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INTERVIEW

CHTHONIC

2011.06.10UPDATE

2011年06月号掲載

CHTHONIC

メンバー:Doris(Ba)

インタビュアー:道明 利友

-今回の取材は激ロック初登場のインタビューになりますので、まずは基本的な話からうかがわせて下さい。CHTHONICの結成から現在までの流れを、自己紹介的に教えていただけますか?

バンドが生まれたのは1996年、長い歴史があるバンドですね。その当時から、東洋の歴史とか神話にメンバーがとても興味があって、それがバンドとしてのテーマにもなっていて。それと、欧米のデス・メタルだったりブラック・メタルにも昔は影響を受けていたんですけど、今の自分達はオリエンタル・メタルっていうスタイルをすごく意識し始めていて。そういうスタイルは欧米のメディアとかもなかなかカテゴライズしづらいみたいなんですけど、自分達独特の“東洋のメタル・バンド”っていう認識が特に最近は強くなっていると思います。で、ライヴもフェスも今まで色々なところに出演していて、Wacken Open AirとかOzzfestみたいな大きいフェスティバルに出演することが目標のひとつにもあったんですけど、最近はDownload Festivalとかも含めたそういうフェスに出演できるようになって、自分達の活動の幅がようやく広がってきたのはすごく光栄ですね。

-“東洋のメタル・バンド”っていう表現はすごく頷けます。“東洋的”な要素だと、例えば以前の作品から二胡を取り入れていたりしますし、今回の『Takasago Army』では日本の尺八とかも使っていますよね?

そうですね。日本の尺八と琴を使ってます。日本の伝統楽器を使ったのは、今回の作品のテーマが日本とすごく関わりの強いテーマで……。第二次世界大戦当時、日本が台湾を統治していた時代の物語で必然的に日本的な要素が入ってくるので、サウンド的にも日本的な要素を出したくて使ったんです。それと、台湾のセディック族という先住民族の話もこのアルバムには出てくるんですけど、イントロの「The Island」の笛の音はその先住民族が使っていた伝統楽器も使っていますね。あと、チベット鐘の音だったり。

-そういう““東洋的”な要素は、前作の『Mirror Of Retribution』よりも色濃くなっていますね。本人的にも、自分達の音楽性の変化だったり進化を最近はすごく感じているんじゃないですか?

『Mirror Of Retribution』をリリースしてからの2年、3年間で、年齢的にも、メンバーが少し大人になったのも大きいかもしれないですね(笑)。あとはやっぱり、以前よりもっと色々な音楽を聴くようになったことも。例えばフォーク・ミュージックとか、台湾のトラディショナルな演歌とか。聴いたことはないですよね?

-すいません。僕は聴いたことはないです、不勉強ですが。

(笑)いえいえ。特に、メイン・ソングライターのヴォーカルのFreddyとギタリストのJesseがそういうフォーク・ミュージック、台湾の演歌、他にも色々な音楽の要素をたくさん取り込んでいった結果が今回のこのアルバムになったんだと思ってます。前回までは、例えば7割くらいがヘヴィ・メタルで、あとの3割が台湾の伝統的な楽器の二胡を使った楽曲っていうような割合になっていたのが、今回はそれが5対5ぐらいで。そういう感覚でヘヴィ・メタルとオリエンタルな要素をミックスさせるスタイルが、今の自分達にはすごくしっくりくるというか。

-音楽性もそうですけど、例えば台湾のフェスティバルではLisa Loebとか、日本のバンドでもTHE BACK HORNだったり、あと氣志團なんかとも同じステージに立っていたりして驚いたんですよ。そういう活動にも、CHTHONICのジャンルではある意味括れない感覚が表れているような気がして。

よく言われるんですよ。あなた達はメタル・バンドなのに、どうしてそんなに色んなバンドを呼ぶのかっていうようなことは、色々な人達から。でも、私が思うのは、色々な音楽を聴く自分達にとっては、それがすごく自然なことで。それと、もうひとつ大きい理由は、台湾のロック・シーン、音楽シーンはまだそんなに歴史が長くはない。でも、日本のシーンは30年以上、アメリカでは50年以上、カントリー・ミュージックの歴史とかも含めるならそれ以上の歴史があるし、UKにもブリット・ポップみたいな音楽シーンの長い歴史がありますよね。それに対して、例えば台湾でロック・バンドが出てくるようになったのはここ10年、あるいは20年くらいの歴史しかまだなくて、これからシーン自体がもっと発展していくはずなので、バンドの数自体も少ない今の時点でジャンルにカテゴライズした活動をするのは自然なことではないんじゃないかなとは、私自身は感じているんです。

-台湾のシーンがこれからどう発展していくか、楽しみですね!アルバムの話に戻させて下さい。最初のほうの話にも出ましたが、今回のアルバムを“Takasago Army”という題材で描いたのはどんな理由からだったんですか?“高砂義勇軍”っていう史実をテーマにされたのは。

この“高砂義勇軍”っていうもの自体が、世界ではあまり知られていなくて。台湾でも、世界の他の国でも、“高砂義勇軍”の歴史を表に出してこなかったっていう事実はあると思うので、それに自分達は光を当てたかったんです。“高砂義勇軍”に限らず、台湾の先住民族はものすごい数が戦場に借り出されて、20万人もの兵士が太平洋世界大戦のために徴兵されて、3万人以上が命を落としたっていう歴史に光を当てたくて。で、“Takasago”は日本統治時代の台湾の古称で、“Takasago Army”は、その当時に戦った勇敢な兵士のことなんですけど、このアルバムはウーバスっていうセディック族の青年に焦点を当ててストーリーを描いているんですね。ウーバスの祖父は元々日本軍に反対の立場にいた人で殺されてしまうんですけど、ウーバス自身は太平洋戦争に徴兵されて前線に赴かなければいけない立場にいて、先住民としての葛藤もあるし、日本の兵士として戦わなければいけないっていう使命もあって。そういう葛藤を抱えながら戦地に赴いて勇敢に戦ったっていう勇敢さとか、心の強さみたいなものにも焦点を当ててみたかったんです。