楽だけをやっていてくれ"とずっと言われてきて。例えばTwitterで政治的な発言をすると、そのたびに言われてたんです。でも僕にとっては逆で、ロックンロールが言わないでどうするんだっていう気がしていたんです。"あ、そこすらわかってくれないんだ。認識のズレがあるんだ、じゃあそこを正さなきゃ、自分の思ってるほうが正義なんだったらそこを貫かなきゃ"って、それで出たのが自衛隊法改正についてどう思うかっていう(笑)。こんなことが行われていいのかっていうことを、フェスで言い始めたわけです。でも僕もわかっていて、演説じゃないので"今日はこういうフェスの日だからみんな歌って騒いで、家に帰ってから考えてくれ"って、ポーンと言葉が出たんです。それをそのまま歌詞に落とし込んだんです。