INTERVIEW
MUCC
2012.11.30UPDATE
2012年12月号掲載
Member:ミヤ (Gt/Vo)
Interviewer:MAY-E
-過密なスケジュールにストレスを感じることもなく、落ち着いて制作を進めることが出来たということでしょうか。
うん。あとは、ソニーに移籍してリリースする1作目のアルバムなんで、ムックを知らない人が聴いた時に、ムックがどんなバンドなのかを知ってもらえるようなアルバムにしようと思っていました。ムックっていろんな側面を持っているバンドなんで、この分かりずらい感じを分かりやすく説明するにはどうしたらいいかなって考えながら作っていましたね。ユニバーサルに所属していた時は野放し状態だったんで、勝手にやっていたんですよ。だけど今回は“もっとこうした方がいい”っていう意見をメーカー側が明確に出してくれて。ある意味、ぶつかれるっていうか。バンド側の意見とメーカー側の意見をぶつけて、いいところを見つけることができました。今までにないグルーヴがあったんで、すごく良かったです。
-へえ。制作はやりやすくなりましたか?
うん、やりやすいですよ。自分たちだけで完結していくと、どうしてもクセが出てしまうし。ソニーに所属してやっていくという意味を感じながらやっていくべきだと思いましたし。
-なるほど。今年15周年を迎え、ソニーへの移籍もあり、心機一転して制作にも望めたのでしょうね。
そうですね。外からのいろんな意見を取り入れて、俺たちもいろんなアイデアを出しながら進めることができました。そういう状況が今まであまりなかったので、すごく楽しいですね。
-具体的にどんな意見があったのですか?
“この曲はアルバムに絶対に入れて欲しい”とか“この曲はアルバムを解りやすくするためにはなくてもいいんじゃないか”とか。こういう意見って、バンド側とメーカー側で違っていたりもするし。逆に“これは入れましょう”って言ってくれた曲が、解りやすい曲じゃなかったりして。レーベルのロックな部分の意見を聞くことができたのは、良かったです。
-『カルマ』以降、ダンス・ミュージックの要素を取り入れるようになりましたけど、そういう方向性についての意見もあったのですか?
いや、そういうのはあんまりないです。ただ、“追及するのは全然ありだし、かっこいいことを常にやっているバンドだと思っているけど、解りやすい曲を作ってね”って言われました。かっこよくて、分かりやすい曲を。
-分かりやすい曲、というのは?
名前は皆知っているんですよ、ムックって。でも、それほど認知されていないんです。ムックを知っていても、どんな音楽をやっているのかまで行きつく人はほとんどいなくて。そういう人たちにも、“この曲知ってる”って言ってもらえるような曲。そういう曲を作っていきたいし、そういう曲が何曲も欲しいっていうか。
-なるほど。今のムックを語る上で、ダンス・ミュージックは必要不可欠な要素のひとつになったと思うのですが、ちょうど『カルマ』の頃に、ミヤさんはDJ活動を始めていますよね。ダンス・ミュージックの要素がバンドにも表れてきたのはDJ活動の影響と言えるのでしょうか。
それはもう、直結で影響していますね。DJするようになって、聴く音楽も増えたし。音楽そのものも重要なんですけど、クラブとかバーでの人との触れ合い、会話、そういうところから生まれてくるネタも尽きなくて。人と接することによって生まれる何かっていうのかな。積極的に外に出るようになってから、歌詞のネタに困らなくなったんですよね。歌いたいことがいっぱい出てきて。いろんな状況とか、感情とか、色んなネタがどんどんどんどん出てくるようになったんですよ。
-音楽的な意味だけでなく、DJ活動の中で生まれる人との繋がりもムックの曲作りに大きく影響しているんですね。
うん。やっぱ、最終的にはこういうことなんだなぁって。ライヴ会場だったり、人が集まる場所にすべてがある、というか。クラブもそうだし、バーもそうだし。次に繋がるために飲みに行くと言う訳ではないんですけど、場所で生まれるフィーリングが、最近すごく楽しいんですよね。どんどん曲ができてしまう。ここ2、3年はそういうのが増えたし、DJをするようになって、バンドをやってるだけでは感じることのできない空気を感じるようになりましたね。最終的には、音楽を楽しんでいるっていう意味では一緒なんですけど、音楽にはいろんな楽しみ方があるし、まだまだ遊びたりないっていう感じがあって。部屋でひとり考え込むよりも、1日飲みに行っている方が曲が作れるなって(笑)。
-へえ、それだけたくさんのインスピレーションを受けているんですね。そもそもミヤさんがDJを始めるきっかけは何だったのですか? ロックってライヴ・ハウスの音楽ですし、ロック・バンドのメンバーさんってDJで踊ることをあまりしない印象があるのですが。
DISCO TWINSっていうユニットがいたんですよ。Yuksekが来日したときのサポートで彼らが出演していたんですけど、めちゃくちゃかっこよくて。DJは踊るものというだけの対象だったのが、アーティストとしてすごいかっこいいものなんだっていうことに気付いて。俺もやってみたいなって思ったところからですね。だから、DJの始まりはロックじゃないんですよ。