INTERVIEW
CHTHONIC
2015.01.23UPDATE
2015年02月号掲載
Member:Freddy Lim(Vo)
Interviewer:米沢 彰
-デビューから16年目にして、初のアコースティック・アルバムのリリースとなりましたがリリースを前にした率直なお気持ちを教えてください。
このアルバム作りは俺たちにとって新しいバンドを作るみたいな感じだったよ。全制作過程がメタル・アルバムを作るのとは全然違う。だけど結果として素晴らしいものができたよ。ファンがどれほど楽しみにしてたかを知るのはエキサイトするね。
-2013年に初めてのアコースティック・ライヴを母国台湾で行っていますが、その際はどういった経緯で実現したのでしょうか?
2013年にアルバム『武徳』をリリースした後、(アルバムの舞台となった武道場)"武徳殿"でライヴをやれないかと考え始めたんだ。"武徳殿"は、俺たちの最新のアルバムに描かれているストーリーの中で重要な場所だったからね。"武徳殿"は国有財産で100年くらいの歴史がある文化遺産だから、借りるのには山ほど制約があるんだ。特に管理部門は俺たちのファンがライヴで暴れて"武徳殿"を壊すんじゃないかって心配してたよ。だけど俺たちがアコースティック・ライヴをやるために"武徳殿"を使いたがってるって知ったら簡単に許可してくれたね。結局俺たちは大溪武徳殿、台中演武場、新化武徳殿という3つの武徳殿でライヴをやったんだ。
-その3会場全てのチケットが即完売したそうですが、実際のライヴでの反応はいかがでしたか?
いつもヘドバンしてるファンがすごく落ち着いてるのは変な感じだったけど、ファンのみんなはライヴの間中、俺たちと一緒に歌ってて、めちゃくちゃ楽しんでくれたんだ。で、ライヴの後に、アコースティック・アルバムをリリースしてくれって俺たちにせがんできたんだ。
-また、DVDに収録されているアコースティック・ライヴの模様を拝見すると、マスク無し、メイク無しでライヴをしていますが、アコースティックでのアプローチはヴィジュアル面にも影響を与えましたか?
武徳殿という場所にふさわしい恰好をすることと、アコースティックの雰囲気にビジュアルを合わせることはすごく大事だと思ったんだ。だから特別なCHTHONICの道着を作ったんだ。いい気分だったよ。
-また、SUMMER SONIC 2014で来日した際にも前日に行われたイベント"TAIWANDERFUL"でアコースティック編成のライヴを初めて国外で行いましたね。この公演が実現した経緯を教えていただけますか?
台湾の武徳殿でのアコースティック・ライヴが終わった後、他の国でもやりたいって強く思ったんだ。特に、京都、天津、沖縄とかの武徳殿で、そこのファンと一緒に。だけど、それをやるのはすごく大変だってのがわかったから、サマーソニックの前に"TAIWANDERFUL"に出るって知ったとき、そこで特別に、短いアコースティック・ライヴをやるって決めたんだ。
-"TAIWANDERFUL"での日本のオーディエンスの反応はいかがでしたか?
アコースティック・ライヴでは、ファンといつもよりたくさん話せたから、みんな音楽の背景にあるコンセプトまで理解してくれたね。俺の下手くそな日本語も楽しんでいたと思うよ(笑)。
-まるでこのアコースティック・アルバムに向けた布石を2年前から打ってきていたような歩みですが、いつごろからアコースティック作品をリリースする構想が持ち上がってきたのでしょうか?
2年前にはアコースティック・ライヴをやることと、そのライヴDVDをリリースする計画しかなかった。アコースティック調のスタジオ・アルバムを作ることは考えてなかったんだ。だけどアコースティック・ライヴのために曲を再編成してる最中に、アコースティック・スタジオ・アルバムを作りたいって本気で思うようになったんだ。月琴とかコーラスとかは、スタジオ・アルバムの方が活きると思ったし、これらのアイディアを完全な形で世に送り出したいって本気で思ったからね。
-哀愁をメロディの中核に持ちつつ、トライバルなサウンドを大胆に導入したスタイルのCHTHONICとアコースティック編成というのは、作品を聴いてみれば確かにすごく相性のいい組み合わせだと感じますが、構想だけ聞くとものすごく意外性がありました。最初にアコースティックをやる話が出たとき、それからアコースティック作品をリリースする話になったとき、バンド内で異論はでなかったのですか?
最初にこのアコースティック・アルバムのアイディアが持ち上がったときは、メンバー全員が賛成していた。アコースティック・アルバムを作るなんて簡単なことだと思っていたんだ。だけど作業が進めば進むほど、思っていたより難しいことが判明した。だから制作のスケジュールは何回も押してしまったんだ。俺たちみんなが、こんなに大変なものだって最初からわかっていたら、きっと違った意見になっていたよ(笑)。
-デス・ヴォイスも、ピッキング・ハーモニクスも、ツーバスも封印した上で、アンプラグドで演奏するというのは普段とは相当違った経験だったと思いますが、実際に体験した感想を教えてください。
全然違ったし、超難しかったよ!ギターのJesseはレコーディングの間中、毎日指を痛めてたし、Daniはいつもは激しいドラムを叩いてるのに、今回はどうやってドラムの音を最小限にするか苦労していた。あと、俺はプロデューサーに"メタルを歌うときみたいに感情を入れ過ぎている"って言われて、控えめにやるよういつも言われたよ。感情をコントロールするなんて俺には難しいことだよ。