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INTERVIEW

THOUSAND EYES

2022.07.11UPDATE

2022年07月号掲載

THOUSAND EYES

メンバー:DOUGEN(Vo) KOUTA(Gt)

インタビュアー:山口 哲生

THOUSAND EYESが約4年半ぶりの新作となる4thアルバム『BETRAYER』を完成させた。新ドラマーとしてYU-TOが加入して以降、初となるフル・アルバムは、メロディック・デス・メタル/デスラッシュ特有の攻撃性と叙情性がさらに増したことにより、今まで以上にドラマチックな1枚に仕上がっている。最高傑作の呼び声も高かった前作『DAY OF SALVATION』から、"裏切り者"という意のタイトルを掲げた本作に至るまで、そして、様々な表情を見せる収録曲について、DOUGENとKOUTAに話を訊いた。


リスナーを裏切る作品になるんじゃないかという恐怖心があったんですけど、 そこからヒントを得たんです


-4thアルバム『BETRAYER』をリリースされます。前作『DAY OF SALVATION』(2018年リリース)から約4年半ぶりになるわけですけども、今作までの期間は、コロナ禍もそうですが、バンドとしてもYU-TOさんの加入があるなど、いろいろな変化があったと思います。おふたりにとってどんな時間でしたか?

KOUTA:ちょうど前作のツアーが終わったあとにコロナの期間になったんですよね。もともとそこで制作期間に入ろうと思っていたタイミングだったのもあって、活動ができなくてもどかしいとか、そういうことはまったくなくて。あと、左腕の神経に腫瘍ができてしまったので、その手術をするかしないかという選択があったんですけど、今はライヴもないからやっちゃおうかなと。だから、都合が良かったと言ったら変かもしれないですけど、ちょっとゆっくり制作できたかなと思います。

-術後の経過としてはいかがです?

KOUTA:後遺症で指先がずっと痺れてはいる状態ではあるんですけど、人差し指とか親指側なので、あまりプレイに影響はないかなと思います。ずっと洗濯バサミで挟まれているような感覚はあるんですけど。

-今もですか......?

KOUTA:はい。だからちょっとイライラすることはあるんですけど(笑)、プレイにはほぼ影響がないくらいまで回復はしたので、まぁ大丈夫かなと。

-DOUGENさんとしては振り返ってみていかがですか?

DOUGEN:僕はKOUTAと逆というか。他にもいくつかバンドをやっているんですけど、コロナ禍でシンプルにやる気がなくなっちゃって。作品を作ってもライヴできないし、ツアーをしたいという気持ちもあったんですけど、それもできないし。別に音楽への情熱が冷めたわけではなかったんですが、どうにも腰が重くなってしまうというか。リハーサルに入るにも、また来週でいっか? とか。歌詞を書こうかなと思っても、しばらく出せないしな、みたいな感じで。だから、ネガティヴな感じというよりは、直近の目標を失ってしまって、ちょっとげんなりしていた時期はありましたね。THOUSAND EYESに関しては、KOUTAの曲待ちみたいなところもあるんですけど、手術とかもいろいろあって、俺がやる気がないときにはあんまり連絡来なかったから(笑)、そこは良かったかなっていう感じでした。

-げんなりしてしまっていた状態は、少しずつライヴができるようになっていった状況に合わせて、上向きになっていったんでしょうか。

DOUGEN:それもありますし、KOUTAから送られてきたデモに奮い立たせられた部分もちょっとあって。ライヴとかはできなかったんですけど、デモはちょこちょこ送られてきていたんですよ。それにやる気をチクチクされて。

KOUTA:たしかに"歌詞できたの?"って聞いたら、"まだです"みたいな。

DOUGEN:そのやりとりを10往復ぐらいしてましたからね。でも、やっぱりいいアルバムを作るためにはやらなきゃなって、いい形でケツを叩いてくれたところもあって。そういう感じで戻ってこれましたね。

-バンドとしては、2019年にYU-TOさんが加入されましたが、DOUGENさんとしては、UNDEAD CORPORATIONで一緒に活動されていた関係でもあって。そういったところからの加入だったんですか?

KOUTA:そうですね。"誰かいい人いないかしら?"というか、"YU-TO君と連絡取れるでしょ?"みたいな(笑)。

DOUGEN:そこからは結構すんなりというか。話をして、スタジオに来てもらって、一緒にやってみて。YU-TOに聞いたら、中学生とか高校生ぐらいのときに本当に好きだったメタルを、THOUSAND EYESは具現化してるっていう褒め言葉を貰ったんです。やりたそうな感じもあったので、結構あっさりと決まりました。プレイアビリティもなんの問題もないですし、人間的にもナイスガイなので、他のメンバーともすぐに打ち解け......たよね?

KOUTA:うん(笑)。打ち解けてはいると思うけど。

DOUGEN:(KOUTAは)友達がいないんで。

KOUTA:僕は誰とも打ち解けていないです(笑)。

-(笑)KOUTAさんとしては、ドラマーがYU-TOさんになったことで、楽曲を制作される際にいろいろと考えたこともあったんですか?

KOUTA:YU-TOのプレイ・スタイルって、僕の理想というか、THOUSAND EYESが理想とする、シンプルで複雑なことをやらないというスタイルにもともと近いんですよ。だから、YU-TOに寄せたというよりは、そんなことを考える必要が特になかったというか。むしろやりたいことがより具現化できるのかなって思いながら作曲していました。

-それもあってYU-TOさんに声を掛けたんですね。

KOUTA:彼の場合は、リズムそのものがすごくいいんですよ。例えば、フィルがすごいとか手数がすごいというタイプのドラマーだと、結局それが出てきたらすごいけど、みたいな。もちろんメリハリがあっていいし、そういうスタイルもそれはそれでいいんですけど、彼の場合は、ずっとすごいので。

-そういったYU-TOさんが加入されてからの初アルバムでもある『BETRAYER』は、どういう1枚にしようと考えていましたか?

KOUTA:当初考えていたことは、4枚目を作るにあたって、今までと同じ路線だったらきっと飽きられてしまうだろうし、全然違うことをやったらそれはそれで、"こういうのを求めていない"って言われたりするんじゃないかとか、そういうことをすごく気にしてしまっていて。どんな形になってもリスナーを裏切る作品になるんじゃないかという恐怖心があったんですけど、そこからタイトルを"BETRAYER"にしようというヒントを得たんです。

-なるほど! "BETRAYER"は、"裏切り者"とか"背信者"という意味ですね。

KOUTA:そこから曲を作り始めて、まったくギター・ソロもないようなただ速いだけの曲とか、ちょっと気を衒ったこととか、今までまったくやっていなかった要素で攻めてみたりしようかなと思って、いろいろ試行錯誤していたんですけど、結局うまくいかなったんです。それでちょっと開き直ってというか、自分ができることの中でいろいろ変化をつけていこうと。今までにやっていなかった要素を少し盛り込んでみたり、使っていないコード進行とかギター・ソロのフレーズとか、そういったところで変化をつけたりしようと決めて、徐々に曲を増やしていきました。

-3枚目は最高傑作で、その次にどうなるかみたいな話はよくありますけど、実際に前作の『DAY OF SALVATION』をいいものにできたからこそのプレッシャーもあったんでしょうか。

KOUTA:そうですね。特に3rdアルバムはすごく気負いがあったというか。2ndアルバム(2015年リリースの『ENDLESS NIGHTMARE』)はいろんな面で後悔が残ったので、3rdアルバムは絶対にそういうことがない作品にしよう、とにかく自分が納得できる最高の作品にしようと思って、かなり気負って作っていたんですけど、そのままちょっと燃え尽き症候群みたいな感じになってしまってはいて。だから、そうですね。3rdアルバムが自分の中ですごく満足のいく作品だったからこそ、4thアルバムをどうしようというのは、最初はかなり悩んでしまいました。

-DOUGENさんは、KOUTAさんがそうやって悩んでいるところを見たりもしたんですか?

DOUGEN:そこは正直知らなかったです。ただ、3rdアルバムを作り終わったあとのインタビューで、"こんな最高傑作を作ってしまったら、次のアルバムはどうすればいいんだろうっていうのが現在の悩みです"とほざいていて(笑)。

-"ほざく"って(苦笑)。

KOUTA:口が悪いんだよ(笑)。口の悪さをひょうきんでごまかすっていう。

DOUGEN:すみませんね(笑)。

KOUTA:それに対して、"僕は曲が来るのを待つだけなんで、あっけらかんとしてます"ってほざいてたんだよね(笑)?

DOUGEN:そうです(笑)。だから、言われてみればそうかなみたいな感じでしたね。あんまり"俺、悩んでんだよね"みたいなことを言わないタイプでもあるんで。

KOUTA:そうだっけ? あ、でも"曲ができん"みたいな連絡はしたか。

DOUGEN:それは結構貰ってたけど、方向性で悩んでいることは正直知らなかったです。だから、今の話の答え合わせチックになっちゃうんですけど、デモを貰ったときになんかちょっと怒ってんの? みたいな印象を曲自体から受けたんですよ。それは、今までとの違いを出そうとして作ったリフがそういう感じだったのか、曲ができない怒りをリフに乗せたのかわからないけど、今までよりも怒気がある印象は受けましたね。

-実際に怒りを乗せたところはあったんですか?

KOUTA:いや、僕はみなさんに負の感情を押しつけることはしたくないので(笑)。

DOUGEN:はははははは(笑)。さすがですね。

-ただ、メロデスやデスラッシュが持っている、感情をかき乱されたり気持ちを奮い立たせられたりするものになっていますよね。あまりコロナ禍の影響は受けなかったというお話でしたけど、抑圧されている世界で何か言いたかったのかなというのも、曲を聴いていて思ったところもあったんですが、そういうこともなく?

KOUTA:なかったです(笑)。でも、今おっしゃっていたメタル特有の感情を奮い立たせられるようなもの作るというのは、1stアルバム(2013年リリースの『BLOODY EMPIRE』)のときから一貫して思っていて。高校生のときに、夜な夜なヘッドフォンで泣きながらJUDAS PRIESTを聴いてガッツポーズをして、そのときに救われたような感覚があったんですけど。そういった心を奮い立たせる音楽を自分もやりたいのは常にあって。それが聴いている人にとっては、怒りみたいなものを感じとることももちろんあると思うんですけど、自分の感情を押しつけるよりは聴いた人の感情がそこで解放されるというか、そんな作品になっているのであれば嬉しいなと思いますね。

DOUGEN:だから怒りというよりは、アグレッションみたいなものですよね。

KOUTA:DOUGEN君のアグレッションが解放された?

DOUGEN:DOUGEN君の? デモを聴いたときに心をかき乱されたっていうか、おぉー! っていうのは思ったよ。

-いい意味で尻を叩かれたっていうのはそういうことですよね。

DOUGEN:そうです、そうです。テンションは上がりましたね。あと、本作にはアレンジにアレンジを加えた形で収録されているんですけど、IN FLAMESの酷いパクリみたいなデモがあって、それは感情をかき乱されました(笑)。"これは世に出したらダメです"みたいな(笑)。

-(笑)タイトル曲の「Betrayer」も、今までとは違う変化を少しずつ入れていく方向で作り出したと。

KOUTA:そうですね。ものすごく細かいところなんですけど、例えば、Bメロからサビに行く直前のコード進行とか、リフですごく細かい動きをするとか、ギター・ソロでいつもと違うパターンを入れるとか、そういったことに一番挑戦した感じではあるんですけど。でも、聴く人によっては何が違うのかわからないぐらい、本当に細かいところではあります。

DOUGEN:"ここを変えたんだけど"って言われて、前のバージョンと聴き比べてみても、そんなによくわからなかったりすることもあって。

KOUTA:はははは(笑)。

DOUGEN:まず1分ぐらいのデモが来るんですよ。で、"どう思う?"って聞かれて、"いいと思います"って言うと次に1分半ぐらいのデモが来て、"どう思う?"、"いいですね"って。そしたら2分ぐらいのデモが来て"いいですね"、"「いいですね」しか言わねぇじゃねえか"っていう。

KOUTA:ギター・ソロのハモりとかも、上でハモったり下でハモったり、ハモるのをやめてみたり、基本的には全パターン試して、一番いいものを採用するやり方をしている曲がほとんどなんですよね。才能がある人はインスピレーションでズバっと書けると思うんですけど、それだけで書けた曲はすごく少ないですね、今回は特に。

-でも、すごく気が遠くなるような作業ですね。

KOUTA:やっぱりあとあとこうすれば良かったという気持ちを残したくないので。

DOUGEN:職人だなって毎回思いますね。俺もリフとかを書く人間ではあるので、そんな気が遠くなる作業はシンプルにすごいと感じる。逆に、俺はあえて細かいところはあんまり気にしていないんですよ。ヴォーカルとして全体のテイストを見たいので。だから基本的には"いいですね"しか言わないっていう。

-この歌詞はKOUTAさんとDOUGENさんの共作ですが、そういった場合はいつもどう書き進めていくんですか?

KOUTA:主にDOUGENに書いてきてもらって、サビだけ僕が書くとか。その逆のパターンもありますね。サビだけできていて、あとはよろしくで投げちゃうとか。

DOUGEN:タイトルと一緒に渡されるんですよ。"これは「Betrayer」で"とか、"これは「Shadow Dancer」で頼む"とか。で、僕が書いて、それを見せて"こういうイメージで書きました"、"じゃあサビはこうしてみよう"みたいな感じですね。

-"こうしてみよう"というのは、言葉のハマり的な問題で変えていくんですか?

KOUTA:そういうこともあるんですけど、「Betrayer」と「Shadow Dancer」が共作なのは、もともと書いていたサビがあったんです。だけど、それがずっと微妙だなと思ってモヤモヤしていて、途中でまったく違うものに変えたんですよね。その兼ね合いもあって、自分がその部分の歌詞を書き直して、結果的に共作になった感じでした。言葉のハマり具合の意味だと、「Dogmatic Stigma」とか「Eye Of The Hate」とかは、全部DOUGENが書いてはいるんですけど、実際に録ってみてどうするかっていうのは一緒にやっていて。