INTERVIEW
TAKE NO BREAK
2022.05.12UPDATE
2022年05月号掲載
Member:淳(Vo) 朋(Ba) デスヲ(Dr)
Interviewer:山口 哲生
TAKE NO BREAKが、アルバム『A.G.A.G』をリリースしたのが2020年4月。そこから世界はコロナ禍へ突入、さらにはギタリストの脱退と、様々な試練が彼らの目の前に立ちはだかった。新体制として放つ初のシングル『You'll be reborn』は、どんな状況に陥ろうとも、足を止めることをやめなかった3人の熱や想いが凝縮された作品に仕上がっている。シングル曲を中心に、新生TAKE NO BREAKが目指すヴィジョンについて、話を訊いた。
-アルバム『A.G.A.G』をリリースされて以降、この2年間はバンドにとってどんな期間でしたか?
淳:コロナ禍になって、体制も変わって......という状況ではありましたけど、止まらずに活動をしていこうと思ってましたね。できる限りライヴをしたり、制作をしたり。
デスヲ:特に2021年は意識的にそうしていたというか。最初にお客さんに宣言したんですよ。"僕らは今年めっちゃ動くんで"って。
朋:"松本、動きます"みたいな(笑)。
デスヲ:そうそう(笑)。2020年はまだちょっとどうなるかわからないところも多かったけど、これはこのまま止まっていたらバンドが死ぬなと思って。それで2021年はバンド含めて、メンバーそれぞれでやれることはできる限りやっていこうということで、積極的に動いてましたね。
淳:本当だったら、2020年はアルバムをリリースしたあとそのままツアーを回って、リリース・イベントもやって、という感じだったんですけど、それが全部中止になってしまったんですよ。そのリベンジではないけど、2021年はアルバムを出したあとにやりたかったことをどんどんやっていこうっていう感じでしたね。
朋:あと、コロナ禍とギターがいなくなったタイミングがかぶっていたので、逆にいろんな挑戦や試行錯誤ができたかなと思いますね。ギタリストの脱退で、やっぱりバンドとしては万全の状態ではなくなってしまったので、立て直すためにはいい時間の使い方ができたかなって。
淳:プラスに考えるとね。
朋:うん。
-そういったなかで曲を作り続けていたんですか?
朋:そうですね。ギターレスでもいけるような雰囲気にしてみようっていうところに挑戦してみたりとか。ライヴでもギタリストを何人か変えてやってみたんですよ。そしたら、同じ楽曲でもこんなに曲が変わるんだということを感じることができて。デスヲさんとも話していたんですけど、この状況だったら"じゃあこの曲はこのギタリストで"みたいな対応もできるから、そこを強みにできるような曲作りの仕方もできるねって。そこは得たものとしてあったと思います。
デスヲ:やっぱりメンバーのことを考えて曲を作ったりするところもあるんですよ。例えば、ちょっとメタルが好きかなと思ったら、そういう雰囲気のある曲を作ろうかなとか、プレイスタイル的に16(ビート)系より8(ビート)系が合うなとか。でも、今はギタリストがいないから、作曲するうえでのそういった自由度は高くなったのかなと思っていて。その高くなった自由度を生かすも殺すも自分たちだと思うから、僕の場合だったら、自分が普段書かないような曲を書いてみようかなとか。そこをメンバーと話をして、ヘヴィな要素があるものを書いてみたりして。
朋:僕としては、ギターがいなくても成立するような形にするのがいいかなと思っていたんですよ。シンセバキバキで、みたいな。そしたらデスヲさんが......(笑)。
デスヲ:"ギタリストがいないから、ギターレスでもいける曲"って話していて、"そうだよね!"って言いながら、ギター・リフで押していく曲を持っていって(笑)。
淳:ははははは(笑)!
朋:ギター弾けないくせに(笑)。
デスヲ:そう、打ち込みでギターをガンガンに入れて(笑)。できあがった曲がたまたまそうだっただけなんですけどね。
淳:あと、今回のシングルはギタリストのこともそうだし、アレンジも新しい方にお願いしているので、そういったチャレンジもありましたね。
-お話にも出ましたが、5月22日にシングル『You'll be reborn』をリリースされるわけですけども、こういう1枚にしようかという全体像みたいなものを考えながら、いろんな曲を作っていたんですか?
淳:本当はミニ・アルバムにしたかったんですよ(苦笑)。でも、僕の歌詞が間に合わずで、ちょっとすみません......! ってことでシングルになったんですけど。その中でも、今までのTAKE NO BREAKにはできるだけなかったような楽曲にしようとは思っていましたね。ただ、今回がアルバムを出してから1発目のシングルなので、次に向けてどうするのか? っていうのは難しいところではありました。
-たしかに、アルバム・リリース後の1枚目、プラス新体制での1発目となると、どのカードを切るか? となりますからね。朋さんとデスヲさんも、そこに入れられそうな曲を作っていった感じでもあったんですか?
デスヲ:僕の場合は自分からはあまり狙って作れないタイプなので、メンバーがこんな曲調がほしいってリクエストが来たものを、思うがままに出していったところはありましたね。
淳:今回、すごい出してくれましたよね。何曲ぐらいありましたっけ?
デスヲ:6曲ぐらいだったかな。
朋:1日1曲みたいな。
デスヲ:そうそう。"今宵の1曲"みたいな感じで毎日送ってたんですけど......これがね、みんな聴かないんですよ!
淳:聴いてるよ! 聴いてる、聴いてる!
デスヲ:絶対にLINE見るやろ? っていう時間に送ってるのに。
朋:いや、だって正月っすよ? 最初に送ってきたの。
デスヲ:みんな休んでるタイミングで(笑)。
-すごいタイミングから送り始めましたね。
デスヲ:わけわからないですよね(笑)。僕としては、今年の頭に音源を出すのを決めていたから、年始だし区切りがいいかなと思って。まぁ、ちょっと間が悪かったっすね(笑)。
淳&朋:ははははは(笑)。
デスヲ:でもまぁ、ちょこちょこと曲を出していって。今回は入っていなくても、どこかで使える曲もあるかもしれないですし、そこは1曲でもストックになればいいかなと思って、そのときにあるものを全部出してみました。
-朋さんも、曲を数パターン持っていったんですか?
朋:僕の場合は小出しにしていたというか。『A.G.A.G』のリリース後にライヴをしてきて、飽きたわけじゃないんだけど、やっぱり新体制になって、ライヴで新曲がないのが嫌だなっていう気持ちもあって。だから、ライヴでやりたいがための新曲作りみたいな感じでした。「Can't see the light?」とかは、去年の千葉さんの誕生日ライヴで披露できるように間に合ったらいいなと思って作っていたりとか。あとは、曲数が結構増えてきたので、今までやってこなかった曲調のものを作っていかないとなと思って、「CALLING」はそういうところから作っていった曲ですね。
-その中でも、今回のタイトル・トラックに「You'll be reborn」を選んだ決め手になった部分というと?
淳:自分的には、やっぱり一番ライヴをしているのが見えたというか。この3曲の中だったら、「You'll be reborn」がTAKE NO BREAKのイメージに一番近いんじゃないかなっていうところで選びました。
朋:音を録ってから決めたもんね?
淳:そうですね。あと、TAKE NO BREAK的には初のデスヲさんのA面曲なので、それもいいかなというところもありました。
-デスヲさんとしては、先ほどお話の中にもあったヘヴィなものを作ろうというところから始めたと。
デスヲ:そうです。メンバーのリクエストのあった曲調の中からこういうのがいいかなって自分で考えた結果、ここに収まったというか。
朋:デスヲさんはギターが弾けないので、全部打ち込んでくるんですけど、結構めちゃくちゃなリフを入れてくるんですよ。だから、良くも悪くも手癖っぽくないというか、ギタリストだったら普通は弾かへんやろうなっていうリフなので、そこは難しかったけれど新鮮でもあり、面白かったですね。
-歌詞はスムーズに浮かびました?
淳:この曲は"輪廻転生"をテーマにして書いていて。さっきも話しましたけど、体制が変わったり、いろいろとチャレンジしたりしてきて。生まれ変わるじゃないですけど、バンド的にも個人的にも、新しいところに行くという意味合いを込めた感じではありますね。
-新しいところへという部分はもちろん、コロナ禍的な現状から抜け出していきたいという気持ちの表れのような印象も受けました。
淳:そういうのはやっぱりちょいちょい入っちゃいますね。いいのか悪いのかわからないけど、ちょっと出ちゃってるかもしれないなって。
-そこはあまり出したくないところもあったんですか?
淳:どちらかといえば、そういうものを出したくないなと思って書いたのが「You'll be reborn」で、出していこうと思って書いたのが「CALLING」なんですよ。あまりにも私情が出ている歌詞って、自分的には嫌というか。やっぱり第三者が聴くことを想像すると、自分の感情ではなく、作品として歌詞を書いたほうが自分的にはいいなと思っているし、気をつけているところではあるんですよ。でも、やっぱり今自分が感じていることを出していったほうがいいのかなって。今回の3曲の中で「CALLING」の歌詞を最後に書き始めたんですけど、テーマが決まると書きやすくなるので、実際にそういう書き方をしてみて、それはそれでありなのかなと思いました。
-カップリングについてですが、「CALLING」は、今までやっていなかった曲を作ろうと思ったとのことでしたね。
朋:TAKE NO BREAKにはシャッフルの曲がなかったので、それで作ってみました。
-ヘヴィなパートもあれば、そこから開けて明るくなるところもあったりと、場面転換が印象的で。
朋:最後に明るくなっていく展開は、淳さんから"アウトロを足したい"という話が来たんですよ。
淳:TAKE NO BREAKのバンドのカラー的にも、暗く終わるよりは明るく終わるほうが合ってるかなと思って。
朋:最初のイメージだと、ライヴの前半にやるような曲かな、みたいな感じで作っていたんですけど、どんどん壮大になっていって、これはもしかしたらライヴの最後とかでやるような曲になっていくのかな、みたいなことを作っていく過程で思いました。
デスヲ:この曲、レコーディングめっちゃ難しかったよね?
朋:うん(笑)。
デスヲ:フレーズがどうというよりも、やっぱり慣れていないんでしょうね、あのテンポのシャッフルに。自分の気持ちいい感じになかなかうまくできなくて。で、録ったあと、朋君に"この曲めっちゃ難しい"って送ったら、"たしかに難しいですね"って、作った本人から返ってきて(笑)。
朋:デスヲさんに渡したときは、ベースも打ち込みだったんですよ。で、ドラムが上がってきたんで、ベース録ろうかと思ったら、これムズいぞ......! って。
デスヲ:だよね?
朋:音符の長さだったり、タイミングをジャストからちょっと前とか後ろにずらしてみたり、しかも16の跳ね感も欲しいし、単純にシャッフルの食いとかすごく苦手やし(笑)。なので、ここからスタジオに入ってライヴでいいグルーヴが出せるようにしたいし、すごくワクワクしている曲ですね。
淳:この曲だけ唯一ライヴでまだやってないんですよ。
デスヲ:うん。ここから自分たちでどう料理していこうかっていう感じですね。可能性が見えないもんね? 未知数だから。
朋:そうだね。本当は見えてないといけないんだろうけど(笑)。
デスヲ:これから落としどころを考えるっていう(笑)。