MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

DESURABBITS

2021.06.20 @Zepp Haneda(TOKYO)

Writer 宮﨑 大樹 Photo by うつみさな

本当に、最後の最後まで、"DESURABBITS"らしく、"です。ラビッツ"らしく、"デスラビッツ"らしい、約8年間の集大成と言えるライヴだったように思う。

アイドル戦国時代に数多く生まれたグループの中でも、男女混合グループの先駆けとしていち早く始動し、シーンを盛り上げ続けてくれた4人組アイドル・グループ"デスラビ"ことDESURABBITS。結成してから8年間、一度もメンバー・チェンジすることもなく活動を続けてきたEMI、YUZU、KARIN、BUCHOの4人が、この日、その物語にピリオドを打った。

開場前、Zepp Hanedaの近くには多くのデスラビ軍(※DESURABBITSファン)が集まっていた。初期から通い続けている古参メンバーや、最近グループのことを知った新規ファン。それと、解散を知り久しぶりにライヴを観に来た人たちで、天空橋はちょっとした同窓会状態。長く活動を続け、長く愛され続けてきたデスラビだからこその光景だ。そこには、すでに泣きだしている人もいれば、ラスト・ライヴということに実感を持てていない人もいるようだった。

この日、グループ史上最大規模のZepp Hanedaは見事にソールド・アウト。BGMとして流れているデスラビの曲で手拍子が起きるなど、すでに温まっている会場で、ニュース番組風の映像"全力!おだましタイムズ"がスタートした。コメンテーターとしてメンバー4人が登場すると、BUCHOのプロフィール改ざん疑惑(職業はDJではなく力士だった?)から始まり、過去の素材を編集して捏造されたEMI、YUZUのスキャンダル映像で笑いを誘う。KARINがナビゲーターとしてハンバーグの調理映像を実況する料理コーナーでは、そのシェフが実はKARINの実父だったというドッキリ(?)も。そんな、遊び心と緩さたっぷりの映像は、きっと"解散ライヴだからって、湿っぽいものにはしたくない"という意志の表れだったのだろう。

続いて"YUZU! EMI! KARIN! BUCHO!"と、親しいアーティストや関係者、デスラビ軍によって事前収録された4人を呼び込む映像が流れた。メンバーに内緒で進行していたこの企画。メンバーにとっては嬉しいサプライズになったはずだ。

いよいよ始まるライヴ本編。"全力!おだましタイムズ"で始まり、繰り返しになるが"湿っぽいものにはしたくない"という意志を感じさせたとはいえ、それでも今日は解散ライヴだ。DJ兼スクリーマーのBUCHOが登場してSEを流し始め、その1曲目に注目が集まるなかで披露されたのは、まさかの「茶番茶バンバン」。意表を突くオープニングにはずっこけそうになったが、そうそう、これがデスラビなのだ。Zeppのステージ上で大勢の観客を前にパフォーマンスをしていく4人。解散ライヴで言うことではないかもしれないが、大舞台で"ワチャワチャ番をしよう"と歌う光景は、まるで夢を見ているかのようだった。

"始まりました「LAST JUMP」! 最後、最高のライヴを作ろうぜ!"(YUZU)の煽りで「2nd Attack」へ。力強いロック・サウンドに乗せて、デスラビ軍と一緒に"にゃんこ 子にゃんこ 大にゃんこ"とダンスをするEMI、YUZU、KARINの3人は、みんな満面の笑顔だ。涙もろいBUCHOは黒いマスクの下でぐちゃぐちゃな泣き顔だったかもしれないが、すべてを出し切るように、極悪なグロウルを響かせる姿にはグッと来た。

大きな拍手が沸き上がった自己紹介を経て"次の曲は、私たちにとって大切な曲です"(EMI)と言葉を届けてから「一瞬で」をパフォーマンス。2019年から掲げたテーマ"兎革命"以降の1曲で、大人になったデスラビを魅せていく。曲振りをしたEMIの、歌詞をひと言ずつ噛みしめながら歌う姿が印象的だった。ここから踊れるアッパー・チューン「うさぎのダンス」で会場の熱量をもう一段階上げてからメドレーへ突入。サラリーマンの苦悩をBUCHOが叫ぶ「Hell Near 部長 ~働き過ぎだよ日本人2013~」で始まり、デスラビッツ時代のライヴ定番曲「なんで?」へ。さらに「失恋したらWASABI」、「日本たまご協会公式ソング」から繋げられたのはレア曲「Riot Zone♥」だ。デスラビ軍も、めまぐるしい展開に合わせて、振りコピや、制限を守りながらの団体芸で応戦した。

YUZUが"ラストということは、今日が終わったらDESURABBITSの曲をやらないってことじゃん? ってなったら、大好きな曲やりたいの!"と言って披露した「ですまスプリング~そろそろ敬語を使ってみませんか~」では、爽やかでかわいらしい歌声を響かせる。そこからラスト・シングル「無視するな、君の色は君で決めればいい」へ。サビで歌い上げた"君の色は君で決めればいい"という歌詞は、これから別々の道を歩む自分たち自身に向けた言葉にも思えたし、集まったファンひとりひとりに対して伝えているようにも思える。そうして「うさぎストリーム2」、「恋する季節」と、ポップでラウドでキャッチーなキラーチューンを投下。BUCHOは"8年間、本当に応援、みんなありがとぉぉぉぉお!!"と魂の咆哮を上げた。

再び映し出されたムービーでは、8年間の活動を振り返るコメントや"6月21日からの自分へ"と題したメッセージが流れ、会場はシリアスなムードに一変。少し、もの悲しげな鍵盤の音色と、壮大なバンド・サウンドのイントロで始まったのは、最初で最後の「I'M ON MY WAY」だ。合唱風なサビの歌唱が美しく、ラスト・アルバムで新境地を見せたこの曲は、デスラビがもしこのまま続いていたら......と、たらればの考えが頭をよぎるくらいに、新たな可能性と魅力が引き出されていた。

そんな「I'M ON MY WAY」から「Magic of Butterfly -成蝶-」、「アイコトバ」と続けて、この日2度目のメドレーに突入。「卒業少女-未来絵-」、「でも、逃げんな」、「Don't think, Feel!」、「RAY WORD」が披露され、「I'M ON MY WAY」から数えると、7曲続けてDESURABBITSへ改名(2019年)後の曲をパフォーマンス。大人になった3人に向けて作られた曲たちは、最新バージョンのデスラビをより感じられ、このライヴを通して、彼女たちの成長ストーリーを今一度振り返らせてくれる効果もあったように思う。

当たり前ではあるけれど、ライヴが進んでいくということは、そのライヴが終わりへ近づいているということだ。一曲一曲パフォーマンスするたびに、次の曲に行かないでほしい気持ちも正直あったが、それでも終盤戦はやってくる。「デスラビッツ軍の七ケ条」をやるころには、ここまで十数曲を歌って踊ってきた3人の額に汗が滲んでいた。それがキラリと光って眩しくて"あぁ、デスラビッツの活動は、間違いなく4人の青春だったんだな"と、胸を締めつけられたし、そこへ繋げられた曲が「世界中にありがとう」なのだからずるい。しかも、3人娘がバラードで歌い続ける「本当の世界中にありがとう」ではなく、曲の後半でBUCHOが暴走するバージョンの「世界中にありがとう」をあえて選ぶあたりに、本当の4人の絆が見えたような気がして、もう本当にずるかった。いくらメンバーやデスラビチームが湿っぽいライヴにしたくなかったとしても、それはやっぱり無理で、どうしたって涙が頬を伝ってしまう。ライヴ終盤の定番曲「お祭りJAPAN!!告白Night」では、4人が声を合わせて"大好きです!"と叫ぶ泣ける演出もするし、きっと筆者同様まともにステージを観ることができなかった人も多かったんじゃないだろうか。最後は、ライヴを締めくくる新たな1曲として制作された四つ打ちのアゲ曲「LAST SONG」で、明るく本編を締めくくった。

"今日という素敵な時間をみんなと過ごせて、とってもとっても良かったです。心の底から楽しかったです。以上、DESURABBITSでした!"(YUZU)、"ありがとうございました!!!!"(全員)と挨拶。ステージをあとにするメンバーに向けられた長い長い拍手は、次第にアンコールの手拍子に変わっていく。すると、2015年の1stワンマン・ライヴのオープニングをオマージュした映像が流れ、ラスト2曲で終えることが宣言された。

そして、懐かしのSE「戦闘配置」が流れる。定位置について披露するのは、もちろんデビュー曲「アイドルSTAR WARS」だ。数えきれないほどやってきた「戦闘配置」から「アイドルSTAR WARS」への流れも、本当にこれが最後。情勢的に声を出せないことがどうしても悔やまれたが、心の声でコールをしていたデスラビ軍も少なくなかったはずだろう。

ここで、メンバーひとりずつから言葉が送られた。

KARINは、"初めての会場で、すっごい広くて、ソールド・アウトできたことが本当に嬉しいです。普通はこっちが元気を与える立場なんだけど、ファンのみなさんのことを見ていると自然と元気になります。本当にDESURABBITSのメンバーで良かったなって心の底から思います。幸せでした"と語り、EMIは涙ながらに"何を一番伝えたいかなって考えたときに、やっぱり「ありがとう」って一番伝えたいと思ったの。みんなが思っているより、みんなの存在ってEMIたちにとってすごい大きいものなんだよ。このメンバーで良かったなと思うのはもちろんだけど、みんながデスラビのファンの人で良かったなってすごく思ってます。みんなのことが大好きです"と言葉を届ける。

続いて、YUZUから"たぶん泣いちゃって喋れない"とからかわれたBUCHOは、"「茶番茶バンバン」で大泣きしてたからね。なんで泣くのかというと、3つあったんですよ"と部長節の話し方。"やっぱり、ちょっと悔しいなっていうのが俺の中では1個あるんです。2つ目、ビジネスでもあったけど、やっぱり僕の青春だったんですよ。時間を費やしていたのが今後なくなるんだと思うと......。最後にひとつ、みんなと会えて「ありがとう」ってハイタッチしたり握手したりできなくなることが、それが一番悲しいことだなと思った。悲しいなって落ち込むこともあるかもしれないけど、そのときはこの4人の笑顔を思い出して、明日への活力にしてほしいと思います"と声を震わせながら想いを伝える。

最後はYUZUが"自分たちから解散しますって言ってるから、メンバーが泣くのはお門違いだなと思ってずっと泣いてこなかったけど、「LAST SONG」を歌っているときに、本当に「これが最後の歌」なんだって思ったら、やっぱり寂しいね。寂しいけど、「それもまた人生」だと思うんですよ。解散しても音楽は消えないので、DESURABBITSの曲をこれからも愛してほしいなと思うし、もちろんYUZUたちがいたっていう事実も消えないので、これからもDESURABBITSのことを愛していてほしいなって。解散する身ですが、とっても勝手ですが、すごく願ってしまいます。またいつか、みんなと会えることを心から願って、みんなが幸せでいてくれることを願っています。本当に8年間ありがとうございました"と締めくくった。

――いよいよそのときが訪れる。"DESURABBITSに涙は似合わないですから、YUZUたちの最後の顔も、みんなの最後の顔も、泣き顔じゃなくて笑顔で終わりたいです。最後は笑顔で終わりましょう。みんなのことが心の底から大好きです"(YUZU)と、正真正銘、最後の1曲として「I love DESURABBITS」を披露。デスラビ軍は一斉にサイリュームを点灯し、メンバーとファンが一体となって踊り、デスラビの長い戦いはここに完結を迎えた。

DESURABBITSとしての"LAST JUMP"。それでも、4人の人生はまだまだ続く。そういう意味では、この日は新たな門出の跳躍だ。

悔しさも悲しさも、感謝も感動も、語り尽くせない想いはたくさんある。だが、最後に歌われた"絶対に絶対にまた 歌い踊ろう/絶対に絶対にまた 泣いて笑おう/永遠に永遠にこの絆は続くよ"という言葉を胸に、再会の日を待ちたい。また会おう!

[Setlist]
1. 茶番茶バンバン
2. 2nd Attack
3. 一瞬で
4. うさぎのダンス
5. メドレー①(Hell Near 部長 ~働き過ぎだよ日本人2013~ / なんで? / 失恋したらWASABI / 日本たまご協会公式ソング / Riot Zone♥)
6. ですまスプリング~そろそろ敬語を使ってみませんか~
7. 無視するな、君の色は君で決めればいい
8. うさぎストリーム2
9. 恋する季節
10. I'M ON MY WAY
11. Magic of Butterfly -成蝶-
12. アイコトバ
13. メドレー②(卒業少女-未来絵- / でも、逃げんな / Don't think, Feel! / RAY WORD)
14. デスラビッツ軍の七ケ条
15. 世界中にありがとう
16. お祭りJAPAN!!告白Night
17. LAST SONG
En1. アイドルSTAR WARS
En2. I love DESURABBITS

  • 1