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INTERVIEW

Non Stop Rabbit

2020.12.08UPDATE

2020年12月号掲載

Non Stop Rabbit

メンバー:矢野 晴人(Vo/Ba) 田口 達也(Gt/Cho) 太我(Dr)

インタビュアー:吉羽 さおり

-そういうことで今回大変だったな、やってくれたなって曲はどれですか?

矢野:息継ぎがないとかでいうと「全部いい」ですかね。

-これはそのくらい勢いや、ノリでいかなきゃいけない曲ですしね。

田口:息吸ってる場合じゃないですよね、伝えたいことのほうが大事というか。

矢野:だから、間奏がくるまではずっと水の中にいるような感じです。

太我:ライヴで酸素ボンベやっててもおもろいけどね。

矢野:どこかから空気入れないと。

太我:それも新しいと思う。

-この曲は音の配置的にもヴォーカルがサウンドよりもかなり前に出ている感じですよね。

田口:これは歌詞がメインというか、あとは全部添え物じゃないですけど、引き立てるためだけにあるというか。絶対的に歌詞なので。この曲は、3月に豊洲PITで予定していたライヴがコロナで中止になって、全部嫌っていうところから始まったんです。もういいやって。だから、"全部いい"って本当はNOのほうの"全部いい"だと俺は考えていたんですけど。でも、自分がそう思ってるということは、世の中にもそう思っている人は時期的にもいっぱいいるだろうなと。じゃあ、俺は今何してほしいんだろうって考えたときに、認めてほしいだけなんだろうなって。頑張ったねとか、つらかったねとか。ということは肯定だから、抱きしめてあげるような曲──俺自身がシンプルにそんな曲がいいなって思ったんですよね。それで"全部嫌"を、"全部いい"に変えて。何やってもいいやん、この曲の中だけでも全部包み込んだるわっていう気持ちでしたね。

-その時期って、心の内は整理がつかない、ぐちゃぐちゃな状態ですか。

田口:やるべきことがなくなったというか。それこそここまでツアーをずっとしてきて、積み重ねてきたものが、ファイナルだけがポーンと飛んでしまって。しかも、自分たちの意志とはまるで関係ないところで中止になったんですよね。別に中止にしろって言われたわけではなくて、自分たちで決めたんですけど。決めた瞬間はいいんです。決めて家帰ったあととかに、やってもよかったのかなとか、ぐるぐると思うわけですよね。やらなかった自分が嫌になってくるし、やっててそこで何かが起きても嫌になると思うし。じゃあもう肯定するしかないっていう。全部よかったんだ、これでよかったって。

-それが転じると、「音の祭」のような激しい曲にもなっていくわけですね。

田口:光と闇のような感じですよね。真逆の作り方をすると、こうなるっていう。

-また「ハニートラップ」は、華やかだけど歪んでいる感じとかが出た、実にノンラビらしいなという曲です。

田口:言うたら俺ら、根本がそういう人間なので。まともな人間ではないから(笑)。女遊びもするし。ハニートラップ仕掛けられたときに、いや、自分で歌ってますからって言えればいいなっていう。

太我:保険ですね。

田口:保険をかけて。でもこの曲で言いたいことは、結局運命は仕掛けられた罠である、運命は全部演出だよってことなんです。これは太我に言われたのかな。"達也君って運命好きだよね。運命って思いたがるよね"って──あれって、俺バカにされたのかな。

太我:なんか運命にしがちなんだよね(笑)。

田口:で、これはなんでなんだろうって考えたら、それって自分で運命を演出してるんだなと思って。なんでも運命に結びつけるというか。考え方次第で、全部運命になるなって。そう思ったら、罠にハマることは悪くないというか。

-何かアクシンデントや予測不可能なことが起こったとき、それを自分のドラマだとして乗り越えるみたいなことって、結構これまでの曲にもありますよね。

田口:ノンラビを始めてからが、ドラマみたいなことの連続で。今まで生きてきた人生が、何やってたん? っていうくらい面白いんです。こんな嫌なこと起きるんやとか。でも、たぶんそれって本気でやっているからだと思うし。ただ、本当は小さいところで影響を受けているんですよね。太我に言われたこととかが俺の中では引っかかっていて。でも、意識してないで言ってることだろうし、こんなに身近にいて言ってくれるということは、本当のことだし。それを歌ったほうが面白いんじゃないかなって。

-ドラマ性があり、ポジティヴだけれども、それだけじゃなく毒も絶対に忍ばせてある。やっぱり一筋縄でいかない感じが必ずありますね。

田口:性格悪いんですよね。

-その意地悪さみたいなものは、自分でも感じるところですか?

田口:感じますね。100人いたら、ひとりだけ気づくようなことをしたいんですよ、こっそりと。こことここ言ってることが一緒だなとか。あとは歌詞カードを見たときに気づいてもらえるようなもの。ここはひらがななのに、ここは漢字とかをわざとやっていたりもするし。でもそんなの、99人は気づかなくてよくて。ひとりが気づいて、グサっとくるようなものはこっそりやってます。それがしたくて曲を作っているところは、本当はある。

-それは自分自身も、そういうものに心動かされてきたから?

田口:たぶん考えるのが好きなんですね。それこそ運命にしたがるのもそうですけど、これとこれってもしかしたら......みたいな。映画を観ても、あのときのこれは伏線だったのかなとか。矢野は映画大好きなので、同じ映画を観たとき、たまに話すんです。"あの前半の何気ないこのひと言って、伏線だったよね"って。でも、"いや?"みたいな(笑)。

矢野:そうそう。

田口:俺たぶん考えすぎる性格なので。そういうのやりたいんでしょうね。

-そして、ラストが「偏見じゃん」で、最後の最後で笑いや皮肉たっぷりのポップな曲で終わるという......。

田口:これは、アホなお兄さんたちでいいというか。

-その前の曲の「最後のキス」で終わってもアルバムとしては美しいですしね。

田口:みんなに言われます(笑)。壮大な前振りだったなって。ノンラビ、メジャー・デビューするんだ、すげぇいろんなことやるんだ──ちゃんちゃん、みたいな。でも、俺らとしてはそれができたらなっていうか。俺ら、YouTuberって言われることを毛嫌いするというか、"俺らバンドなんで"っていうところから、もう次の段階にいっていて。これ一緒にできるやつ、俺ら以外に誰がおるん? っていう。両立できるやついますかってなってきていて。そうなったときに、こういう歌も歌えるぜっていう。だって、YouTuberやってるから。こんなに一生懸命やってなかったら生まれないでしょっていうのが、できたかなって。

-YouTubeで、自分で番組をやるとなると構成も考えるじゃないですか。その頭脳で曲を作るとこうなるんだろうなという。いかに面白く聴かせるか、見せるかも考えるところですね。

田口:例えば、MVありきで作った曲とかも、"こういうMVを作る"と思って曲を作っているので。それってYouTuberっぽいなと。こういう動画に仕上げるってわかってて、曲を作るみたいな。

-頭では、あれやってみよう、これやってみようといろんな閃きがあるじゃないですか。それを実現する難しさっていうのも、一方ではありますよね。

田口:めちゃくちゃやりたいことやってるように見えるけど、これできないなって諦めているものはいっぱいあると思いますね。完成したときに、理想のところまで到達しないものだとしたら、そこに本気出す必要はないなって思うんです。それによって結果が出ないものを、俺らじゃやらないようにしてきたというか。最初の時期ライヴハウスでのライヴをやらなくなった理由もそうだったんですけど。売れてない俺らには、そこにお客さんがいないからライヴハウスでライヴをする意味がないなとかも、ある意味でクールに考えてきて。だったら路上のほうが、人がいっぱい歩いているしって、路上ライヴを始めたんです。路上だとみんなアコギで弾いているけど、あれじゃ人は止まらない。どうする? ってなって、じゃあライヴハウスと同じ音量を出すぞっていう。だから、どうやったら効果が出るかっていう、結果が出るほうだけを選んできたので。曲に関しても、AとBどっちかでって言われてAだと求めているものが出ないなってなったら、全部Bに賭けちゃう。

-その思考になっているのってなんなんですかね?

田口:太我は25までに売れなかったら、この職業で飯が食えなかったらもう辞めるって言っていたので。なんとしてでもそこまでに、食わさなきゃいけないって思ったんですよ。そう思ったらもう、地道にコツコツとか言ってる場合じゃないというか。Non Stop Rabbitという名前もそうですけど、寝ないウサギを選ぶ時点で、もう俺らカメには向いてないんですよ。コツコツとかアホじゃね? って言ってるタイプなので、ド派手にガツガツみたいな。本当はコツコツやらないとダメってことに気づいて、今一生懸命やっていますけど。でも、まず前に出られないと、ノンラビが終わっちゃうと思ったんです。

-今回かなり幅広い内容ですが、アルバムのリード曲っていうと自分たちではどれになると思いますか。

田口:これは意識してないんですよね。俺らとしてはレーベルにも言ってますけど、全曲MVがあってもいい時代じゃないかって。

矢野:だから、リード曲は聴く人が好きなやつを選べばいいんじゃないですか。

田口:リードとか考えなくなったね。

矢野:でも、最初から考えてないかもね。『全A面』(2018年リリースの1stフル・アルバム)とか出してるので。

-アルバムがついにリリースとなりますが、ここからの活動、特にライヴについてはどう考えていますか?

田口:俺らは、配信ライヴはしないです。2、3回配信ライヴやりますよみたいなことを言って、なんならチケットまで売ったこともあるんですけど、ギリギリでやっぱり違うなって中止にさせてもらって。ファンの方を振り回した形にはなるんですが、普段YouTubeやってるからこそ、画面越しで音楽を見せるのは違うなって思ったんです。会場に足を運ぶ人、そのめんどくさいことをやった人へのメリットがなきゃいけないなと考えて。それが簡単に画面の前で観れてしまうのはどうかなと思ったんです。もちろんそれぞれの良さがあるのはいいですし、配信は配信のライヴをすると思うんですけど。俺がやりたいライヴは絶対に配信にないなって。だから、事務所にもレーベルにも言ってますけど、配信はやらないです。あとは、"マックスのキャパが入れられるようにならなきゃやらないです"って。

-今はそのキャパに関してはハードルが高いですね。

田口:そうですね。でもお客さん最優先で。自分たちがお客さんだったとして、1,000人入るところを500人にしますって言って、隙間があって、絶対にわーってなれないと思うんです。満員の空間で、みんなが発狂してるところに乗っかることで、どんどんテンションを上げていけるという仕事だと思うのに、そこに隙間があって、椅子とかで仕切られていたら、絶対に"楽しかった"って帰らない。だったらやらないって決めきっちゃうというか。

-そのぶん他に考えていることなどありますか?

田口:そういうことも考えて、今回のアルバムでライヴをすることを意識しているんだなって曲作りもしていて。コール&レスポンス然り、ここじゃ一緒に歌ってほしいんだなというポイントをたくさん作ることも、待っててねっていうメッセージでもあるし。あとはコール&レスポンスがあると、大人が配信やろうって言ってきても、無理だって言えますしね(笑)。