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INTERVIEW

NEO STRANGE

2023.06.30UPDATE

2023年07月号掲載

NEO STRANGE

Member:SINRI

Interviewer:山口 哲生

"ネオスタイルロック集団"というコンセプトを掲げ、現在は9人で活動中のロック・グループ、NEO STRANGE。エレクトロニコア、スクリーモ、ラップなど、様々なアガる要素を混ぜ込んだラウド・サウンドに、キャッチーなメロディを乗せたアッパーな楽曲で会場を沸かせ、今年5月に開催された1周年記念ワンマン"NEO STRANGE 2nd ワンマンLIVE"も大盛況となった。初登場となる今回は、グループのプロデューサーとして、コンポーザーとして、リーダーとして、その手腕を発揮しているSINRIが登場。グループのバイオグラフィや楽曲のことはもちろん、バンドマンと役者の顔も持つSINRIがこれまで培ってきたものなど、その熱い胸の内をじっくりと訊いた。

-NEO STRANGEというグループはどういうところから始まったんですか?

そもそもは、今入っている会社(株式会社clear)がメンズ・アイドル・グループをやっていて、"メイン・ヴォーカルでどうですか?"っていう話が、SNSにDMで来て。最初はまぁ、怪しいなと思うじゃないですか(笑)。でも僕、昔からそういう勧誘とか、結構行っちゃうタイプで。

-マジですか(笑)。

話だけ聞いて、"それ、どうなんですかね?"って言って帰るタイプだったんですけど、そのノリでお話を聞きに行ったんですよ。そしたら意外と面白そうだなと思って。今まで僕はバンドと舞台俳優をやらせていただいていたんですけど、正直、アイドルって好きじゃないんですよ、男性も女性も。

-そうなんですね。

日本のアイドル文化とか、"推し"とかあるじゃないですか。そこにはもう抗えないし、圧倒的に経済を回しているから、その強さはずっと感じてはいたんですけど。でも、音楽性にちょっと抵抗があったというか。明るめでポップな感じとか、キラキラしている感じが自分には合わなかったから、僕のエッセンスや要素をふんだんに取り入れて良ければやりますというのを、最初にお話させていただいて。

-なるほど。

要は、いわゆるメンズ・アイドルと呼ばれる人たちがやっていることをまったくやらずに、逆行しようと思ったんです。女性だったらBiSHとかBABYMETALとか、いろいろいらっしゃいますけど、男で何人組かでロックをやっているグループっていないから、先駆者みたいな感じでいけるんじゃないかなと思って。そこを目指していこうというのを決めて走り出した感じでしたね。

-もう完全に定着して抗えない状況に対して、自分はどういうアプローチをしていくのかが、グループを始める前提にあったと。

そうですね。僕がよくあるアイドルをやっても意味がないと思って。そもそも好きじゃないことを無理矢理やっても絶対に伸びないだろうし、他と同じようなことをやっても、情熱がない限り絶対に勝てないなと思ったので、それ以外の選択肢はなかったです。

-もともとバンドではどういう音楽をやっていたんですか?

SiM、Crossfaith、coldrainとか、そこらへんが大好きで。ポスト・ハードコア、ラウドロック、ちょっとミクスチャーみたいなところをやってましたね。自分がバンドでやってきたものをグループに注ぎ込みたいなと思ったので、ちょくちょくカバーとかもやらせていただいているんですけど、それもバンドで言うと、SiMとかマキシマム ザ ホルモンとか、そっち系のカバーを9人組でやったりもしています。

-でも、そういうお誘いの話に、怪しいなと思いながらも行っちゃう行動力もすごいですね。

これは全然関係ない話なんですけど、昔、渋谷の道玄坂だったかな。宗教の勧誘の人に話し掛けられたんです。"すみません。お兄さん、今幸せですか?"って。僕、正直に話しちゃうんで、"幸せじゃないですね"って言ったら、向こうがしめた! っていう顔をして(笑)、"こういうのがあるんですけど、あれでこれで......"っていろいろ話されて。それを聞いたあとに、"でも、苦しいこととか楽しいことって、自分で味わっていないと、何か困っている人がいるときに助けられないと思うんですよね"って。"だから、僕は今のこういうしんどいことや苦しい思いも無駄じゃないと思って生きているんです"みたいなことをしゃべっていたら、その勧誘の人、駅までついて来たんですけど、持っていた冊子を結局出さずに、"ありがとうございました! いいお話が聞けました!"って去っていったんですよ。

-むしろこっちが説法を(笑)?

そうそう(笑)、そうなんですよ。"面白いな、この人"って思いながら、人の話を結構聞いちゃうというか。僕、今はこうやって話させてもらっていますけど、どちらかと言うとしゃべるのがあまり得意じゃなくて。聞くほうが好きなので。

-ここまでかなり流れるように話されていたので意外でした(笑)。ただ、SINRIさんとしては、あまりアイドルは好きではなかったとのことでしたけど、自分がそういう活動をすることに躊躇いはなかったんですか?

僕個人としては、バンドはバンドでやればいいし、グループはグループでやればいいっていう感じでしたね。どっちが伸びるかわからないし、自分の好きなことができるのであれば、どっちもやるのが面白いかなって。

-SINRIさんは、グループのプロデューサーでコンポーザーでもあり、表側としてはステージに立つメンバーで、リーダーでもあるわけですよね。

そうです。本当は"裏方にしてくれ"って言ったんですけど、"お前がやらないとだめだ!"って言われて。そっかぁ......って。

-最初は裏方でやろうという考えもあったんですね。

やっぱりグループは向いてないだろうなと思っていたので(笑)。僕は必ずしも自分がメインに立ちたいというわけでもなくて。自分の作ったものが世に出ていったらいいなというのが一番にありますね。音楽だったりコンテンツだったりが評価されるのが一番嬉しいので、極端な話、自分にあまりスポットが当たらなくてもいいかなと思ってます。

-そういったなかで活動されてきて、先日、活動1周年を記念したワンマン・ライヴを開催されましたけど、振り返ってみると、始動からここまではどんな1年でしたか?

いやぁ、大変でしたねぇ......。いろいろ大変だったんですよ、人間関係とか(笑)。

-生々しいですね(苦笑)。

ちょっと偏見も入っていると思うんですけど、アイドルをやっている人って、音楽をやろうと思っていると言うよりは、外見を良くしようとか、ファンサービスをどうしようって考えている人が9割だと思うんです。そこのギャップというか、価値観のズレみたいなものを最初の頃はなんとなく感じていて。バンドマンだったら、まずは自分たちのわがままというか(笑)、自分たちの音楽をどう貫き通すかっていうところから始まるじゃないですか。そこから辿り着くところは、結局同じだとは思うんですけどね。お客さんのためにとか、自分の個性を表現するとか、いろいろあるけど、スタートが違うところにギャップを感じて、メンバーによく怒ってました。"やる気あんのかー!"とか"ふざけんなー!"とか(笑)。

-おぉ......。

もちろんファンサービスも大事だとは思うんですけど、もともと僕は職人タイプというか、堅物というか(笑)。頭が固いタイプの人間なので。

-メンバーのみなさんに言い続けていくなかで、グループ内の雰囲気も変わっていったんですか?

みんなだいぶ更生しましたよ(笑)。もともとはちょっと常識知らずという言い方もあれですけど、最近は少しずつ変わってきましたね。

-SINRIさんが変わったなと思うメンバーというと?

紫を担当している松本羚央というやつがいるんですけど、初めて会ったとき、僕はこいつをクビにしようと思ったんですよ(笑)。なんか癇に障る野郎だったんですよね。

-何がそんなに......?

これはちょっとかわいそうな部分でもあるんですけど、イヤなやつに見えてしまうタイプなんですよ。本人としては全然そんなこと思っていないんだけど、例えばちょっとした返事をしたときに、ナメている態度を取っているように見えてしまう子で。僕も最初はあまりそこを理解していなかったから、会社の人に"こいつはクビだ!"って(笑)。社会人経験もなかったから、そういうところで怒ったりすることはありましたね。今はだいぶ落ち着いたかなと思います。

-メンバーのみなさんの個性や、ものの考え方みたいなものは結構バラバラなんですか?

そうですね。例えるなら動物園です。

-だいぶ賑やかそうな(笑)。

賑やかです。だから楽しいですよ、毎日いろんな動物が見れて(笑)。

-SINRIさん的にこの1年で一番大きかった出来事というと何になります?

なんだろう......でも、やっぱり結成したことが一番大きかったのかな。自分の中で葛藤もありましたし。毎日毎日"来月やめる"って思っていたので。来月の末にはやめる......来月の末にはやめる......で、1年経っちゃいました(笑)。

-ご自身の中で特に葛藤していたことというと?

やっぱりバンドをやっていた手前、ある種のプライドみたいなものがどこかにあったと思うし、自分たちのことだけじゃなくて、他のグループとの熱量の差を感じたり。あとはやっぱり、いわゆるアイドル的なファンサービスが、自分は苦手なんですよ。(お客さんの)目を見てキラーンみたいなのは、ちょっとね、どうしても吐いちゃうので(笑)。一時期はそれをやろうとしていたこともあったけど、今は"それをしないSINRI君がいい"と言う人しかいないから、自分の心が病まない環境でやれてはいるんですけどね。あと、これは身内の話になっちゃうんですけど、会社のスタッフと演者との話とか。

-というと?

あるあるだとは思うんですけどね。演者としては"俺らは頑張ってるのになんでやってくれないんだ!?"とか。で、スタッフはスタッフで"お前らは全然やる気があるように見えない"とか。何か言い争いがあったわけではなかったんですけど、コミュニケーションが少ないと、例えばケンカとか、冷戦状態みたいになってしまうから、そのあたりの処理も大変でしたし。今年に入ってからは、そういうのはほぼないんですけどね。なんか、今の9人になってからが、自分としては衝撃的というか。楽しいんですよ。

-何かあったんですか?

いや、特に何か大きなことがあったわけではないんですけど、なんか温かい空気があって(笑)。9人もいたら、何かのケンカとかあってもいいかなと思うんですけど、まったくないし、お互いのことを認め合って、リスペクトし合えているチームになっているので。まだそんなに時間は経ってないけど、最近は自分の中でいいなって思いますね。まぁ、これから何か出てくるんじゃないかなとは思うんですけど(笑)。