INTERVIEW
THOUSAND EYES
2018.02.15UPDATE
2018年02月号掲載
Member:DOUGEN(Vo) KOUTA(Gt)
Interviewer:米沢 彰
-たしかにそうですよね。そして今回の3rdアルバム『DAY OF SALVATION』の完成おめでとうございます。
DOUGEN&KOUTA:ありがとうございます。
-今作でもTHOUSAND EYESはすごく叙情的でエモーショナルなサウンドで、王道のメロデスをひたすら追求していますよね。求道者というか。
KOUTA:これしかできないっていうのはあるかもしれないですね。僕の場合は、無理にいろんなことをしてもうまくいかないので。自分の持ってる引き出しというか、振れ幅の中で、ポイントを押さえつつ、1曲ずつ作っていくっていう感じですね。
-見た目もあるかもしれませんが、DOUGENさんのイメージが求道者なんですよね。
DOUGEN:僧侶感ですか(笑)。でも、求道者はこっち(KOUTA)なんですよ。己の道を突き進む、みたいな。僕は結構浮わついてるんで(笑)。
KOUTA:DOUGENは、"サセ子ちゃん"なんですよ(笑)。
DOUGEN:誰かに呼ばれたら、すぐ"はーい♪"って行っちゃう(笑)。
KOUTA:なんでもやってくれるんです。変な話、そうじゃなきゃ僕とやってないですよ(笑)。
DOUGEN:そんなことないよ(笑)。求道っぷりはカッコいいと思いますね。ブレないところが好きなんです。毎回、アルバムのデモとか貰うと"あぁ、なるほど。「ぽい」っすね!"って思う。
KOUTA:なんかね、何々の要素を取り入れてやってみよう、みたいなのは反吐が出ちゃうんですよ(笑)。
DOUGEN:ね! 求道してるでしょ(笑)。
KOUTA:別に、それを人がやってるのはなんとも思わないんですけど(笑)。そういうことをもし自分がやろうとしたら、そういう自分を受け入れられないっていう意味で。
DOUGEN:2018年にそれができるのはカッコいいですよ。
-このバンドはメインのおふたりが、それぞれ方向性の違うプロフェッショナルっていうか、それがうまく重なってる感じですよね。どの曲もアプローチは違いつつも、エモーショナルなメロディ・ラインが通底していて。最後の「Devastated Moment」なんかを聴いていると、ギタリストで言うとMichael Amott(ARCH ENEMY/SPIRITUAL BEGGARSほか)に通じるマインドをすごく感じるんですよね。実際に個人的に影響を受けたアーティストをうかがってもいいでしょうか?
DOUGEN:お、これは膨らむところですよ(笑)。
KOUTA:Michael Amott自体はもちろん好きなんですけど、もっと前の世代のバンドやギタリストからの影響の方が大きいですね。自分のやりたいことを目指していくと、結局この方向性しかないよねっていう。JUDAS PRIESTが好きで、SLAYERが好きで、MEGADETHが好きで、Michael Schenkerが好きで......そうなると、結局こうなっちゃう(笑)。
-同じものを食って育った、みたいな。
KOUTA:そんな感じですね。好きなギタリストは、JUDAS PRIESTのGlenn TiptonとK. K. Downingです。それから、Dave Mustaine(MEGADETH)、Tony Iommi(BLACK SABBATH)。リード・ギタリスト系だと、初期のMEGADETHのギタリストだったChris Polandと、さっきも出たMichael Schenker、あとはYngwie Malmsteen。そして、ダントツで好きなのはAl Pitrelli(SAVATAGE/ex- MEGADETH)です。
DOUGEN:Al Pitrelliは、有名なところでいうと、MEGADETHのMarty Friedmanのあとに入ったギタリストですね。
KOUTA:あとは、Alice Cooperのバック・バンドとか、TRANS-SIBERIAN ORCHESTRAっていうアメリカではすごく売れてるインスト・ユニットなんですけど......。
DOUGEN:アメリカではめちゃくちゃ人気ですね。
-なるほど。それをうかがって、さっきの意味がわかりました。ARCH ENEMYより、もっと上の世代を見てきた、ということですね。DOUGENさんは以前のアンコウのインタビュー(※2015年6月号掲載)で"ヴォーカルとしてはPANTERAのPhil Anselmoと、VISION OF DISORDERのTim Williamsが二大巨頭"と仰っていましたね。
DOUGEN:その二大巨頭はまったくブレないですね!
-あとはSOILWORKのBjörn Stridとか。
DOUGEN:そのへんですね。僕はちょっとアンダーグラウンドな方が好きなんですよ。SUFFOCATIONのFrank Mullenとか。純然たるデス・メタル、メロデス・ヴォーカルっていうよりは、ハードコアの要素があるというか。もちろん、BLACK FLAGのHenry Rollinsも好きですし、オールドスクールなアメリカン・パンク・ロックやDEAD KENNEDYSとかも好きですし。
-THOUSAND EYESをやるうえでそういったサウンドの影響も取り入れられているんですか?
DOUGEN:僕個人としてですけど、KOUTAが作る原理主義のサウンドには寄せつつも、自分の好きなハードコアの演出とかパフォーマンスとか声質とかも、エッセンスとして取り入れられたらなと思ってやってます。
KOUTA:そうなの? ちゃんと考えてやってくれてるんだ......。
DOUGEN:だってハイトーンとか、あとは"ザ・メロデス"っぽいのはやらないじゃない(笑)。
KOUTA:THOUSAND EYESで最も重要なのは、彼のヴォーカル・スタイルであって。ただのデス声みたいなメロデスはやりたくないんですよ。彼のは、ほんとにただのデス声じゃなくて、もう"DOUGENヴォイス"なんですよ。僕はハードコアとかよくわからないんで、僕の中では"DOUGEN"というジャンルでしかないんですよね。
-なんとなくDOUGENさんのヴォーカル・スタイルって、アンコウとTHOUSAND EYESが逆の方が、本来ありがちなパターンかなと思ってたんですよね。
DOUGEN:なるほど。でもたぶん、それをすると両方のリーダーが嫌がりそうなんですよね。
-そうですよね。THOUSAND EYESでやってる方が、生感があるというか、すごくエッジの立ったスクリームが前に出てきているように感じました。
DOUGEN:アンコウの方がディープなんですよね。
KOUTA:まさにそれ、ですね。生感と強めのエッジ。
DOUGEN:強めの、"小"エッジね(笑)。
KOUTA:そう、エッジを効かせるんだけど、強くなりすぎない(笑)。レコーディングではいろいろやってもらうんですけど、普通にやるとだんだん、ただのデス声に寄ってしまうので、"それは好きじゃない"って言って(笑)。"小"エッジとか、いろいろ試してもらった結果、面白いものができましたね。
DOUGEN:そうですね。僕も満足してます。