INTERVIEW
Broken By The Scream
2023.07.25UPDATE
2023年07月号掲載
Member:野月平イオ 七々扇ツバキ 流鏑馬アヤメ
Interviewer:吉羽 さおり
昨年リリースのアルバム『RISE into CHAOS』で、クリーンVoふたり、デスVoふたりで表現する幅を広げ、様々なテイストのサウンドでグループの個性や面白さを打ち出したメタル系スクリーミング・アイドル、Broken By The Scream(以下:BBTS)。精力的なライヴを軸に活動し、海外でのライヴにも積極的だったが、コロナ禍で渡航のできない数年を経て今年2月にいよいよ海外でのライヴも再開。8月にはオーストリアでのライヴも決定している。また国内でもようやくフル・スロットルでのライヴができるようになった今、投下されるのがミニ・アルバム『Whitewater Park』だ。芸人 サンシャイン池崎とのコラボ曲や、Isam(MAKE MY DAY)とアイガーゴイル(アイリフドーパ)を迎えた曲を中心に、アグレッシヴにBBTSを突きつける1枚となった。コラボや現在のモードについて、メンバーに話を訊いた(※雲林院カグラはこの日体調不良にて欠席)。
-今年に入って海外でのライヴも再開されて、2月にはアメリカと台湾とでのライヴがありましたが、反応や手応えはいかがでしたか。
ツバキ:アメリカはアニメやコスプレの方たちが多いイベント("Katsucon 2023")で、BBTSを知らないお客さんのほうが多かったと思うんですけど、でもいざステージに立ったら、お客さんがすごくたくさんいて。自然とモッシュが起こっていたんです。知らないアーティストでも、あそこまで自分たちの感情を露わにしてくれるのってアメリカっぽいなと思いましたし、盛り上がりはすごく熱かったです。
アヤメ:久々のアメリカと台湾でのライヴだったんですけど、前回よりもアメリカは観てくれた人が多かった印象です。日本って開場の時間と開演の時間があるじゃないですか。そのときは開演直前にお客さんがどんどん入ってくる感じだったので、最初は誰もいなくてすごく心配しましたけど(笑)。
イオ:あれ? ライヴやるの伝わってないのかな? って(笑)。
アヤメ:でも結果的には人でいっぱいになって。それこそお客さんの声を浴びたのも久々だったので、最初はその熱量に圧倒されましたけど、すごくテンションが上がりましたね。
イオ:台湾は台湾で、今回は"浮現祭2023"って台湾最大規模の夏フェスだったんですけど、BBTSのことを知らない人もどんどん集まってきてくれて。後ろのほうまで人で埋まってるのを見ることができて良かったですね。
-ツバキさんはBBTSに加入して初の海外でのライヴですね。
ツバキ:そうです。私は初めての海外でのライヴだったので、熱量がまた日本とは全然違うんだなって思いました。
-そういう熱いライヴから2023年のスタートを切れたのはいい始まりですね。さらにこの夏は、初のヨーロッパ遠征、オーストリアでの公演もあるとか。
イオ:ヨーロッパはずっと行きたかったので、嬉しい。
ツバキ:このオーストリアではアニメとかカルチャーのイベント参加と、ウィーンのライヴハウスでもライヴが決定してます。
イオ:そこに日本のアイドル・シーンから面白い人たちが来ちゃうよっていう(笑)。
-次回、またそのときの話も聞かせてください(笑)。では早速、新しいミニ・アルバム『Whitewater Park』の話をうかがっていきたいのですが、昨年夏にリリースしたアルバム『RISE into CHAOS』はBBTSの音楽的な幅が広がったバラエティ豊かな作品でしたが、今回はよりラウドに攻めつつ、さらにコラボの面白さで聴かせる作品ですね。中でも驚いたのが、コラボ相手として芸人のサンシャイン池崎さんという、意表を突いた人選で。
アヤメ:まず、コラボをすること自体BBTSとしては初めてだったので、すごく新鮮だなって思ったんですけど、それを上回る驚きが池崎さんとのコラボでした。話を聞いたときは"え!?"ってなったんですけど(笑)、でもたしかに新しいかもって。
イオ:コラボの発表をしたときも、ファンのみんなが"予想してなかったところからきた"って驚いてくれてましたね。斜め上すぎる発想だって反応がめっちゃ面白かったです。
ツバキ:きっと池崎さんも、面白いって思ってくれたから受けてくださったのかなって思っていて。アイドルとお笑い芸人さんで、ジャンルが違うし、きっとお客さんの層も違うし、混じり合いそうもないところだなと思うんですけど、"叫び"でお客さんの感情を動かすという意味では共通点があるのかなと思うんです。きっと、BBTSがアイドルでありながらラウドなサウンドだったり叫びをやっているというので、面白いと思ってくださったのかなって。
-叫びという部分では、BBTSとしては負けられませんよね。
イオ:そうですね。でもレコーディングでご一緒させてもらったんですけど、本当に声量がすごくて。池崎さんは叫びの達人だなと(笑)。その迫力はすごかったですね。しかもレコーディングもすごくこだわってくれて。
ツバキ:納得いくまで何回もやり直してくださったりもしたんです。レコーディングは別に写真を撮ったりしないんですけど、ちゃんといつものあの姿で来てくださって(笑)。
アヤメ:ミュージック・ビデオにも出演していただいたんですけど、撮影時は声を出さなくてもいいんですけど、ちゃんと声を出してくれたり。あと、ダンスも覚えてもらって、一緒に踊ったりもしているんです。
イオ:すべてに全力でした。
ツバキ:ダンスも、池崎さんのほうからレッスン日をプラスで設けてもらってもいいですかと言ってくださって、すごい気合を入れてくれたんです。
-まさにその熱量の高さが「Rising sun feat. サンシャイン池崎」には詰まってます。まず曲を聴いたときの印象はどうでしたか。
ツバキ:最初に池崎さんとコラボすると聞いたときは、ネタ系というか面白い曲になるのかなって思ったんですけど、これが意外と熱い曲で。叫びの掛け合いだったり、面白いところももちろんあるんですけど、曲自体のイメージは、池崎さんと私たちの熱さが描かれていて。歌詞も素直でまっすぐで熱い曲になりましたね。そのぶん、ミュージック・ビデオが面白いことになっているので、そのギャップも楽しんでほしいです。
イオ:池崎さんの地声の叫びがメタルコアの音とマッチしていて、面白いしかっこいいんです。1曲の中でこんなに"Yeaaaaaah!!"って言うと思わなかったですけどね。
-(笑)デスボとクリーンのコントラストがあって、特にメロディ・パートの歌詞は、ここでは止まれないんだと、ポジティヴに願いを叫び続けるものでグッときますね。どういったことを意識しましたか。
ツバキ:叫びがあるからこそ、クリーンのパートはいつも通りのBBTSをというか。BBTSのクリーン・パートのアイドルらしさも残しつつ、コラボだからこその面白さも残しつつ、といういいバランスに仕上がったかなと思います。
-このコラボで新たなリスナーも広がりそうです。
アヤメ:そうですね。ミニ・アルバムに先駆けて「Rising sun feat. サンシャイン池崎」が配信される(※取材は6月末)ので、反応が楽しみです。
-ではもうひとつのコラボ曲「陽炎 feat. Isam (from MAKE MY DAY) & アイガーゴイル (from アイリフドーパ)」の話も聞かせてください。ゲストの両バンドは、BBTSの3月の主催フェス"FEST OF EXTREME 2023"にも出演していますが、実際に曲でコラボをしてどうでしたか。
イオ:特にMAKE MY DAYは対バンでも一緒にやらせていただく機会が多かったり、MAKE MY DAYの「Wake Up」(2020年リリースのアルバム『Mind Haven』収録)ではイオとカグラがフィーチャリングで参加しているので、今回「陽炎」でコラボに出てもらえて嬉しかったですね。アイリフドーパもめっちゃ好きだし。すごいよね、ヴォーカルが計6人って。
アヤメ:そうそう(笑)。
イオ:そのうち4人がスクリームっていうのも前代未聞だと思います。
-主催フェスのステージでの実際にコラボした際にのライヴ映像がMVにもなりましたが、ステージ上は6人に加えてバンドもいる大所帯で、迫力がありましたね。ゲストふたりがシャウト・ヴォーカルということで、この曲をBBTSとしてどう表現しようと?
アヤメ:「陽炎」はBBTSらしさはもちろんあるんですけど、あまりクリーンとデスボの差がないというか、クリーンも力強い感じで歌う曲なんですよね。そういう曲がこれまであまりなかったので、私はレコーディングでは結構苦戦したんです。アイドルらしさも残しつつ、でも力強く歌わないといけないとか。ライヴでもクリーンのふたりは自由に表現する部分が多くて。そこも今までにない曲調だから、どうしたらいいんだろうって悩みました。どう表現しようかっていうやりとりは結構たくさんありましたね。
ツバキ:この曲では、熱さとかファンの人とのやりとりとか、ライヴ感を重要視した曲だと思うので、レコーディングもそのライヴ感、生感を大事に。自由に歌うところも、どうしようかって悩んだんですけど、実際にライヴのステージに立っちゃえば、お客さんと目を合わせてやりとりすることが自然とできるかなって。デスボ・パートがステージ真ん中で熱いことをやってくれているので、自然とテンションも上がってくるし。生感が大事だから、ライヴでも観るたびに違うものになっていくと思うんです。ライヴではゲストのパートをメンバーでやったりもするので、ライヴによって観え方がガラッと変わっていく曲かなって考えています。
-シャウト・パートのバランスはどんなふうに考えたんですか。
イオ:ゲストのふたりが中音域のスクリームなので、よりそこがはっきりとできたら面白いなって思いました。私のグロウルとカグラの高音スクリーム、そこにふたりが加わって4人のスクリームがいるっていうのが出るようにというのと、レコーディングでもライヴでもBBTSにしかできないコラボ曲になったらいいなと。個人的にはラストの拍子が変わるところが特に好きですね。すごくかっこ良くて。