DISC REVIEW
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非常に80s的。いや、そのころはまだ生まれていない若い読者は無視してください。一聴して彼らだとわかるエレポップ・サウンドで、80年代に一時代を築いたプロデューサー・チーム、Stock Aitken Watermanと彼らが手掛けたBANANARAMAを思い出したなんて言っているのは、筆者も含め......なんてことはさておき、80s風のポスト・パンク/ニュー・ウェーヴを下敷きにポップな作風を追求したこの新作からは、新しいサウンドに対する確信が感じられる。セルフ・タイトルで挑んだ前作は、全米No.1ヒットおよびグラミー受賞という成功をバンドにもたらしたが、ポップ・パンク~エモからの脱却および音楽性の幅を広げる試行錯誤を、そのまま反映させた作品だった。その試行錯誤を、当時は多彩と捉えていたけれど、ここから振り返ると過渡期だったようにも思える。びしっと方向性が定まったようだ。Hayley Williamsの歌声にも聴き手に真正面から迫る力強さが感じられる。 山口 智男