LIVE REPORT
田中 聖 / TAKE NO BREAK
2021.08.01 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 杉江 由紀 Photo by うつみさな
真夏の暑さをさらに激化させるような、レアでヤバい最高のゲームがここに開幕! このたび8月1日に下北沢LIVEHOLICにて開催された"LIVEHOLIC 6th Anniversary series ~CLIMAX GAME~"では、なんとあの田中 聖とTAKE NO BREAKが大激突をしてみせることになったのだ。
まず、しょっぱなに威勢良く狼煙をあげたのは田中 聖で、1曲目の「Man,Hate,Lie」からゴリっゴリの凶悪轟音バンド・サウンド(むろんこれは褒め言葉!)と、その昔から"JOKER"としての別名を馳せてきただけある、説得力満載のラップが渾然一体となっていく様を、フロアに向けてまざまざと見せつけていく様子は圧巻にして無敵。
"初めましての人もいると思いますが、世間で言われているほどそんなに怖い人じゃありません! ただ、ひとつになりたいだけです!"
曲の前後などに即興でのMCを入れることはあっても、いわゆるMCパートは特に設けず、終始フルスロットルでのステージングを展開していくスタイルは攻撃的且つ誠実でもあり、一見イルなようでいて絶妙なサジ加減を利かせてある立ち居振る舞いや、巧みなフロウの端々からは、プロフェッショナルなエンターテイナーとしてのスティーロが強烈に伝わってきたのは間違いない。また、このステージでは故 hideの遺した名曲「PINK SPIDER」を独自性溢れるアレンジで聴かせるひと幕もあり、ラップとロックの世界を自在に行き来する田中 聖のスタンスが改めてよくわかった。
10月3日には、田中 聖主催サーキット・フェス"無礼男-Bremen-"を敢行することが決まっているそうだが、彼のボーダレスでノールールな音楽活動には今後も要注目である。
一方、現体制となってそろそろ1年となるTAKE NO BREAKは、アッパーなバイブスが目一杯に詰まった「Ultimate Bug」を第1投としてドロップ。そして、躍動感たっぷりなデスヲのドラミングと朋(塩谷朋之)のドライヴするベース・ラインが、淳の高らかなヴォーカリゼイションをしっかりとバックアップする「dirty_white」では、TNB(TAKE NO BREAK)ならではの持ち味がより最大限なかたちで引き出されることに。現状、このご時世だけにライヴの本数は決して多くないのが実情だが、やはりTNBはライヴの場でこそより輝くバンドだとここでまた証明されたのでなかろうか。
"こんばんは、TAKE NO BREAKです。今日はLIVEHOLICさんの6周年イベントということで、おめでとうございます! そして、今日は田中 聖君とのツーマンということでね。とっても嬉しいです。ずっと何年も前から一緒にやりたいなと思ってました。ほんとさっきもすごく熱いライヴだったんで、僕たちも負けないようにカッコいいライヴをしていきたいと思ってますので、よろしくお願いします!"
中盤ではメロウな旋律と淳の歌心が完全にシンクロしていた「Sing it」、後半に向けては、曲題どおりにオーディエンスが楽しそうに飛び跳ねだした「Jump in the Sound」なども織り込みつつ、この夜のTNBはツーマンという限られた時間の中にあっても、ワンマンのごとき流れを生み出していたところがさすがのひと言。なお、彼らは9月11日に西川口Heartsにてデスヲバースデー・イベント、10月9日に高田馬場AREAにての塩谷バースデー・イベントに参加することが決定しているそうだ。
夏の盛りに繰り広げられたこの熱き"CLIMAX GAME"は、勝ち負けのつかないドローというよりも、Win-Winで終わった有意義なデュエルになったと言えよう。
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