－若い世代からしたら知らない原曲も多いでしょうし。

横山：僕たちにとっては当たり前でも、この先Ken Bandを聴き始める若い世代とかいろんな若いバンドを通じてKen Bandに辿り着いた人たちからしたら、意外と新鮮に聴こえるんじゃないかなって。

Jun：逆にプレイしている側としては、常に"原曲よりこっちの方がカッコいいだろ"ぐらいの気持ちで録っているところがありますね。

－それこそ今回新録された「Brand New Cadillac」なんて、いろんなアーティストがカバーしているけど、Ken Bandバージョンには、今までになかった新しいカッコ良さがちゃんと備わっていますし。この曲にはThe Birthdayのチバユウスケ（Vo/Gt）さんがゲスト参加していますが、この選曲はチバさん参加を想定してのものなんでしょうか？

横山：そこスタートの曲ですね。The Birthdayと対バンすると、チバ君と一緒に「Pressure Drop」（『Sentimental Trash』収録曲）をよくやっていたんです。でも、レコーディングではその曲にチバ君が参加しているわけではないので、何か他にいい曲がないかなと思って。で、Ken Bandとチバ君の共通項がTHE CLASHだと思ったので、"THE CLASHで何かやりたい曲ない？"って聞いたら、チバ君が"カバーだけど「Brand New Cadillac」がシブいんじゃない？"って言ったんですよ。僕、そういうことを言われたら忘れないんで（笑）、じゃあいずれやろうと思っていたら、直近のタイミングで実現したわけです。

Jun：そこも、うちらがカバーするんだったらTHE CLASHよりカッコ良くしなくちゃやる意味がないと思っていたし、チバが歌ってくれればカッコ良くなる可能性は高いだろうなと思って。

横山：健じゃダメなんじゃろうか？

Jun：ちょっと無理だね（笑）。

一同：（笑）

Jun：まぁでも、ライヴではチバ抜きでもやっていくと思うので、そのときは健で我慢してください（笑）。

－（笑）そんな作品集を、あえて"6.5枚目のアルバム"と呼ぶと。

横山：新曲は含まれているし、20曲入ったアルバムではあるんだけど、素直に7枚目って言えない感じが漂っていたんで、じゃあ6.5枚目でいいじゃんって。ちょっとナメてていいですよね（笑）。基本、このアルバムってライヴでやりたい曲が選曲基準なんですよ。ここに入ってない曲もまだあるわけですけど、そういうのを全部まとめることを念頭に置いて作品を作ってしまうと、焦点がぼやける。だったらどこを基準にしようかなと考えたら、"今後ライヴでやっていきたい曲をひとまとめにしよう"と思ったんです。それだけ僕らにとってライヴは大事ですし、作品にするということも大事ですし。そういった姿勢を結局持っているバンドなんですよ。

－なるほど。で、さっき聞いてビックリしたんですが、Matchanがバンドを離れるそうで。

Matchan：はい、やめます。なんかすみません（苦笑）。

横山：何明るくやめようとしてるんだよ（笑）。

－その理由も聞かせてもらいたいんですが......。

Matchan：ぶっちゃけ、理由らしい理由がないんです。バンドと僕との関係というだけの話で、僕がいろいろ諦めちゃったというだけの話なんですよ。このバンドでやっていくうえで実力も足りない、感性的な部分も足りない、何よりも気持ちがバンドに対して100パーセント持てなかったというところが、やっぱり一番の原因。みんな100パーセントでやっているなかで、僕だけ気持ちが50パーセントだったら残りの50パーセントは嘘をつかなくちゃいけなくて、それを繰り返すぐらいだったらもう嘘はつけないなと。それだけの問題です。

横山：俺は相当寝耳に水だったな。あとから周りに相談していたってことは聞いたけど......お父さんはびっくりしたぞ？

Matchan：ゴメンね（笑）。

Minami：正直、過去に何回かあったんですよ。

Jun：今年に入って、なんとなく悩んでるだろうなっていうのがあったんだけど、でも頑張り切れなかったってことなんだろうね。

横山：前にもそういうことがあったときは、すごく引き止めたんですよ。でも今回はもう、彼の温度感で"これは無理だな"っていうのがわかったので、引き止めるのはやめました。

－Matchanが抜けて編成が変わるとなると、本当に次のアルバムって読めないじゃないですか......。

Minami：そうなんですよね。

横山：実は次のドラマーはもう決まったんですよ。諸事情があってまだ誰かということはお話できないんですけど......結局どんなに力があろうがバンドって相性なので。すごいスターが集まったって、チームとしてうまく機能するとは限らない。新しいドラマーとの相性次第だと思うんですけど、そこがしっかりハマればもう、あと10年20年と君臨するつもりです（笑）。