MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

FATE GEAR

2022.04.18UPDATE

2022年04月号掲載

FATE GEAR

Member:Mina隊長(Gt/Composer) Haruka(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

Mina隊長の率いるガールズ・スチーム・メタル楽団、FATE GEARの新作が、またもここに到着。実在した女海賊であるアンとメアリをモチーフにした昨年発表のフル・アルバム『The Sky Prison』の前日譚にあたるという今作は、"その少女は『声』を捨て、戦うことを選んだ―"というキャッチコピーを掲げた極めてドラマチックな大充実EPとなる。厚みのあるサウンドと想像力をかきたてる歌詞が融合するFATE GEARの生み出す創造世界は、とにかく奥深い。今回は、Mina隊長と楽団の基盤を支えるHarukaに今作についての話を訊いてみた次第である。


"わかる!"って共感を持っていただける方もわりといるのかなと


-FATE GEARの新しい音源『Killers in the Sky』が、またもコンセプト性の強い作品としてここに完成してきました。まずは、Mina隊長から今作についての概要説明をしていただけますでしょうか。

Mina隊長:今回の『Killers in the Sky』はEPでして、内容としては、去年1月に出したフル・アルバム『The Sky Prison』の世界とリンクしたものになっています。立ち位置的なことで言えば、前作『The Sky Prison』の世界を過去にさかのぼったうえで描いたストーリーがこの『Killers in the Sky』なんです。

-そもそも、この機に過去へさかのぼる物語を描こうとした理由はなんだったのです?

Mina隊長:私はいつも、作品作りに入る前の段階でストーリーを書いていくんですけど、性格的なものもあるのか書いているうちにどんどん細かいところまで話が広がっていってしまって(笑)。実を言うと前作のときにはすべての設定が入り切らなくなってしまっていたんですよ。それで、今回は『The Sky Prison』のときに表現しきれなかったものをかたちにすることにしたんです。

-『The Sky Prison』は18世紀に実在したという女海賊のアン・ボニーとメアリ・リードを題材とした物語でしたけれども、昨夏にはそこからのシングル・カットというかたちで『Battle Against Justice』も発表されております。それを経ての前日譚となる今作『Killers in the Sky』は、どのくらい前のことを描いたものになるのでしょう。

Mina隊長:10年くらい前です。

-ちなみに、『Killers in the Sky』のジャケット・デザインや"その少女は『声』を捨て、戦うことを選んだ―"という今作に対して冠せられたキャッチコピーを見るに、10年前の主人公は海ではなく戦場にいたということになりそうですね。

Mina隊長:ジャケットにスチーム・パンクな感じの飛行船のような戦艦が描かれているんですが、10年前は空でも海でも行けるそれに乗り込んで兵士として戦っていたわけです。実際に史実としても、メアリのほうは海賊になる前に兵士だったことがあるらしいんですよ。ただ、それ以上のあんまり詳しいことまではここでは説明しないでおこうと思います。作品を手に取っていただければ、そこには歌詞カードだけではなく物語もつけているので。物語の全貌は発売後のお楽しみということでお願いします(笑)(※noteでも公開予定)。

-承知いたしました。では、ここからは『Killers in the Sky』の音世界についてもお話を進めてまいりましょう。物語としての連続性はあるにせよ、今作の音作りをしていくうえでFATE GEARがより突き詰めていくことになったのは、どのようなところでしたか。

Mina隊長:やっぱり、キャッチコピーとして"その少女は『声』を捨て、戦うことを選んだ―"と打ち出しているので、戦いをイメージする要素として、ヴォーカル・パートにデス・ヴォイスやスクリームを多く入れていきたいなというのがありました。まず歌はNANA(THEO NOVA)さんに真っ先にお願いしたんですよ。

-オープニングを飾っている1曲目の「Live in blood」と、3曲目の「isolation」がそれですね。

Mina隊長:2曲目のツイン・ヴォーカル体制になってる「Lose my voice」は、ふたりのカラーの違いが出てると思いますし、IBUKI(ex-Disqualia)さんが歌ってる「Be invincible!」と「天空の比翼」については、正統派メタルの要素が欲しかったのでハイトーンで歌ってもらいました。

-戦いのイメージを重視していったということは、サウンドメイクの部分でも、重さや激しさなどを必要としていったところがあったわけですか。

Haruka:今回のリード・トラックになってる「Live in blood」が、すごく速いんですよ。FATE GEAR史上最速BPM 200ということで、ドラマーとしてはスピード感を大切にしていく必要がありました。しかも、1曲の中で200が半分になったり倍になったりするんですよ(笑)。

-たしかに、この曲は展開が相当激しいですものね。

Haruka:そういうの、叩くのは大変だけど好きなんです。普段聴いているものの中にも近いリズム・パターンの曲があったりするので、自分でそれをやれるのは楽しかったですね。隊長の作ってきたデモをもとに、今回は自分なりのアレンジも結構させてもらいました。そして、アルバム全体のことで言うと正統派メタルなところを音で感じさせていくという面では、逞しさとか音圧は今回に限らずこれまでと同じように、自分のプレイの中でできるだけ表現していくようにしていった感じです。

Mina隊長:基本的には私がどの曲も打ち込みでデモを作っていて、その段階でドラムもアレンジはしているんですけど、曲それぞれの中で、"ここはHarukaのオリジナルでやってほしい"と思うところはおまかせしてるんです。

-なるほど。一方で「Live in blood」の歌について、Mina隊長からNANAさんに対してオーダーを出したことは何かありました?

Mina隊長:ストーリーありきの曲を歌ってもらうという意味では、まず"エモく歌ってください"ということは言いましたね。FATE GEARにとってこの曲は新機軸的な要素を取り入れたものでもありますし、メロデス色が強くてめちゃくちゃ速いっていうのも含めて、私としては改めて音楽理論を勉強して作った曲でもあるんですよ。歌詞についても韻を踏んだりしながら頑張って作ったものだったので、そこにNANAさんの歌が入ることでより完成度を高めることができたと思います。

-FATE GEARの体現するメロデスは美しくもあり力強いですね。

Mina隊長:前作のときは意図的に速い曲を入れないようにしたところがあったんですけど、去年Alexi Laiho(Gt/Vo)が亡くなってから、個人的にまたCHILDREN OF BODOMを聴き直すようになりまして。自分の中での再ブームが来てしまった、というのが「Live in blood」を作っていくうえではかなり大きかったです。キーボードがキラキラしてる感じとかもFATE GEARとしては新しいと思いますね。

Haruka:メロデスだけど新しいっていう感覚は、私もすごく感じます。あと、この曲の歌詞も好きですね。強い女! みたいなカッコいいイメージが伝わってくるし、これは今の時代にも合ってるなって思います。"オトコなんていつもそうなんだから!"じゃないですけど(苦笑)、いろいろつらいところもありつつそれに負けずに前に進んでいく感じが、なんともグッと来るものがあるんですよ。アウトロのフィルを派手にしちゃったのは、まさにその気持ちの昂ぶりの表れです。

Mina隊長:「Live in blood」の歌詞ってこれだけ見ると切ない内容だと感じるかもしれないですけど、作品を買っていただいた方は、私の書いたストーリーのほうもぜひ読んでみていただきたいです。そこには今Harukaさんが言っていたみたいな、男性に対する不満をメアリが抱いている場面なんかも出てくるので(笑)、きっと中には"わかる!"って共感を持っていただける方もわりといるのかなと。

-と同時に"その目で見たものが 全てじゃない"というフレーズも、ひとつの問題提起になっているように感じますよ。

Mina隊長:そうなんですよね。今の時代とか、インターネット社会にも通じるところはあると思います。

Haruka:実は、私もまだストーリーのほうは全編を読んだわけではなくて、あらすじと一部を読ませてもらっているだけの状態なんですよ。だから、全編をちゃんと読めるようになるのが今からとっても楽しみです(笑)。

-それから、「Lose my voice」については荊(エミルの愛した月夜に第III幻想曲を)さんとNANAさんのおふたりをツイン・ヴォーカルというかたちで起用されていますが、この曲でこのようなスタイルをとられることにした理由はなんでしょう。

Mina隊長:これは"声"がテーマになっている曲だからです。対照的なふたつの声を聴かせたいということで、アニメ系の特徴的な声をしている荊さんにメロディを歌ってもらって、その真逆なテイストのスクリームをNANAさんに入れてもらうことにしました。お互いのいいところを引き出しあってくれているところが面白いと思います。

Haruka:アニメで言うと、これはエンディング・テーマか戦闘中の挿入曲として使われそうな雰囲気の曲だな、と思います。メロディアスなところや、おふたりで歌っているところも私はすごく好きです。

Mina隊長:あと、この曲に関しては、昔FATE GEARで弾いてくれてた(藤岡)久瑠実(Stella Magna/Shiki)ちゃんがピアノで参加してくれているのも、大きなポイントになってます。私としてはギター以上に前面に久瑠実ちゃんを推し出したかったので、思いきりドラマチックに弾いてもらったんですよ。その結果、ちょっとX JAPANみたいな空気の曲になりました。

-なお、この「Lose my voice」の詞も、ストーリーを把握していくうえでは重要な内容になっているようですね。

Mina隊長:ネタバレは避けたいんですが、これも主人公目線で書かれたものであるのは確かです。たぶん、前作『The Sky Prison』のストーリーをしっかりと読んでくださっている方には、この詞のオチというか最後の部分が何を意味しているのかを理解、予測できるんじゃないかと思います。