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INTERVIEW

TONIGHT ALIVE

2016.03.09UPDATE

2016年03月号掲載

TONIGHT ALIVE

Member:Jenna McDougall(Vo)

Interviewer:山口 智男

-新しいアルバム『Limitless』のリリースまで2週間ちょっと(※取材日は2月下旬)。今回のアルバムはバンドの飛躍をこれまで以上にアピールするものだけに、いつもよりもファンの反応が楽しみなのでは? それも含め、新作のリリースを目前に控えた現在の心境を教えてください。

とても楽しみよ。アルバムが完成してから全体の過程を振り返ると、ものすごく花開いた実感があるの。今、完成したアルバムにすごく力をもらっている気がするし、バンドの足並みが揃った気がする。私はこのアルバムをとても信じているの。今はツアーをしながらアルバムの発売を待っているところだけど、自分がやっているすべてのことを信じることができているわ。自分のやったことに対しても自分自身にも、一切手を加える気はないの。何も欠けていない、完全な状態になっている気がするのよ。そういう精神状態でステージに立てるのはとても心強いし、これまでなかった気分なの。何かを証明しようと躍起になる必要もない感じ。そんな心境の変化があるなんて自分でも思わなかったけど、前よりずっと地に足が着いている気がするわ。「Drive」(Track.4)という曲は人に"NO"と言うことを覚えることについて歌っているんだけど、それってつまり何が正しいかを堂々と言えるようになる強さを内側に持つということなの。これが私にとって正しい、これは間違っている、みたいなね。今は自分にとって正しい道を歩いていることは間違いないわ。とてもポジティヴよ!

-『Limitless』を完成させたことで、多くの人に自分たちの音楽を届けたいというバンドの目標はさらに大きなものになったのではないでしょうか?

本当にそうよ。『The Other Side』(2013年リリースの2ndアルバム)でいろいろな人と繋がりを持てるようになったんだけど、その人たちが、"TONIGHT ALIVEがダークな時期を乗り越える手助けになった"って言ってくれたの。"自分探しに付き合ってくれた"、とかね。あのアルバムを書いたとき、私はまだ10代だったから、誰かのためというより自分の癒しのために作ったアルバムだったんだけどね。だけど実際、『The Other Side』は明らかにそうじゃない一面を持っていたの。曲を書いている当事者以外にも影響があったのよ。何て言えばいいのかな......自分の心を開いて新しいものを試していけば、自分たちの音楽がいろいろな人に届く可能性があるんだなって思ったわ。それで今回、『The Other Side』の続きみたいな曲をまず14曲書いたの。でも、満足いくものじゃなかった。エキサイティングでもなかったし、新しくもなかった。『The Other Side』の繰り返しは嫌だったからね。もちろん、あのアルバムは大好きだし、あのアルバムをリリースした時期も大切な時間よ。『The Other Side』は人生を変えてくれたけど、二度も人生を変えることはできないからね。前に進むときなのよ。それで、"自分を制限することをやめたら何を得ることができるだろう?"って思ったの。"君たちはポップ・パンク・バンドだ"って言われたらそこまでだけど、そうじゃない。自分に自信を持って創意工夫を凝らしていけば、何にだってなれるのよ。その考えを持って曲作りを進めたら、ちょっと怖いというか、今までやったこともないようなリスキーなものばかりになったけどね。"これってTONIGHT ALIVEらしくないよね?"って言ってばかりだったわ。"でも、これをうまくやれるかどうか、どこまでやれるかやってみよう"って。実際うまくいったと思っているの。

-ということはタイトルの"Limitless"はそこから? てっきりアルバムの1曲目を飾る「To Be Free」の歌詞の一節から取られていると思っていました。

あの部分を書く前にタイトルを決めちゃったのよ。去年日本で、たしかONE OK ROCKと一緒にやったときじゃなかったかな。ショーからホテルに戻る車の中でアルバムのことを考えていて、ふと"これは絶対、『Limitless』って名づけなきゃ"ってWhakaio(Taahi/Gt)に言ったのを覚えているわ。彼は"いいね。最高じゃないか!"って言ってくれたわ。それから変えなかったの。そのとき、「To Be Free」はまだでき上がってなかったわ。"Limitless"はこのアルバムを作るために自分たちで身につけた姿勢なの。自分たちは何でもできるって信じないといけなかったからね。曲作りを通じてクールな教訓を学んだわ。自分たちひとりひとりの人生にも当てはめることができる姿勢だからね。

-その「To Be Free」の内容は人間関係を歌っているようにも思えるし、アルバムの曲作りをしているときのバンドの心境にも思えます。いつごろ、どんなふうにできた曲なんでしょうか?

あの曲は特定の個人について書いた曲じゃないのよ。もっと普遍的なこと。"私をほっといて、邪魔をしないで"、"私が何をしようと私はそれでハッピーだ"、"時間と空間とみんなの忍耐が必要だ"、そういう内容。私たちからのリクエストみたいなもの。今は自由が欲しいって。"自由"は私の人生の中でよく出てくるテーマみたいなものなのね。みんなは"自由"をもっと大きなものとして考えているというか――例えば、人権が保障されていない、悲惨な状況にいる人々が求めているものみたいに思っているかもしれないけど、とてもパーソナルな小さなことにも"自由"って当てはめられると思うのよ。人の意見を気にせずに、その日着るものを決めるとか。だから私は自分のやることすべてに自由を求めるの。自分の幸せに基づいて物事を決めているわ。それを他人がどう解釈するかは気にせずにね。

-自分を自由にすることによって、他の束縛やステレオタイプに陥らないというのもあるでしょうね。

そう。私は自分を判断されることに対してとても神経質なの。今回のアルバムは全曲そういうことを書いているわ。自分の中にある複雑なものは重荷じゃなくてむしろ恵みなんだって気づいたの。そこから学ぶことができればね。判断されることに対する恐れも、曲にしてしまえば怖くないってわかったわ。それがわかったことで心強く思った面もあるのよ。自分がどう見えるかどう振る舞うかを曲に盛り込むことでそれと対峙することができるのよね。そうやって前進することができるのよ。