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INTERVIEW

MUCC

2012.11.30UPDATE

2012年12月号掲載

MUCC

Member:ミヤ (Gt/Vo)

Interviewer:MAY-E

-なるほど。今作は、海外のバンドのようなハードなロック・サウンドがありながら、全編日本語詞であるのは、その“日本人らしさ”を意識してのことですか?

俺ね、日本語で歌詞を書くのは、英語がしゃべれないからなんですよ。音重視で作ると、なんか違うんですよね。自分が発した言葉に魂が宿ってないと、歌にならない気がしちゃうんですよ。くだらない拘りなのかもしれないけれど、自分が分からない言葉では歌いたくない。意味が分かっている、日本語のような英語だったらいいんですよ。ただ、英詞を歌おうという気持ちはあまりないです。

-逹瑯さんも、歌詞についてはミヤさんと同じ考えなんでしょうか。

逹瑯も英語で歌詞が書けないですからね。元に日本語詞があって、英語詞を作るっていうんだったら全然ありなんですけど。子供の頃に留学しているメンバーがいればよかったのにって思いますね(笑)。

-(笑)今作はガレージ・パンクな「ハニー」、クラシカルでジャジーな「ピュアブラック」、トライバルな「狂乱狂唱~21st Century Baby~」とバラエティに富んでいて、これだけの様々なファクターをひとつの作品にまとめ上げる作業も大変だったのでは?

まとめようと思って作ってないので、結果こうなったっていうことが多いんですよ。で、それぞれに作ってくる曲のタイプが違うんで、あんまり偏らないんですよね。俺が中心になって作っていて、曲も歌詞も1番書いているし、トータル・イメージは俺がまとめて作っているので、それほどブレることはないんです。

-アルバムのテーマやコンセプトを事前にミヤさんがメンバーに説明して、それから制作が始まるんですか?

何も話さないですね、毎回。空気を感じ取ってもらわないと。逆に、俺はメンバーがやりたいことを感じ取るようにしているし。俺がこういう感じなんだろうなっていうのはメンバーも察しているし、15年やっているんで、何の打ち合わせをしなくても大丈夫なんです。歌詞にしてもそう。

-言葉では一切説明しないんですか。

そう。だけど、どの曲を入れるかっていう打ち合わせは結構します。インストなしの13曲収録にしようっていうのだけは、事前に決めていました。最近、曲数の多いアルバムって多いじゃないですか。飽きちゃうんですよね。“あ、もう終わりなんだ”っていうギリギリの感じにしたかった。ムックのように、各曲でキャラが違って、ころころ変わるバンドなんで、ある意味統一感がないんですよ。統一感がないまま曲数だけ増やしちゃうと、逆に散漫になってしまうし。いい具合のさじ加減のところで収めたいな、と。

-確かに、ひとつとして同じタイプの曲がないですよね。

いろいろやっているバンドなんで、ある意味掴み所がないというか、どれがムックの核になるのかが分かりづらいバンドでもあると思うので、分かりづらいところが個性でもあると思うんですよ。分かりづらいところを、出来るだけ分かりやすく伝えるための最新系のムックのアルバムというか。もっと深く突き詰めていったらいろんな側面があるんですけど、ムックの分かりづらいところを分かりやすく説明する、名刺代わりのアルバムになったかなと思います。ある意味、無難な感じ。

-アルバム冒頭の曲は、今作中で最もヘヴィな「Mr.Liar」であるのが個人的に嬉しくて。「Mr.Liar」は『球体』ぶりの、今のアメリカのロック・シーン直系のメタルコア曲ですよね。ブレイクダウンもあるし。

パンチが欲しかったんですよね。あとはやっぱり、こういうのが好きなんですよ。こういうフィーリングが好きだし、ライヴ・ハウスで映えるような楽曲のほうが、元を正せば得意なんですよ。

-「Mr.Liar」みたいにヘヴィな曲でさえフロア映えする仕上がりになっていますよね。

「Mr.Liar」は、ストーン(※新宿Rolling Stone)に行ってなかったらできなかったかもしれないです。ATTACK ATTACK!みたいな音が、ああいう場所で鳴っているっていうのが、それまでは想像できなかったんで。

-わあ! それは嬉しいお話です。

あとは、最近なんでもアリになってきていて。「Mr.Liar」はツイン・ヴォーカルなんですよ。シャウトも、俺なんですよね。逹瑯って、ロウ寄りは得意なんですけどスクリームが出来ないんで、スクリームは俺の方が面白いだろうっていう話になって。

-前作『カルマ』から、「アルカディア」「ニルヴァーナ」「MOTHER」とそれぞれに違うスタイルのシングル3曲を挟んで、今作『シャングリラ』へときれいに繋がっているなぁという印象なのですが、今作のヴィジョンって、『カルマ』の時期にはもう見えていたものだったりするのですか?

いや、単純に「アルカディア」で行き切った感があったんで、逆に退化してみようと思ったんですよ。「ニルヴァーナ」を作った時のイメージがドラムンベースだったんですけど、それをバンド・サウンドに置き換えて。そして「MOTHER」と。00年代、90年代、80年代とサウンドが戻って行って、もう1回『シャングリラ』へ戻るっていうのが、なんとなく美しいかなって思っていて。「MOTHER」はシングルになると思って作っていなかったんですよ。RED HOT CHILI PEPPERSみたいな曲があったら面白いなぁって思いながら作った曲で。