INTERVIEW
KEMURI
2015.06.10UPDATE
2015年06月号掲載
Member:伊藤ふみお(Vo) 津田紀昭(Ba) 平谷庄至(Dr) コバヤシケン(Sax) 田中'T'幸彦(Gt)
Interviewer:吉羽 さおり
-ベストを今のKEMURIで再録するという方法で作ったことで、続く新しい曲にも反映しているようなものはありますか。
伊藤:どうですか? 最初にまずベスト盤が出るから、ベスト盤からやらなきゃいけなくて録音を始めたんですよ。まずはドラムからレコーディングが始まったんだけど。
平谷:最初、時差ぼけで(笑)。身体が動くような動かないようなっていうタイミングではあったんですけどね。
伊藤:大変だったと思うよ(笑)。
平谷:アメリカ着いて次の日から録っているんです。毎回そうですけど、ずっと息を止めてドラム叩いてるような気分なんですよ(笑)。でも、ベストに関しては自然に身体が動くところで録ろうっていう感じで、頭は完全にニュー・アルバムの方にシフトしてっていうふうにはなってると思います。僕はまずテンポ感をしっかり作らないとというのがあるので、それはみんなにも確認しながらやっていきました。
伊藤:そこが1番時間がかかったよね。ライヴでは、みんなの何となくの雰囲気で合わせているテンポ感を、実際の数字にしたりとかは、結構やったかな。イントロはこれとか。
平谷:次の2小節だけはこっちで、次はこうみたいな。
-そうやって細やかに録っていながらも、ライヴ感が出ていますね。
伊藤:結構、緻密な作業なんですよね。ライヴでのあうんの呼吸を、改めてやってみましょうっていうのは、大変だったかな。最初は、ベスト盤はクリックは使わないで、リズム隊だけでもせーので録った方がいいんじゃないの?って言っていたんだけど。結局、そうじゃないのが1番効率的だっていうことになって。
-演奏や歌にしても、書いた当時の気持ちを思い起こすこともありますか。
伊藤:あまり変わらないです、当時思ってることも、今思っていることも。いいのか悪いのかわからないけど、あまり変わってない(笑)。「New Generation」(Track.1)なんか、ほんとに1番最初に作った曲だけど、未だに書いた当時の気持ちで、この間"SUMMER CAMP"でも歌っていたしね。すべては変わってしまったけど、なんかね、曲に関しては不思議なくらい変わらない。これでいいのかなって思うくらいに。
-それは普遍的なメッセージや、自分自身を震わせる思いが入っているからでしょうね。
伊藤:だと思いますね。かっこつけた言い方になっちゃうんだけど、自分の言葉に共感できるっていう感じ。わかるわ、なるほどなるほどっていう。
-今回最後に収録されている曲がTrack.14「Along the longest way...」なんですが、改めてこのアルバムやバンドのこれまでを振り返って曲を聴くと、グッとくるものがありますね。"この道をともに歩んできた、これからも一緒に歩いていく"という内容もはまっている。
伊藤:そうですね。最初のカリフォルニア・ツアーはどうでしたかっていうところに戻るんだけど、まあ、当時は自分たちが作った楽曲を、自分以外の世界に向けて、ぶん投げていたわけじゃないですか。それがこの間、何年振りかでアメリカ・ツアーで"帰ってきた"感じがある。歌詞の中では、自分でやったことは自分に帰ってくるんだって歌っているけど、今回ほどそれを痛感したことはなかったですよね。レコーディングで「Along the longest way...」を歌い終わったあとにツアーがあって、ああやっぱりそうだったんだと思ったからね。ほんとに、この曲が最後に入ってはまったなと僕も思いましたね。「Along the longest way」を作ったころ――1stアルバムや2ndアルバムのころって、人気もバカみたいにあったわけじゃないし、悪い意味でのカリスマティックな扱いも受けてなかったから、すごくいい意味で曲とか歌詞とかに他者性がないんですよ(笑)。
津田:はははは。
伊藤:自分たちがいいと思うものを、考えないでやっていたんですよね。それが、ああ、なんか面白いなあと。歌いながら思った。
-では、最後に今回のアルバム・タイトル"SKA BRAVO"とは、どんな所以があるんですか。
伊藤:"SKA BRAVO"は、去年久々にMike Parkが日本に来たときの、イベント・タイトルだったんです。もともとは、1stアルバムをレコーディングしていたときによくみんなで食べにいった"TACO BRAVO"っていうタコス屋さんのお店からとったんですよ。北カリフォルニアのキャンベルっていう街にあるんですけど。その当時の楽しさとか、ここにきてのいろんな流れもあって、それをシンボリックに"SKA BRAVO"っていうタイトルにしようと。