LIVE REPORT
Broken By The Scream
2025.09.28 @代官山UNIT
Writer : 吉羽 さおり Photographer:岡見高秀
現体制となって初のフル・アルバム『Solar Strain』を8月にリリースしたメタル系スクリーミング・アイドル Broken By The Scream(以下:BBTS)が、9月28日に代官山UNITでバンド・セットによるワンマン・ライヴ"THY ART FROM WITHIN"を開催した。フル・アルバムとしては前作『RISE into CHAOS』から約3年ぶり、4作目となる『Solar Strain』。この数年の間にメンバー交代はありながらも、精力的に海外でも活動を行い、ヨーロッパでの単独ツアーや、タイ、韓国等アジアでも公演を実施し、海外の大型フェスにも出演。来年2026年には世界最大級のメタル・フェスと言われるドイツの"Wacken Open Air"への出演も決定しており、グループとして加速しているなかでのアルバムには、ライヴでの新たなテッパン曲や、14分を超える壮大な組曲「追憶のナスカ」といった挑戦的な曲等、全11曲が収録された。今回のワンマン"THY ART FROM WITHIN"はその最新曲と、現体制の4人、野月平イオ、七々扇ツバキ、御子神シズク、鷹屋敷ヤヨイで最新型へとアップデートされた定番曲とによる、最強セットリストでのライヴとなった。
強力な"ゾンビバンド"による爆音を背に、まず1曲目に放ったのは最新アルバムから「アンドロメダ」。BBTSのこれまでの曲で言えば、「Do・Do・N・Pa!!」的な、フルスロットルで興奮の最高潮へと駆け上がっていく曲だ。スピード感のあるアグレッシヴなサウンドで、まずはヤヨイの高音スクリーム、イオの低音のデスヴォイスが左右からフロアを貫いた。そして轟音やブラストビートによる横殴り感だけでなく、ツバキとシズクのメロディアスな歌やセリフ等の緩急でも観客を揺さぶっていく。続く「ココロ、晴レ晴レ」では観客がハンドクラップやヘッドバングを繰り広げる。始まりからフロアの一体感は抜群だ。"Broken By The Screamです。「THY ART FROM WITHIN」代官山UNITへようこそ"。ここで改めて自己紹介をして近況に触れると、ツバキは"海外で活動もしていてすごいよねって言ってもらえることが増えたんですけど。でもそれは私は悔しいんです"とMCをする。身近で応援をしてくれている、ここ日本でのライヴをもっと盛り上げたいと。"今日はここ代官山を世界で一番熱くしたい"と。
そう高らかに宣言をして「感情クロスカウンター」、そして初披露となる最新作からの「ダイイングメッセージ」を連投。初披露ではあるが曲もキャッチーなら振りもキャッチーで、観客もすぐに歌い、踊る。"吸収、早い!"と4人も驚く馴染みっぷりだ。続くMCで、唯一2017年の活動スタート時からのメンバーであるイオは、"メンバーが2人になったこともあった。でも止まることなく活動ができたのはこうして来てくれる人がいるから"と言い、"BBTSが生きる理由になっている"と語る。そしてその愛と感謝を込めて次の曲を歌いたいと、「Wonderful World」をエモーショナルに歌った。続く「朧月 -Oborozuki-」と共に、『Solar Strain』の中でも歌モノな曲で、中盤をグッと引き締めた。
後半へと折り返してのMCでは、BBTSが好きで2023年末にグループに加入したシズクが、アルバムのリリースやこうしてライヴで温かく迎えられている喜びに言葉を詰まらせながら、"どんどんこの4人で大きくなって、皆さんに新しい景色を見せたい"と語った。その後半のハイライトはなんといっても、14分超の大作「追憶のナスカ」の初披露だ。アルバムやミュージック・ビデオでもダイナミックに多ジャンルが展開していく曲の面白さや4人の表現力を味わえるが、ライヴではさらにドラマ性が増す。ダンス等の動きもシアトリカルで、"ゾンビバンド"のテクニカルな演奏と相まって、観客は遊園地のアトラクションでスピード感や変わる景色を体験するような感覚になり、時間があっという間に過ぎていく。この曲がライヴでどう表現されるのか期待が高かったのだろう。フロアの歓声は一際大きい。"「追憶のナスカ」、本邦初公開どうでしたか"とMCをしたのは昨年春に加入したヤヨイ。会場の熱気を浴びながら"この景色を見て、改めてすごいところに立っているんだなと思った"と語る。さらに終盤は、「Do・Do・N・Pa!!」や、最新作からの「トラブルメーカー」等アグレッシヴなメタルコアでフロアをかき回し、ラストに投下した「KI・RA・I !!」ではフロアにサークルを生む盛り上がりで駆け抜けていった。
"ゾンビバンド"による恒例のメタル・メドレーでスタートしたアンコールでは、"メンバーの中で誰よりもワンマンを経験しているのに、誰よりも緊張した"(イオ)、"身近で応援してくれる人の声や言葉が力になった。みんなを大きなステージに連れて行けたら"(ツバキ)と語ったBroken By The Scream。ラストに披露した2017年のミニ・アルバム『SCREAMING RHAPSODY』からの「夢花火」は、観客が拳を掲げ大合唱となり、賑やかなままワンマン・ライヴ"THY ART FROM WITHIN"を締めくくった。
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