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INTERVIEW

MUCC

2012.11.30UPDATE

2012年12月号掲載

MUCC

Member:ミヤ (Gt/Vo)

Interviewer:MAY-E

-わあ! それは嬉しいお話です。

あとは、最近なんでもアリになってきていて。「Mr.Liar」はツイン・ヴォーカルなんですよ。シャウトも、俺なんですよね。逹瑯って、ロウ寄りは得意なんですけどスクリームが出来ないんで、スクリームは俺の方が面白いだろうっていう話になって。

-前作『カルマ』から、「アルカディア」「ニルヴァーナ」「MOTHER」とそれぞれに違うスタイルのシングル3曲を挟んで、今作『シャングリラ』へときれいに繋がっているなぁという印象なのですが、今作のヴィジョンって、『カルマ』の時期にはもう見えていたものだったりするのですか?

いや、単純に「アルカディア」で行き切った感があったんで、逆に退化してみようと思ったんですよ。「ニルヴァーナ」を作った時のイメージがドラムンベースだったんですけど、それをバンド・サウンドに置き換えて。そして「MOTHER」と。00年代、90年代、80年代とサウンドが戻って行って、もう1回『シャングリラ』へ戻るっていうのが、なんとなく美しいかなって思っていて。「MOTHER」はシングルになると思って作っていなかったんですよ。RED HOT CHILI PEPPERSみたいな曲があったら面白いなぁって思いながら作った曲で。

-なるほど。『カルマ』~『シャングリラ』と、ロックとダンス・ミュージックを自由に行き来している感覚ですよね。

うん。『カルマ』はバンド・サウンドがスパイスになっているアルバムだったんですよね。だけど今作は、バンド・サウンドがメインで、ダンス・ミュージックがスパイスになっている。逆なんですよね。

-へえ、面白いですね。

『カルマ』ではバンド・サウンドを抑えめにして、ライヴ・ハウスに来たときのギャップを楽しんで欲しかったんですよ。今回は、音源からバンドがメインで、よく聴くと後ろにいろんなジャンル感が漂っているっていう。

-制作のプロセスは、初期と比べて変化はありますか?

「Mr.Liar」と「You&I」は、昔と全く作り方は変わっていないです。なんとなく頭にあるものをスタジオで皆でせーので合わせていくっていう。今回はその方法と、デモから作り込んでいく方法が混合しているんですよ。前作、前々作は、バンドで合わせる前にデモを完全に作り上げていくっていう方式だったんです。それって、すごく効率も良いし、クオリティも上がるんですけど、きれいになりすぎるというか。ロック・バンド感がなくなるんですよ。

-密室系と呼ばれた時代には、メンバー皆さんも今のバンドの姿は恐らく想像すらしていなかったのではないかと思うのですが、今のムック像は、いつ頃から見えていたものなんですか?

うん、想像できなかったですね。19、20歳の頃に、自分が4つ打ちをやるようになるとは思ってもいなかったです(笑)。でも絶対的に変わっていないのは、BGMは作れないし、作りたくないってところです。聴き流せる音楽は作りたくないし、音でもいいし、言葉でもいいし、何かしらひっかかるような音楽をやりたいっていう部分は変わっていないです。誰もが共感できる歌って素晴らしいと思うんですけど、元にあるのは、もっとパワフルな歌だったり、特定の人に向けて歌っている歌。そういう歌が共感されると思っているし。自分が音楽を始めたきっかけはフォーク・ソングなんですけど、フォーク・ソングって、歌詞にもっていかれて、情景が浮かんで、それに引き込まれて物語の中に自分が入り込む感覚があるじゃないですか。それって音楽の素晴らしさだと思うんです。

-15周年という大きな節目を迎えたムックですが、次のバンドの目標は何でしょうか?

変にバンド歴が長いんで、周りは後輩ばかりになっちゃってるんですけど、落ち着くのも嫌なんで、もっと攻めていこうかなと思います。もっと売れて、ボーダーをなくしていけるような布教活動をしていきたいですね。

-今作『シャングリラ』ですが、これまで以上に振れ幅が広くて、ムックの懐の深さを改めて感じるアルバムに仕上がりましたね。

ツアーしながら1年かけて作っていたんで、俺の中では完全に旧譜なんですよ。ツアーしながらのアルバム制作は、10周年のときにも1回やっているんですけど、本当にきつくて。で、2度とやらないと思っていたんですけど、今年は15周年で幕張のライヴがあったり、リクエストのZEPPツアーもあったので。だから、アルバム制作が終わった直後のフレッシュな気持ちではないんですけど、試聴会をやったり、いろんな人に配って聴いてもらっていて、これまでのアルバムの中で1番フィードバックが大きいアルバムだと感じています。

-確かに、15周年ということで今年は精力的にライヴ活動をしていましたし、その中での制作は大変だったでしょうね。

そうですね。だけど、昔の楽曲をやりながら新曲を作らなきゃいけないっていう環境が、変に曲に入り込みすぎず、客観的に見ながら作ることが出来たんで、それは良かったかなと思います。入り込みすぎちゃうんですよ、自分の作品に。だけど今回は、良い意味で冷めてたっていうか。