INTERVIEW
SPYAIR
2015.10.20UPDATE
2015年10月号掲載
Member:IKE(Vo) UZ(Gt/Prog) MOMIKEN(Ba) KENTA(Dr)
Interviewer:沖 さやこ
-では改めて音楽を楽しめるようになってきている?
UZ:ライヴ中の空気を楽しむというのもあるんだけど、それよりもいかにいい演奏をするか――そっちに意識が向き始めてる。お客さんの耳に、いかにいい音楽をこのメンバーで届けられるか。それがうまくいったとき、楽しくて仕方がないんです(笑)。それがひとつ変わってきたことかな。だから昔みたいにテンション上がって演奏ぐちゃぐちゃ、という事態にはなりにくくなってる。
MOMIKEN:昔なんて必要とあらば弾かないで手を挙げているほうが大事だと思ってた(笑)。
UZ:ほんとね(笑)。昔はいかに誰よりも楽しむか、に重きを置いてたかな。それがやっと音楽家らしく演奏者らしく、"ちゃんといい音楽を届けたい"、"いい音を出したい"という責任感が出てきた。どんなにこっちがいい顔をしていても1万人の1番後ろにいる子たちはわからないじゃないですか。そこは変わったかな。
IKE:こうやって大きいステージを経験することで変わっていくのは不可抗力だよね。最近バンドの音が変わってきたなと思うんですよ。このバンドはどんな場所でもライヴができるんだなという実感もある。(楽器隊の)みんながしっかり土台を作ってくれてるからね、僕は昔よりもライヴという空間でだいぶ遊びやすくなりました。ライヴ中に"自由だな~ここ!"って最近すげえ感じますね。
UZ:だからIKEはすぐ前に行っちゃう。"あれ、いねえ!"と思ったら"あー、あそこにいた!!"って(笑)。
KENTA:すぐどっか走っていっちゃうから(笑)。IKEは気持ちいいと前に出ちゃうんだけど、最近より前に出てるよね。
IKE:だって、(バンドに)前に出てもいいよ~って空気があるじゃん?
UZ:そうだね、もう動じないけどね(笑)。
MOMIKEN:むしろ"あれ、出ないのかな?"って思ったりもするし(笑)。
IKE:このバンドのステージの捉え方ってすごく面白いんですよ。まあKENTAはドラムだからしょうがないけど、その日与えられた、自分たちが行けるところまでをステージとして全員が考える。それを本能的に捉えているから(行動範囲が)でかいんだろうなーって。だからワンマンでもフェスでも、できるだけステージを大きく使おうと思います。
-最近のステージ上のIKEさんは、こうやってインタビューしてるときに屈託なくお話をしてくださるIKEさんとほとんど変わらないな、というのが私の印象です。IKEさんだけでなくみなさんそうで。でもちゃんとおひとりおひとりに華があるなと。
IKE:素直にライヴ・ステージがやれたらいいなって思ってます。普通の環境じゃないから、準備していかなきゃいけないけど、なるべく普通のお兄さんみたいな感じでライヴがやりたい(笑)。それはこういうことをバンドが許してくれるようになったから、かな。なおかつ(肩の力を抜いてやることによって)いいパフォーマンスが生まれるんじゃないかなって期待もしてる。素直にやることが昔より良くなる方法のひとつなんじゃないかなって思ってて......それをまだ探ってる最中(笑)。やっぱりバンドは(リスナーに)夢を見せられたら大きくなれるのかもしれないけど、そこを違う発想でやれたら面白くなるんじゃないか?って。ダサくても、何が何でもバンドを続けていこうと思ってます。
UZ:昔は"何が何でもバンドを大きくしてやる! そのための犠牲なんてどうでもいい"と思っていたところがあった。でもそれが......今でも大きくはなりたいんだけど、できればこの楽しい空気のまま大きくなってることを実感できて、それを楽しいと思える――そういういい循環が生まれることを求めてる。......そこは変わったな。
MOMIKEN:夢を追って挑戦していくバンドは、規模が小さかろうが大きかろうが、挑戦するものがなくなったときに解散をするんですよ。そういうロックの輝き方もあれば、何が何でも泥くさくてもとにかく続けていこうぜという輝き方もある。俺らは他人から何を言われようが"続けていく"という姿を見せていくことを選んだんです。
-その考え方は「アイム・ア・ビリーバー」にも繋がりますね。
MOMIKEN:ちっちゃくまとまるのではなく、続けていって"あのバンドすげえな"と言われる存在になりたいですね。
IKE:"ちっちゃくまとまらずに続ける"っていうのは、これからの俺らの攻略すべきポイントでもあるよね。みんなこのキャラクターのまんま大きくなっていきたい。
KENTA:先輩たちの言ってた"何が何でも続けた方がいい"という言葉を、今ちょっとずつ理解し始めている――そういう感覚はありますね。
-SPYAIRは小さくまとまるどころか、12月にはバンド初のアリーナ・ツアーが決定しています。
UZ:ちょうどこの取材の前日に、アリーナ・ツアーの企画案を詰めてて。"JUST LIKE THIS"を毎年やっていくものにして、アリーナもオリンピックみたいに4年に1回できるイベントにできたらいいねという話になったんです。今年は、デビュー5周年イヤーというのもあって、その立ち上げというか。だからアリーナ・ツアーは来てくれたファンへの感謝の意味も込めて、リクエストを募ってその曲を演奏したり、今まで出したシングル17枚のタイトル曲を全曲やろうかと。あと新曲もある、かも。
IKE:このタイミングでないとシングル曲を全部やるなんてことはできないしね。
KENTA:この前のコニファーフォレストでやらなかった「LIAR」(2010年リリースのメジャー・デビュー・シングル表題曲)とか、今まであんまりやらなかった「My World」(2012年リリースの6thシングル表題曲)をやるってことですからね。
-記念碑的なライヴがふたつも持てるのはとても素敵ですね。立ち上げの今年は、それがどちらもある。完全復活、デビュー5周年、結成10周年とで、ゴールデン・イヤーではないでしょうか。
IKE:そうだね、アニバーサリー。かかってるな~(笑)!!
UZ:だからアリーナでは、この5年間の集大成を見せたいなと。また4年後はそこまでの集大成――そういうイベントにしたいと思ってます。